16話 つまらない
今回の滞在期間は2週間らしい。
なんでもお得意様がたくさんいるからその分儲かるだとか、商人組合の本拠地がある国で、そろそろ顔を出さないといけないだとか、要するに色々と用事があるから長引くということだ。
今回の国はあまり楽しくなさそうだな、とアリシアは思った。
なにせ、自然の国のような豊かな緑は見られないからだ。
規則正しくきっちりとした感じで、家々は等間隔に並べられ、色も統一されている。
(ガチャガチャしてるよりはマシだけど……寂しい感じがするな。)
個人的に来ることはなかなかなさそうだが、ここでも何か新しい体験が得れたらいいかと思い直すことにした。
ーーー
ホテルに着いた。
従業員全員が黒と白で統一された服を着ていて、機械的な返事ばかりをする。カウンターには分厚い本が置かれていて、『接待マニュアル』と書かれている。
部屋に入ると、これまた一定の規則性がありそうな家具たちが並べられていた。
のほほんとした雰囲気の自然の国の宿とは別系統で、なんだか落ち着けなかった。
ーーー
「私はこれから商人組合に行ってくるよ。3日後に帰ってくるからそれまでは自由にしていて構わないよ。」
「図書館はあるの?もしくは博物館とか……。」
「あー……あるにはあるけど、蔵書数が少ないんだ。博物館も同じ、展示品があまりなくてね。」
「それでも構わない。ありがとう。」
アリシアはお礼を言って、商人を見送った。
その後、アリシアはカウンターにいる従業員に博物館の場所を聞いて出かけた。
ーーー
商人の言った通り、博物館の展示品は少なかった。
すぐに見終わってしまったため、近くにあった美術館にも行ってきた。
美術館も展示されている絵は少なかったが、何百万、何千万とする芸術作品を見ることができたので、さほど気にならなかった。
ーーー
帰りに図書館により、数冊本を借りていった。
宿の自分の部屋に戻り、この国について調べてみた。
『法律の国とは、法律がとても多い国で国民全員が法律の通りに動いている国。家具の色や、接待についてなども細かく法律で定められているらしく、それを守らなければ即刑務所行き。』
なんとも変な国、というか怖い国だと思いながら、とてもつまらない国にも見えた。
最低限の法律はいると思うが、細かい動作なども制限されてしまうと嫌になってしまいそうだ。
(うーん……もっと楽しそうな国に行きたいな……。)
国について1日目だが、もうすでにうんざりしてきたアリシア。14日間もいたら退屈で死んでしまいそうだと、大げさなことを思い始めたのだった。




