4話 夢
商人の手伝いをすることになった次の日
商人の手伝いをしながら国を見て回れることは嬉しいけど、国の中には心を閉ざした人々の国があるんだそう。
「商人さん。一つ質問があるの。」
「言ってみなさい。」
「あなたは何かを押し付けられそうになったらどうする?」
アリシアは疑問に思った。
自分以外の人だったらどのような行動をとるのか。
世界は狭いようで広いようにも思える。自分と同じ行動をとるのか、それとも…
「押し付けられそうになったらか……場合によっては受け入れるかな。」
「そう…。」
自分の考えとは違う所があった。
自分の考えを勝手に変えられたくないと考えているアリシアは、商人とはどこか合わない所があるらしい。
「君は何かそういう体験があったのかい?」
「まぁ…色々と。」
あまり思い出したくない。
出てきてから1日しか経っていないため、今でも鮮明に覚えている。
「まぁ、夢なんて叶うことの方が珍しい。私だって好きで商人になったわけではない。出来ることなら子供の頃の夢を叶えたかったさ。」
「あなたは夢を追うのを諦めてしまったの?」
「現実はそう甘くないからね。親から仕事を受けつがされたのだよ。」
悲しいことだ。
夢を追うのを諦め、つまらない大人への道を歩んで行くというのは。
大人になる必要はない。いつだってそう思ってきたアリシアにとって、商人の言った言葉は悲しい者だった。
「まぁ、暗澹の国よりかはまだマシな方さ。」
「一体どうして?」
自分の祖国の話が出てきたことに驚きつつ、疑問に思ったことを反射的に聞いた。
「暗澹の国には悪い噂ばかり立っているし、そもそも暗澹の国から逃げ出してきた子供が国内状況を暴露したんだ。そのせいで更に暗澹の国についての悪い噂が多くなったんだ。」
「悪い噂?」
自分以外にも子供が逃げ出していたことを初めて知った。
自分はあの国のルールでは異端者で、もしかしたら自分はおかしいのかもしれないとすら思っていた。
「あの国は子供に当たりが強いだとか、厳しい仕事を喜んでやるような変人だとか。まぁそのほかにもいろいろあるのさ。ただ、夢を諦めるべきという言葉だけには賛同できるかもしれない。いつまでも夢しか見ていなかったら、あとでひどい目にあうからね。」
「そんなことないと思うけど…。」
言ってからハッと気づく。
しまった、こんなことを言ったらことごとく夢を見ることの無駄さについてでも話されてしまいそうだ。
「どうしてそう思うんだい?」
怒ってしまったことはどうしようもない。
今回の場合、変に話をそらさず自分の気持ちを話すのが一番いいと判断したアリシアは、心に秘めていた気持ちを伝えた。
「夢を見ることは大切だと思う。子供たちの想像力も素晴らしいと思う。子供たちは、自分の描いた未来を実現したりしている。そのおかげで発展した分野だってるはず。」
商人はいまいち、理解できないと言った表情だ。
「本来の自分やなりたい夢を抑える必要性はないと私は思う。だからこそ、夢を諦めてはいけないと思う。」
更新再開しました!
よければ他の作品ものぞいてみてください。