ゆあ&あゆが見つけた二人の女の子 その壱 苦しみ
「ねぇ、ゆあちゃん今日も一緒だからね」
「うん、あゆちゃんが居れば大丈夫」
「ねぇゆあちゃんそろそろお父さんたちに名前つけてあげようよ」
「そうだねぇお父さん1の方あゆちゃん名前考えてーお父さん2の方ゆあが考えてみる」そう言うとこの世を漂う彼女たちは頬杖をついて考え始めた。
「雲助と雨蔵元気かなぁ?」と呟くとてるてる坊主父その1が答えた。
「あのお二方が掛けたマホウは君たちを傷つけたお父さんの一生に関わるマホウだから元気にしていると思うよ」と。
「じゃあ、晴子さんと照子さんはどうしてるの?」とゆあが聞くと、
「君たちが頑張って生きた姿を見て安心して僕らに託してくれてきっとどこかで見ていてくれているかもしれないね」とてるてる坊主父その2が答えた。
「いっぱい撫でてくれたのに会えないのかじゃあ、あゆお父さん1の名前晴彦にする!」と言うとゆあも、
「ゆあもお父さん2の名前照彦にする!」と言いながらくこの世を漂いながら長い期間【お父さん1、お父さん2】と呼ばれ続けてきた御付きに名前が付いた。
どちらも嬉しそうだった。
「色んな所を見て回ってたけど、意外とあたしたちのこと見える人っていないもんだね」とあゆが言う。
「でもさ、時々目が合う人いるよね?気のせいかな?」とゆあが言う。
「ねこちゃんたちはめっちゃ話しかけて来てくれるよね~」とあゆが言う。
「ねこは元々幽霊が見えるらしいからね逆に小さすぎるコバエとかの方が見えないみたいだけどねド近眼で」と晴彦が言う。
「ねこは幽霊を怖がらないけど、遊びに来たなら遊んでくれって寄ってくるからかくれんぼくらいしか付き合ってあげられなくてあのモフモフの触れないからちょっと残念だね」と照彦が言う
「お父さんたちもにゃんこだった時幽霊見えてたんだね」とあゆが聞くと、
「見えてたし話せてたから君たちを見つける事が出来たんだよ。死んですぐに猫になれる事なんてめったにないらしいから僕たちの必死さで猫になれたし、比較的近くに生まれ落ちることが出来たんだと思う」と晴彦が言う。
「血で結ぶ縁の事も他の幽霊と御付きの方々に教えてもらったんだ」と照彦が言う。
「実際君たちを噛んだ時には雲助と雨蔵が『血で縁が結ばれたおまえらが死ねば娘たちも人生を卒業出来るし、娘たちが人生を卒業すればお前たちも死ぬ』と言っていたし」と晴彦が言う。
「でも、血で結ぶ縁を回避されることもあったり、こちらから解除したりもできるんだと教えてくれた」と照彦が言う。
なるほどなぁと彼女たちは思いながらある二人の少女を見つけた。
♢♢♢
産まれてからなかなか発語のない少女は3歳のある日母が朝のパンがないことに困って居た時
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」と初めて話したという。
母親はびっくりして父親に話したが、きっと育児疲れだよ、少し休んでいて。といわれただけだったが、妻を休ませ娘の面倒を見ていた父親も、
「発語が遅いから育て方の問題なのかなって気にしてるのかな」と妻を心配する言葉を呟くと、
「わたしは育てらてたのではない作られたの」と娘が話だし妻の言葉を信じた。
この少女の名前は本谷イライザ。祖母がフランスと日本人のハーフだったせいか顔立ちが日本人離れしていたのでイライザと名付けられた。
イライザは3歳まで話せなかったわけではない特に話す必要性がなかっただけである。
父である者も母である者も話さずにいるイライザに至れり尽くせりだったので特に困ることもなかっただけである。
もちろん歩けもしない産まれたては泣いて不快を伝えたりはしたがだいたい親たちが話す言葉とどこからか聞こえる言葉でとっくに話せるようにはなっていた。
そして自分がマリーアントワネットの生まれ変わりだと言い続け周りには沢山の友達が出来たがイライザは友達というより取り巻きとしか考えていなかった。
本当の友、そうマリーのように気が許せる友が欲しいと願っていた。
♢♢♢
もう一人産まれてしばらくすると家族たちからも毛嫌いされてしまったまま育った少女がいる。
「産んでくれてありがとうお前」と涙を流して喜んだ父も、
「産まれて来てくれてありがとう」と抱きしめてくれた母も、娘の異変に恐怖を抱いた。
彼女はこの世を漂うモノたちを見る力を持っていた。
それを知ったのは母が娘と買い物に出た時に娘が迷子になってしまい慌てて探していたら、いつの間にかすぐそばに娘が戻ってきていて、
「ママの場所教えてくれてありがとうバイバイ」と誰もいない場所に手を振る姿を見たのが最初だった。
「誰に送ってもらったの?」と聞くと
「二人のそっくりな女の子とてるてる坊主さんに連れてきて貰ったの」と答えた娘の言葉で母はノイローゼになった。
その後も家でも外でも学校でもこの世に漂う彼らと話す姿を周りの人間達は怖がり、噓つきだと言われ友達もできないままの少女の名前は時田志衣南
彼女の両親は彼女の言動に苦しみ離婚をして父方の祖父母に育てられていた。
祖母は最初は怖がっていたが、孫の言う事が本当ならばテレビに売り出そうかなどと考えていた。
祖父は唯一彼女を信じ愛してくれたが、早くして他界してしまった。
祖父が他界した後少女は祖母により芸能界で美少女霊能者として売り出された。
テレビクルーやプロデューサーは少女にちやほやしては学校に行く暇もなくなりテレビに引っ張りだことなった。
有名になった後、たまに学校に行けばまるで前から大親友だったかのように彼女を毛嫌いしていたはずのクラスメイト達がサインをねだってきたり、写真を一緒に撮ろうとしてきたりすることに、
『気持ち悪い』と思っていた。
鏡を見れば自分についているてるてる坊主も見えるが話しかけても答えてくれない。守護霊的な物なのかなと勝手に思っていた。
「守護霊ならもうちょっと見えない様にとかしてほしい」と悩んでいる。
♢♢♢
「あの子たちってなんか苦しそうだよねゆあちゃん」
「お金にも困ってないみたいだけど苛められたりは今はしていないけどなんか辛そうだよねあゆちゃん」
「あゆとゆあちゃんであの子たち幸せに出来ないかな?」
「やってみようよ!いいよね?お父さんたち」と一応の確認を取るが
晴彦も照彦もいいよとしか言えない事を知っている。
娘が可愛くて仕方なくて、それなのに短い人生で辛い想いをさせて最期は道連れに卒業させるしかできなかったんだ。当分は本人たちのやりたいことをやらせてあげたいと思っている。親ばかである。
それにしても、本谷イライザって少女と時田志衣南って少女確かになんとかしてあげないと辛い人生になってしまうな。と彼らも思うのだった。
随分長い事放置しまして申し訳ありません。
いつも読んでくださる皆様本当にありがとうございます。ゆあ&あゆ回は今を生きる彼らを幸せにしてあげたい優しいお話だといいですね。救いのないわたくしのお話にいつもお目通しくださり本当にありがとうございます。旅人シリーズも本当に嬉しい限りでございます。今後とも感想など頂けるととても喜びます。




