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百花の散るころに  作者: cisya
1/2







彼女と、昔話。













その昔、人々の起源は花だったという___












___




西暦1000年。



あたりは炎の海だった。火花を散らしながら、もはやただの木くずとなった建物が燃えてゆく。



自身の色すら、香りすらわからなくなった人々はその身を散らせながらにげまどう。



__花は____一度火が付いたら終わりだ。



その人ごみの中、毒ガスを被り、ピンクの瞳にしずくを抱えた一人の女性が小さくまるまっていた。



わが子を、その腕にかばいながら。




女性は焦る。どうにかしてこの子を守らなければ。




思わずぎゅっと抱きしめる。



「・・・・・まま・・?」




小さくつぶやいた娘を見る。



ああ、なんて無垢な顔。・・・・!





・・・・私にはこの子を守らねばならない義務がある。





「いい・・・?___り、あなたは幸せに生きるのよ・・・・・あなたは何も考えなくていい。ただ、ただどうか・・・ふつうの、子とし、て・・・生きて」




自分の手中の娘をしっかり見つめ、女性は笑った。





そして、真剣な顔になると彼女は何かつぶやいた。



「・・・ロッスウム・・・・オブリ・・・ド」




よく聞き取れなかったが、そんなことを考える暇もなく、急に自分をささえていたものが割れ、私は吸い込まれていった。



「・・・・・まっ!!」



突然の衝撃に、目を見開いて女性を見る。



女性は最後に、ふわりと優しく微笑んだ。



(あの子には”花紋”も、でた。もし言い伝えが正しいのならきっとあの子は・・・!)






やがて、母の姿も見えなくなり、ふぁさっという感触が小さな背中をつつんだ。地面の中、そこはピンクの花がしきつめられた、暖かい小部屋だった。


_


「・・・・あ~らまだ息をしていたの?こんなところで。」




地面を見つめ、安堵していた女性は肩をびくっと揺らす。




・・・・目の前に立つのは豪華な黒の衣をまとった、ロングヘアーの女性。



__黒とピンクの対立。



黒の女性は目の前の地面にまるっている女性を一瞥すると、




「あっははははは!!みじめ、みじめね!天下の__と言われた一族が。これでやっと叶った・・・1000年越しの思い・・・!私はこの時をずっと待ってた、私が生まれたその日から・・・」




(・・・・!?ということは、言い伝えはやはり・・・!)



「・・・さて。嬲ってあげてもいいけど、もう私は待ちきれないの・・・あなたで、終わりよ!」




起こっていることすらきちんと理解していない私が__何か緊迫を感じたのもつかの間、何メートルも上の燃えた空気にドシュッという音が響いた、気がした。





冷たい空気に、なった、気がした。













____










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