21話 考える
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
気がつくと、天井に薄いオレンジ色の光が写っていた。
もう夕方か…。だなんて、また感傷に浸ってしまうことを考え始める。
鬱々とした、薄暗い色の靄が心にかかってくる。
いますぐ気持ちを変えたくて、『今日の夜眠れるかな〜。』とか『眠れなかったら小説の一気読みでもしようかな〜。』とか、明るいことを考えるようにしたが、忘れようと思えばそう思うほど、メランコリーな気持ちが浮き出てくる。
(あぁもう!こんな気持ちになりたいって訳じゃないのに!)
なぜかモヤモヤとしたものが胸の大部分を抑えてる気持ちになった。
友達なんていなくても行きてける!大丈夫大丈夫!私は強い子でしょ!と、自身を奮い立たせる言葉を投げかけ続けるが、それも功をなすことなく、ただいたずらに時間が過ぎていくだけだと気付き、アリシアは自分位声援を送るのをやめた。
(こんなことごときで悩むなんて……バカみたい。)
もう今日は眠って眠って、眠り続けてしまおうかと思い、再び目を閉じた。
ーーー
また、いつもの奇妙な夢だ。
夢の中の人々はみんな、何かを話していると思えば、急に喧嘩になったり、きみわるがられたり、人によっては真っ青になっているではないか。
一体どんな話をしていたらそんな顔になるというんだ。しかも話をした本人の目の前で。
おかしな国だとは思いつつも、もしかしたら自分が行くかもしれない国なのかもしれないな、そしたらどうしてそんなにめまぐるしくいろんな表情……主にあまりよろしくない感情を顔に洗わせるのか、聞いてみたくもなった。
ーーー
一筋の光のみが部屋を照らす唯一の電気の中、アリシアは目が覚めた。
布団すら被らずに寝ていたからか、ちょっと寒かった。
そりゃあそうだ。この国は秋ですら雪が降り積もるような、年収通して気温の低い国なのだから。
しかし、それと同時に、胸の若黙りが消えていないことにも気付いた。
アリシアはそれを鬱陶しく感じているようだが、仕方がないことなのだ。
いかに孤独態勢が強くとも、永遠に一人きり、正真正銘のひとりきりでいれば人肌が恋しくなってくるだろう。
アリシアは孤独態勢が低い人間だった。
学校では、まるでひとりでいるのが楽しくて仕方がないように振舞っていたけれど、結局は友達が欲しかったのだ。
自分の考えに少しでもいいから共感してくれる人、そうでなくとも、私に新しい考え方をくれる人、そんな人が欲しかった。
いくら考えても堂々巡りなので、アリシアはいつしか自身の孤独や友達について考えるのをやめた。
そして今も、胸の靄について考えるのをやめ、水を飲もうと思い、水差しが置いてある広間までの道を歩いて行った。




