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恐怖対象が唯一の癒やしというのは矛盾している

持ち上げて落とされた私は割と簡単に浮上した。

何故なら無表情が残りの2本のバケットサンドも千切って分けてくれたから。


2本目はトマトと卵サラダにオリーブの輪切りがいい感じにアクセントになっている卵サンド。

3本目はサーモンとクリームチーズに生のオニオンスライスがピリッと爽やかなサーモンサンド。


言葉にショックを受けたものの、つまりはこれからの道中快適になるように気にかけてくれるという事ですよね!! と、受け取ったバケットサンドをかじりながらポジティブに受け取る事にしました。


ちなみに会話は解禁されなかったようで皮袋について質問したけど黙殺されましたが。

仕方無く後ろの3人に聞いてみれば、チータムさんが解説係を請け負ってくれた。


チータムさんの中ではノースより無表情の方が上なのか、無表情が方針を口に出した事で多少私の会話相手になる気が起きたみたいだ。

取り敢えず殺意を置いておけば私に友好的な順位は無表情、チータムさん、以下略…となったらしい。


皮袋についてはこの世界、魔法で水を召還できるらしい。 指定の器の中に水を召還し飲み水の確保をする生活魔法と呼ばれる分野で、誰にでも使えるので旅なんかだと必須の水を持ち運ぶ必要が無いのだとか。


それでも魔力の消費を抑えるために水場を確保できる場所に住むのが定石らしいけど、凄い便利ですねこの世界。


『水が欲しかったら言ってくれ』

とチータムさんに言われたけど、誰にでも使える魔法だと言うなら教えてくれても良いんじゃないでしょうかね?


勿論拒否されるのが目に見えるので言いませんけども。


それにしても無表情は私にとって善悪のどちらになるのかが非常にあやふやな立ち位置だ。


ポジティブシンキングな私…………いや全然ポジティブじゃありませんでした。 凄いネガティブでした。 死ぬ死ぬ殺される殺されるばっかり思ってたネガティブでした。

何が私をポジティブに変えたかって至極単純に餌付けでしたすみません。


取り敢えず餌付けされた私は寿命が明確に分かった事で今の所は無表情を味方だと認識する事にしたが、旅の終盤はきっと死神にしか見えなくなるに違いない。

でも今は私を生かしたい無表情。


少なくとも1週間は味方と言えるんじゃないでしょうか?

ノースがちんたらしてくれればもっと長い期間になりますよねー? なんて。


その間にほだされる人間では無いと思うけど、その間は味方。

食べ物や飲み水には困らないし見殺しも無い。

会話は無いけど悪口や嫌味も無い。

このメンバーで1番偉い。

………………じゃあ全力で厚意に甘えましょうかね!!


「あのー…」

横に座る無表情に声をかけてみるとこっちを向いてくれた。

会話はしなくても聞く姿勢は作ってくれるみたいだ。

「私を殺す時は出来れば痛く無いように一瞬でお願いします」

無表情は無表情のまま躊躇い無くこくりと頷いた。


死にたく無いけどこれで一応安心する。

グラトンやノースに殺されたら絶対一息では殺さずになぶり殺しにされるんじゃないかと冷や冷やしてたんですよね、特にノースは。


力に目覚めるもしくは勇者召還に気付いた魔族に誘拐されるとかが無くても惨殺や見殺しが無いならもう良いですかね。

一時流行った無気力系主人公ならぬ悟り系主人公として余生を過ごすとしましょうか。


何故か突然威圧感ばりばりになって凄い怖くなった無表情の隣で…。

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