表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
暗澹の国のアリシア  作者: Luna(ルナ)
第1章  暗澹の国
3/21

3話  国境を越えて

[翌日]


「…。」

(最近は変な夢を見るな…。)


[一階にて]


「おはよう!今日はあなたの誕生日ね!」

「おはよう。」

いつもより幾分か機嫌が良さそうに見える。


(まぁ、今日で厄介払いか、私に良い職につかせて自分は楽しようとか考えてるんだろうなぁ。)


アリシアはそんなことを考えていた。

いくら自分の親でも、自分のやりたいことを否定してきたからには、彼女の敵でしかなかったのだ。


「あぁ!楽しみ!あなたの能力は珍しいからきっと良い職につけるわよ!」


(そっちか…。)


自分は今日で厄介払いされる確率の方が高いと見積もっていたので、良い職につかされるのは確率が低いと思っていたのだ。


「あなたが働いてくれれば私も休めるわ!……せっかく引き取ってあげたんだから恩返しぐらいしなさいよね。」


そう、アリシアはもともと引き取られたのだ。

しかし、別に産みの親が息を引き取ったからではない、目の前の女性が将来楽をしたいがために無理やり引き取ったのだ。

アリシアの産みの親は他の国にいるらしい。


(無理やり引き取ったくせに何を言うか。)


正直に言って、アリシアは目の前の女性に呆れていたが、顔を見るのもこれで最後だと思うといつもより心が軽かった。


[その晩]


育ての親たちから祝ってもらったが、口を開けばやれ楽させてだの、やれ国のトップにまで行けるようにしろだの言われた。

あまりの強欲さに反吐が出そうなのを我慢し、人々が寝静まるのを待った…


[翌日 A.M3時]


静まり返った町の中で、少女が歩いていた。


(これでこの街とも会うことはないのかな…。)


少しさみしい気もしたが、自分の夢を叶えるためには切り捨てないといけないものもあると割り切って、彼女は薄暗い闇の中に消えていった。





あたりに光が差し込み始めた頃、彼女は国境を越えるところだった。

もともと彼女が住んでいた街は国境から近かったのだ。

国境を越える時に、彼女は家に帰されないか心配したが、身分証明書で彼女が12歳だとわかるとすんなり通してくれた。


(意外とすんなり行けるものなんだなぁ。)


内心この国は大丈夫なのか心配した彼女だった。


国境を越え、しばらく歩いていると、ある商人と出会った。

商人は言った。

「こんなところであなたのような少女がなにをしているんです?」


少女は言った。

「自分の夢のために親の元から出てきたんです。」


商人は驚いた顔をしていたが、すぐに笑顔になり。

「ならば私のとこへ来なさい、私は色々な国を回っているのです。

あなたに商売の方法を教えたり、あなたが疑問に思うことなどにも少しは答えることができるでしょう。」


商売の方法を知っていれば、お金が尽きて植えることはありませんしね。

と商人は言った。


その商人はとても有名な人で、悪い人ではないことがわかっていた。


彼女は考えた上で、色々な国を回ることは自分のしてみたいことに含まれている。

こんな偶然滅多に起こり得ない、ここは甘えさせてもらおうと。


「よろしくお願いします。」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ