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正解率0%

作者: G

問題です



1+1=?



え、何これ!?引っかけ!?

う~ん、何かこう聞かれたら迷ってしまうのが人間だと思うのよね。少なくともあたしはさ



ここは普通に2と答えるべきか、それとも、これは友達による、新たな挑戦状なのか。あたしから笑いのネタを引っ張るためのクイズなのか。さくらは、朝っぱらから眠いのにもかかわらず迷っています。それもこれも血も涙も知らないあたしの親友が出したクイズのせいだ。だけど、どうしてあたしはこんなに考えているのでしょう。まあ、これが人間ってものよね!うふふ、絶対、解いて見せるのさ!

どんなにバカでもあたしは自称クイズっ子だったんだから。好きだったのさ。でも、何故か答えるたびにあたしは近所の笑いものにされたこと、あの時の屈辱は、今でも忘れない(うう)コンチクしょー!ハゲヤロー!



えいえい、何が何でも当てて見せよう!




正解率0%


正解率0%


正解率0%


正解率0%


正解率0%って・・・!









「何故ここにいるんだ」

「それはご法度さ」

「用がないなら出て行け」

「そんな事言われる筋合いはないし、あたしはここに用があるのよ!」







鼻息を荒くして胸をドーンと叩いたさくらに彼は横目で見て、フン、と鼻で返す。さくらがここに何の用があろうとなかろうが彼には勿論関係ない。というか、彼とさくらは、互いに全くといって良いほど知らない。2人は言葉を交わしたことはない。もしかしたら今、初めて顔を真正面から合わせたかもしれないと言うくらいの仲なのだ。それなのに、さくらの馴れ馴れしい態度に思わず暴言を吐きたくなる衝動を抑えつつ彼は耐えた。ここは図書室。ゆっくり本も読めないのか・・・と溜め息を静かについた。そして睨んだ先には、彼よりも眉間に皺を寄せてうーんと唸っているさくら


さくらから視線を外して本に戻す。集中しよう、しよう、と思っていても向かいのほうから何とも耳を疑いたくなるような奇声が聞えてきて、不可能である。





「あーおーぇー??」

「少しは静かにしろ」

「えー」

「何を言ってるのか全く分からない」

「彼、顔怖いよー」

「誰のせいだと思ってる」

「ここ暑いねー(しれ)」



手でパタパタと煽ぐさくらとは裏腹に、今度は彼の眉間に方に皺がぎゅっとできた。

出来ればこいつの居ない所へ行きたい。どこかに行きたい。その願っていても、何故自分が行かなければならないのか、という疑念に駆られて、悔しく、ここから出ることをやめた。


さくらは、彼のただならぬオーラを感じて、どうしたの?と聞いた。けれど彼はご立腹の様子で、とうとう背を向けだした。その様子に、さくらはうう~ん、と唸り始める。



「どうしたのー?」


返ってくる返事はない。



「そこのお兄さん」



冗談交じりで軽く言ったのだが、彼はさくらを睨んだ。この男は冗談の通じない真面目な人でした。

当の本人は、怒っているのだろうが、さくらには通じない。皴を寄せた顔が面白いなんて言ったら、きっと口も利いてくれなくなるので、言わないでおいた。



「そこのイケメン」




自分で言ってみて、あまりにも面白くてツボにハマってしまい「ぶぶ」っと噴き出してしまった。だけど、脳天にグサッと彼の視線が刺さったため、必死で「冗談冗談」と言って笑いをこらえる。彼から放たれるオーラは「失せろ」と発していた。

だけど、ここでめげるあたしじゃないのよ。




ううん?あれ?あたし主旨忘れてない?

ここに何しにやってきたんだっけ?彼をからかう為?







「あのねー!」

「2度とその面を見せるな」




ぶほっ!ななな何ですって!?絶交宣言されちゃいました!ああ、もうダメ。彼は鼻をフンと鳴らして再びさくらに背を向けてしまった。何故だか、ズキッとどこかが痛んで、切なくなったのは、きっと気のせいで



うーうー、と唸っていたら他の生徒達に変人を見るような目で見られ、半ば怯えられる。あたしはいたって健全女子だ。老後は健康ランドに通うつもりだし。






あー、そういえばあたしは、クイズの答えを考えるために、この静かな図書室に来ていたのだ。

座るところを探していたら彼を見つけて、「ここいい?」って聞かないで座ったら思いっきり嫌そうな顔で消えろ、と言われてだけどあたしはめげなくてうふふと笑いながら座った。そうだ。そうなのだ。あたしには、正解率0%というクイズが科せられていたのだ。



1+1=~?とか何とかぼそぼそ言い出したあたしを彼は気にもかけないで、溜め息を一つしただけだった。ああ、何か切ない!







「あー」



普通に考えたら1+1=なんて問題なんて出さない。だって考えなくても分かるからだ。だからこれは引っかけ問題だと






夕焼け、こやけ。

あたしはとうとうクイズを解いてしまった。陽が落ちて辺りが段々と暗くなってきていた。だけど、さくらの心は真っ青な晴れ模様






「分かった、分かったよ!!」




バン、とテーブルを叩きながら勢いよく叫び、そして立ち上がったさくらは、案の定、少しだけ残っていた生徒達と彼の冷たい視線を浴びた。だけどそんな事気にはならない。



現実に戻ってきたあたしの耳に真っ先に聞こえてきたのは雨の音だった。





「何が分かったんだ?」

「1+1=田だ!」

「バカか。1+1も解けないとは、絶望的だな」




かなり嫌味な顔をして、もはや天然記念物を見るような目であたしを皺を寄せながら睨んだ彼は「そんな事を考えていたのか」と鼻でフンと鳴らして読んでいた難しそうな本を閉じた。



興味があるのか、ないのか、分からないが返事をしてくれたことが嬉しくて嬉しくて、まあ大層な事ではないんだけど、まあ、あたしが悩んでいた理由を話してあげようと思った。


今日の早朝の出来事をあたしは事細かに話した。親友があたしを陥れるためのワナとか、そのワナのクイズとか、さくらが、1日ずっと、クイズのために放浪していた事とか、彼をからかって楽しかった事とか




「だから正解は1+1=田!!」





これは完璧だ!そう思って言ったのに、彼は




「答えは2だ」



「何で!」

「答えなんてもの、貴様の回答次第で変えられるだろう」





確かにそうかもしれない。だけど、あたしの親友がそんなズルイ真似をするだろうか。彼女はあたしの親友なのだ。





「よく考えてみろ、貴様の親友とやらは、本当に親友なのか」

「し、親友よ!」




その時、彼の顔がニヤッと笑った。





「あー、何か疲れた」





テーブルの上に顔を突っ伏してうな垂れて、もう何もやる気がしなかった。まあ、何もやっていなかったけど。日々、使わない頭をフル回転させて1日中ずっとずっと考えていたのだから、しかもこんな答えがあったなんて、ああ本当になんなんだ。彼女は親友じゃなかったのか。

ふと、低く笑う声が聞えた。







(知っている


  誰だって自分が有利に考える ことを、知っている)

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