第9話 覇という名の国 ! (5)
(本文)
「……何れぐらいの兵を持ちたいのですか、殿?」
「……わ、解らない……多ければ、多い程いいと思うし……」
張に自分の兵を持ちたいと、言って頼んだ僕だけど。またまた筆頭奥様というか、この国の丞相の質問攻めに合いそうでドキドキしているよ……
だから何て答えようかと悩む僕だよ……
「兵を持ちたいと、言うのは良いでしょ、別に構いません。でも、その兵を養うお金はどうするのですか、殿?これ以上余計な兵を養うほどの、お金もありませんよ……それこそ、そんな事をすれば、今殿が言った子供の為に学校を作るとい行事に、それこそお金が回せなくなりますから。」
「え……? 考えてくれるの張? 学校の事を……?」
「はい、考えますよ。今の今は無理ですが、子供達を国で管理できますし、それに保護すれば、人口も増えるでしょ、そうすれば兵にも困りませんから。それに子供達を教育して育てれば、中には良い官僚、良い将も育っでしょ、そうなれば国にはプラスになりますから、ゆくゆくは、考えたいと思いますよ。」
「……そ、そうなんだ、ありがとう張……」
「いえいえ、別にお礼言われ筋合いは御座いませんよ……それに、まあ、そう言う訳で御座いますから、兵は無理です、我慢してください……」
……う~ん、やはり駄目のようだね……筆頭奥さま許してくれないよ……
……で、でもね僕も諦めないよ。もうゴロゴロとした生活嫌なんて嫌だ。奥さま達に保護されて、ぬうぬうと暮らすの嫌なんだよ……
僕は男だしこの国の王なんだ──!
だからお飾りはもう嫌だよ……
僕も項羽……嫌……
奥さま達の覇業の手伝いをするんだ……
だから丞相閣下の許可貰えるまでは、引かないよ。今回は──
「……ん、僕が自分自身で稼いで、兵に給金を出すじゃ、ダメかな?」
「……ん、まあ、自分自身で給金を用意出来るなら、良いですかね……?まあ、その辺りは殿の御自由にどうぞ、それに殿のお小遣いの中から給金だしても良いですよ。その辺りはお任せします……」
「……え、あ、ありがとう、早速何か考えてみるよ。張……本当にありがとうね……」
や、やったよ……筆頭奥さま、ではなくて……
丞相閣下から許可おりたよ──だから僕頑張るね……
「……だ、ダメです殿!殿は兵など持たなくて宜しいですよ!この城に居ればいいです。敵は皆私が駆除しますから……」
……え?またまた僕に、反対意見でたよ……今度は韓信だね……
……ん、僕をね、甘々してくれるのは良いけれどさぁ、奥さま達。本当にまるまる肥えてしまうよ。僕は……
だからいつも、甘々さしてくれる信には悪いけれど反発するね。僕……反抗期だよ……
「……い、いや……このまま、ゴロゴロとした生活はもう嫌だよ、信……本当にブクブク太ってコロコロになっちゃうよ。僕……それにさぁ、自分の兵を集めるといっても、直ぐの直ぐには無理だと思うし。あくまでも、皆の補助で無理はしないし、勝手な事などしないよ。それにさぁ、本当に僕が前線に出るときには、信か羽に付き添って貰うから、大丈夫だよ……だ、だから良いでしょ……?」
「……え、でも……持てば出たくなりませんか戦に、殿……?」
「い、いや……だ、大丈夫たよ……」
「まあ、良いではないか、信よ?殿も色々と学びたいのであろう、社会を……? そうですよね、殿?」
いきなり高年層の男性の声だよ。僕に優しく問い掛けてくれた……この世界の、僕の義理の父である韓遂さんだよ。とても温和な男性だけどね戦上手なんだよ……
そんな彼が僕をかばってくれたんだ。それで娘である信を説得し、始めてくれたよ……
だから何とかなるような気もする、僕だよ……⁉
「……そ、そうですよね……オヤジ殿の言う通りですよ……だから、皆良いでしょ? 色々と考えてみるからさぁ、自分で……商いもしてみるよ。色々と……だからお願い許して皆……社会勉強だと思って見逃してよ……」
──俺皆に嘆願したんだ!
一応臣下と言ってもね、周りにいる重臣達はほとんど、身内というか、親族だからね……
だから王だと言っても自分自身で勝手に決めれないし、独裁も出来ないのよ……
だから張も僕には厳しく当たるしね、定評の時は……でもね普通に生活は皆優しいよ奥さま達。それにさぁ、良く尽くしてくれるよ。
だからね、信も心配なのだとは思うよ。僕を戦に行かせたくないとは、前々から言っていたからね。
だけどね、僕もこの世界に来て月日が経ったよ。だからそろそろ、立ちたい!
この国の置かれている立場も余り良くはないとは、解ってきたからね!
……確かにこの周りでは群を抜いて大きな国みたいだけど、周りの小さな国々同盟して対処しているから、中々覇業が思うよう行かないみたいなんだよね……
だからそろそろ、僕も立つよ──
そして奥さま達を助けたい、僕なんだよ……
「……まあ、良いではないですか、信。許可を出しましょう……このままゴロゴロと舞いを見て遊ぶ生活よりは、良いとは思いますから……それにこの調子だと家臣達にも示しも付きませんからね……」
今度は張が説得してくれたよ!
だから何とか収まりそうだよ。話も終わりそうだ……
「……はぁ、まあ、姉さまが言うのなら、仕方がありませんね。解りました、暖かい目でみまょう、でも殿……絶対に無理はダメですからね……」
「……うん、大丈夫だよ。何かあれば、相談するからね。だから心配しないでね、信。僕頑張ってみるよ……」
「は〜い、解りました、殿。頑張ってくださいね~」
「うん、頑張るから……」
ふぅ……何とか納得してくれた……奥さま達……
だから後は何をして、儲けるかを考えないといけないね……?
よ~し!何の商いをするかな……?
思わずワクワクしてきた僕だよ……
◇◇◇◇◇