てるてる坊主が告げる真実
「「あなた方は79年の三石月数美の人生を今日晴れて卒業することができました。おめでとうございます」」
気がつけばあたしが散々作ったてるてる坊主さんたちが話しかけてくれたの。
「あたしが作ったてるてる坊主さんたちあたしはちゃんと作ってあげられなくて雨を止ませることなんかできなくてごめんなさいね」と言うと、
「あ、僕たちは……」と言いかけたてるてる坊主くんを止めてもう一つのてるてる坊主さんが話し始めたわ。
「あなたは恵の雨を降らせる事が出来るマホウを持っていたから願うと雨が降っていただけよ。ちゃんと作れていたわよ。」と言ってくれたの。とても優しく温かい声で。
「そうなんだ、うふふ、もっと早く知っていたら大事な日は願い事しなくて良かったのね」と隣で誰かが笑っていたの。
振り返るとあたしが居たわ。
鏡?とは少し違うようだったの。でも、違和感は特になかったわ。ずっと一緒だった気がするもの。
「では、あなた方にこの先の事を話す前に人生に関する質問があれば伺いますが何かございますか?」と、さっき言葉を遮られたてるてる坊主くんが話す。
質問か。あたしの人生は色々曲がりくねってダメなあたしだったけど、夕のお母さんになれたことは幸せだったわね。ともう一人のあたしと顔を合わせて頷きあったの。
「あたしは結婚して普通にお父さんとお母さんがいる家庭を築いてあげたかったけど、結婚は結局出来なかったし、夕に嘘のお父さんの事を伝えないまま死んでしまって夕にも為乙さんにも申し訳ないことをしちゃったけど、あたしは夕愬さんのところに行けるのかしら?」と尋ねると、優しく温かい声のてるてる坊主さんが答えてくれた言葉に驚いてしまったわ。
「あなたのお子さんはすべてご存じですよ。あの子があなたならきっと大事にしてくれると信じて生まれたんですから」
夕があたしを選んだって事?じゃああたしも親を選んで生まれたのかしら?と心で思っただけだったけど、筒抜けだったようでてるてる坊主さんはその思いに答えたの。
「残念ながら通常生まれる場所も人も選ぶ事はできないの。だからあなたたちが弟が産まれた後実母を亡くし、義母に育てられていたのも選んでいたわけじゃないの。あのママはとてもあなたたち姉弟に良くしてくれたと思ったけど、やっぱり辛かったかしら?」と切なげにてるてる坊主さんは聞いてきたわ。
「何とも言えないけど、お母さんの事もママの事も大好きだって事くらいしか今は思い浮かばないわよね?」ともう一人のあたしが言うの。
「人生の一日一日が毎日寂しくなかったとは思わないけど、寂しい時もいっぱいあって、不安な時もいっぱいあったけど、終わってみたら思い出すのは幸せな日々ばかりね」ともう一人のあたしに言ったわ。
てるてる坊主さんは少しホッとしたような雰囲気を出してさっきの質問に答えてくれたの。
「夕愬さんのところに行けるかどうかの答えなのだけど、少しあなたは特殊な状態に巻き込まれてしまっていて、行けると言えば行けるのだけど、随分驚くことになってしまうけどそれでも良ければ、この先の事を話そうと思うの。どうかしら?」
会えるんだ夕愬さんに。
「まず、この先あなた方はそれぞれに選択肢があります。よく聞いてくださいね
ーー壱に記憶を持ってこの世界に漂う事が出来ます。制限時間はありません。
ーー弐に記憶をある条件をクリアするまでお預かりして誰かのお守として人間ではない生き物に転生して縁があれば大事な誰かを守ってあげる事が出来ます。
ーー参に産まれる事は最初からできないと決まっていますが、誰かのお腹に宿ることは出来ます。女性の肉体で尚且つ子宮がある人に限りますが
同じお腹には一度しか宿ることは出来ません。
さて、どの選択肢もいつでも決めてもらって構いません……。いかがしましょうか?」と言われ疑問を抱いたの。
「夕愬さんに会える条件が見当たらないのだけど……」
「まずは壱なんでしょう?てるてる坊主さんたち」ともう一人のあたしが言ったわ。
「そうね、ちゃんと物事を把握するマホウを持ったあなたはもう見えているのかもしれないわね」と話すてるてる坊主さん。
「異性を惹きつけるマホウと包み込むように大切な人を愛するマホウを持ったあなたは驚いてしまいそうね」とも付け加えられたわ。
あたしともう一人のあたしで支えあって生きてきたってことね。
それにしても、結婚出来るマホウとかなかったのかしらね。と思うとまたしても、
「それはね、僕らが与えられるマホウじゃないんだよね。親から最初に与えられるギフトなんだ」と説明されたの。
親からのギフトか。
「では、心の準備が宜しければ壱であなた方の人生が終わったあとを見続ける旅に出発しますが宜しいですか?」
あたしたちは顔を見合わせ頷くと今までの雨雲が晴れ知っている顔が見えるところに出たの。
「これじゃあたしたちって幽霊みたいね、うふふ」ともう一人のあたしが話しかけて来て、確かにと思いながら大事な大事な夕の傍に舞い降りた時、
『お母さんやっとお話出来るようになれたね』と夕が話しているように聞こえる声がした。
「これはちゃんとあなたたちの子の声よ」とてるてる坊主さんは教えてくれた。
夕と会話が出来るなんて、これは夢なのかしら。
『夢じゃないよお母さんとお話するにはお母さんが何語でも聞き取れる状態にならなきゃいけなかったんだ。会いに来てくれてありがとうお母さん』
死んでも尚涙が流れそうだったわ。
「何語でもって事はお母さんはお勉強が足りなかったから夕とお話できなかったってことかしら、夕は辛くなかった?」と聞くと、夕はいつもの笑顔で
『お母さんの言葉は全部聞こえていたし分かっていたんだけど、伝えられなかったんだよ。制限がかかっていて、我儘に見えたよね』と夕は言う。
「まぁ、実際我儘みたいなもんだけどな」とてるてる坊主くんが言う。
『まぁ、それはお母さんに謝らないといけないところでもあるもんな痛いところつく御付きだな』と夕はてるてる坊主くんを指で突いたの。
え?触れるの?
『お母さんを巻き込んだのは僕なんだ。お母さんはきっと僕を大事にしてくれるだろうなと思って、あとお父さんと惹き合わせたのも僕なんだ。ちょっと悪戯みたいになっちゃってごめんねお母さん』と夕は話してくれるも何のことだか分からないあたしだったわ。
「数美……さんたちあなたの会いたい人もう一人いるんじゃなかったかしら?」とてるてる坊主さんが言うと、夕愬さんの事を思い出した。
『お父さんのところならそんなに遠くないけど、さっき謝ったけどビックリしたらごめんね。いつでも僕に会いに来ていいからね』そう言って夕は手を振ったの。
そういえばあたしが生きて居る頃も夕は何もないところで手を振ったり何て言っているか分からない言葉を話していることも多かった。
数文字の言葉あたしが分かる言葉の中で夕が話せたのは「こーえん」「いたい?」など短い言葉だけだったと思っていたのはあたしの勝手な解釈だったのね。
日本人がハローとサンキューだけしか分からないようなものだから何語でも分かるようにならなければいけなかったのね。
「じゃあ夕また来るからね」と手を振り返し、てるてる坊主さんたちに夕愬さんのところに案内してほしいとお願いしたら、
「ではあなたたちの知っている夕愬さんのところにご案内するわね」とてるてる坊主さんはあたしたちの手を引くようにひらひらと舞い上がった。
三石月数美てるてる編はちょっと今までと違うところがありますね。次は彼のところですね。
お待たせしてましたので、一気に書き上げますね。




