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停電の駅と終電

作者: 菊屋

私は都内の大学に通う大学生だ

いつも片道二時間の大学に通っている

私の使っている駅はいくつかの路線が通るまあまあ大きな駅だ

私は大学に通うため初めて春からその駅を使っていたのだが、入る入り口が違うと迷ってしまう。

それに加え、昨日からいつもの改札が一部工事中のようで別の改札を使わねばならずもっと分かりにくくなっていた

そんな日に限って私は大学の新歓で遅くまで先輩と食事をしてしまい急いで帰ることになった

迷いながらも何とか階段を降り、ホームにまでたどり着いた、しかし電車を一つ逃し次の電車が来るまで15分ほど待つことになった。

向かい側のホームはちょうど電車が到着し、電車が過ぎた後人が階段を上っていく姿が見える

しばらくして向かい側には誰もいなくなった、そのさらに奥のホームにはサラリーマン風の男性が数人ベンチで電車を待っている

私の周りには特に誰もいない

そんな感じで待っていたら、突然フッと奥のホームから順に電気が消えてしまった

私のいたホームも電気が消えてしまい、慌ててスマホのライトを使う

すると座っていたベンチが照らされた、しかし向かい側のホームを照らすことはできなかった

駅の近くにビルもあったはずだがすべて停電してるのかもう当たりは真っ暗だ

私は復旧を待つが電光掲示板も消えており何も情報が無い

私はスマホのライトを切ると、黙ってベンチに座る。ただでさえ使いすぎてバッテリー残量の少ないスマホをあまり使いたくなかったのだ。

しかし待っても待っても電車は来ない

そうしていくうちにだんだんと目が慣れてきた

私はスマホをつけると時間を見る、もう電車の来る時刻を5分すぎている

しかし停電なら仕方ない、そう思い待っていると電車のくる音が聞こえる

ガタンゴトン ガタンゴトン

その音はこっちに近づいてくる

私は立ち上がり黄色い線ぎりぎりに立った

電車はキキーー!!という甲高いブレーキ音とともに私のいるホームに停車した

電車の大きな黒い四角い影が目の前に止まる……がドアが開かない

私はドアの横に道を開けるように立っていたのだが、一向にドアが開かないため電車の窓の中を覗く……

しかし、外から見えないようになっている窓なのか結局暗くて何も見えない

どうしたらよいのか分からず運転席の方へ行くが結果は同じ、結局何も見えなかった

私は正直不気味さを覚えそのホームの階段を下りて一度駅を出ようとするが暗く静まり返った駅は場所がなかなか分からない……

「たしか、ここはホームにつながるいくつかの階段が左右からつながっている幅の広い大きな通路のはず……」

私はいつものように改札からホームへの道順を思い出し手探りで歩きホームに行く登り階段をいくつか通り過ぎた後背後から

コツコツコツ

と足音が聞こえるのに気が付いた

しかし、後ろからくる足音の方にはライトも何もない、私はひとまず近くの階段を上り息をひそめた

足音の方へ目を凝らすも、通り過ぎていく足音の人を見ることはできなかった

私は心臓がバクバク言っているのを感じた

とにかく早くでようと思い駅の中を直進し改札についたのだが人の気配は無い

改札横の駅員室も閉まっている

俺は改札を出ようとすると

ピンポーン

と警告音とともに改札が勢いよくしまる

「うあ!まじかよ!」

私は驚いた、停電なのになんで改札は動くんだよって思ったからだ

いや、電車もそもそも動くだろうか?

俺はゆっくりと通路を振り返る....が誰もいない

改札はピンポーン ピンポーン ピンポーン

と繰り返し警告音を発してくる

一向に鳴りやまない改札をみて復旧した後に面倒ごとになるのを避けたい俺はひとまず戻ろうとしたのだが.........

さっきまで歩いていた幅の広い大きな通路から

ドドドドドドドドド

っと大勢の人がこっちに来る足音がした

「おかしい、こんなに人がいるはずないじゃないか……」

俺は不振に思った しかし

足音が駅のなかで反響しどんどん近づいてくる、俺は恐怖に煽られ改札横のトイレに駆け込む

何も考えずに個室にこもり鍵を閉める そして目と耳をふさいだ

……どれくらいたっただろうか 駅は再び静かになり、スマホの時間は夜中の3時を指していたため駅が閉められることに焦った私はトイレからゆっくりでる

既にシャッターは閉められ、改札は何かで覆われていて見えず、警告音はいつの間にか鳴りやんで静まり返っていた

私は再びゆっくり壁に沿って歩き、通り過ぎたホームの数から自分の利用しているホームを探し当て階段を下る…………

「あれ?さっき階段を下ってからこの通路に来なかったっけ?」

間違えたのかと思うも、よく見るとこの通路のすべての階段が下り階段になっている

停電前、私は向かい側のホームで下車した乗客が階段を上っていたこと、自分は階段を下りてホームに来たことを思い出した

この矛盾に気づき、冷や汗をかきながら階段を下るとホームに電車はいなかった、そして駅は相変わらず真っ暗だった、しかし周りの建物にはポツリポツリと明かりがついていた。

私は駅がすでに閉まっていたことを確信しとりあえず親に電話をかけたが、状況を伝えたところでスマホの電源が落ちてしまった、

とはいえ、急に緊張の解けた私は疲労で急な眠気に襲われベンチに横になって眠ってしまった

しばらくして、駅員の声で目が覚める

いつの間にかホームには明かりがともっていた

私は駅員に連れられ明かりの付けられた駅を歩くと駅員室に入れられ事情を軽く聞かれた

私は思い出せる限りを話すと駅員は

「なに言ってるんだ?階段が逆になる訳ないだろう、それにあんたの話じゃそこの改札使ったってことになるぞ?」

駅員の指さす方向を見ると工事中の改札があった

私はまたもぞっとした もちろん停電も無かった


あれから私は親に怒られ遅くに帰ることを控えるようにした

しかし、改札があの時私を止めてくれなければどうなっていただろうと今でも考えてしまう。

そしてあの改札の警告音のあとに来た足音はなんだったのだろう……


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