表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

おみこし大好き!おばけのマル

作者: Oz-teller

ある小さな村に、マルというおばけの子どもが住んでいました。


マルは「おばけだぞー」なんて怖がらせることなんてしません。いつも、村の人たちがお仕事したり遊んだりする様子を見守っている、とっても優しいおばけなんです。


そんなマルには、どうしても大好きなものがありました。それは、村のお祭りで見ることができる「おみこし」です。


お祭りの季節がやってくると、村中がなんだかソワソワ。あちこちで太鼓や笛の音がするし、あちこちで笑い声も聞こえます。何に使うのか、大きなお鍋を持っている人もいます。


マルはそんな準備の様子を眺めながらワクワクしていました。そして、お祭りの日。マルは神社の裏に隠れておみこしがいつ出てくるのだろうと楽しみに待ちます。

「わぁ、今年もきれいなおみこしだなぁ!」

マルは目を輝かせて、おみこしが神社から出てくるのを見つめました。


村の人たちは力を合わせて

「わっしょい、わっしょい!」

と元気な声でおみこしを担いでいます。おみこしが揺れる時には飾りがキラキラ輝いて、マルは思わずうっとり。そして、

「いいなぁ、僕も一緒に担いでみたいな…」

と少し寂しそうに呟きました。


でも、マルはおばけだから、人間のようにおみこしを担ぐことはできません。

それでも、どうしてもおみこしを担ぐのが諦められないマルは、ある夜、村人たちが寝静まった後にこっそりおみこしを見に行くことにしました。


夜空に星が輝く中、マルはひっそりと神社に向かいました。

「誰もいないね、これならちょっとだけ触ってもいいかな…」

マルは、おみこしにそっと手を伸ばしました。


「よいしょっと!」

とマルがおみこしを持ち上げようと声を出したとたん、なんとおみこしはふわりと浮かび上がりました。これにはマルもビックリ。そして、すぐに大喜びで担ぎ始めました。

「わっしょい、わっしょい!」

と、マルは小さな声を出しながら、村の中を駆け巡ります。そして、満足したマルは、またこっそりと元あった場所に戻すのでした。


朝起きておみこしを片付けに集まった村人たちは、「あれ?このおみこし、ちょっと場所がずれてない?」

と口々に話します。

マルはちゃんと戻していたつもりでしたが、おみこしは少し斜めにずれてしまっていました。

でも、誰もそれがおばけのせいだなんて思いませんでした。


その夜から、村のお祭りの時期になると、いつもおみこしが少し動くようになりました。村人たちは、

「これは神さまが楽しんでくださっているんだね」

と話し、ますますお祭りを大事にするようになったといいます。


マルも、毎年お祭りが近づくと、おみこしを担ぐのを楽しみにしていました。おばけだけど、おみこしを担ぐことで、村のお祭りの一部になれたようで嬉しかったのです。マルは心の中でいつも「ありがとう、村の人たち。これからもずっと、おみこしを大切にするよ」と誓っていました。


村のお祭りは、いまでも賑やかに続いています。

おみこしを担ぐたびに、どこかでおばけのマルが一緒に喜んでいるかもしれませんよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ