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死んだら呪いじゃなくて物理で仕返したい

城門から見えなくなった途端に態度が急変して殺されるという展開は無かった。

もしそうだったらどうしようも無いよね私今のところ一般人だし。


先頭がグラトンでその後ろにノース、私、無表情。

私の横にチータムがいるのは逃走防止なんだろうね。


私達一行は城下町の路地裏を人目につかないよう黙々と歩いている。

ジグザクと歩いて1時間ほど経った頃街を囲む壁にぶつかり、それからは壁に沿って薄暗い道を進んだ。


街の様子すら見せたくないのか!?

それとも私を誰かに見られると困るの!?

もしかして壁の外に出てから切り捨てられる!?


頭の中でぐるぐるとそんな事を考えるのにも疲れ、殺されそうになった私が魔法の力に目覚め4人を葬った挙句ドラゴンになって城を襲撃する妄想が終盤に差し掛かった頃に門が見えたのだった。




私はやっぱり西洋風のドラゴンが良いと思うんだよね。

空を飛ぶ生き物には翼がないと落ち着かないし、東洋の龍はフットワークが重そうで不便な気がするしね。

色は闇落ちだし漆黒のドラゴンとかそんなんでどうだろうか?

火を吐くなら赤でも良いけど悪と言えばやっぱり黒でしょ!

それに私の髪も目も黒いんだからドラゴンになっても同じ特徴が無いとね。

吐く炎も黒で相手が死ぬまで消えない炎とかどうよ。

最凶ドラゴンの称号は我が手に!!

そんでもって新たな勇者として召還された弟との戦いの末、浄化されて真珠のように輝く白いドラゴンになれば完璧ですよこれは。

人間の姿に戻ったら輝く銀髪と透き通るような白い肌になってて、勇者の弟と一緒に巫女として祀られる様になるハッピーエンド!!

……これで私も弟にも勝るとも劣らない中二病です本当にありがとうございました。

いやまだ勝ってはないかなこれは現実逃避したいせいであって落ち着いたら治る一過性の中二病だから。

まだ大丈夫大丈夫大丈夫

「ちっ、ようやく見えたか」

だいじょ…舌打ちするのは止めなさい癖になるから。


グラトンの言葉で現実に帰ってきた私の目にちらりと見える壁の終わりとそれに続く大きな門。

あそこから外に出て門から見えなくなった頃に私は殺されそうになるんですねわかります。


私達をおいて1人で人やら馬車やらが行き来する門に走っていったグラトンは門番に何かを伝えている。

そしてグラトンが1人の門番を連れてこっちに戻ってくるかと思いきや、門から少し離れた影になっている部分で止まった。


何でそこで止まるんだというかその横の門番が私を殺してその罪で処刑される使い捨てとかじゃないだろうな…ってなんだこれ鉄柵製の扉?


扉越しに見えるのは草原とその先にある森だけで家や畑、牧畜などは見当たらない。


なるほどここから壁の外に出るのか。

グラトンが連れてきた門番はがちゃがちゃと扉の鍵を開けてそこから私達が出た後にまた鍵を閉め、全くこっちを見ようとしないまま鍵が閉まった事を確認すると走って去っていった。


ここまで徹底されると嫌な予感がますます強くなってくるんですが本当に殺されたらどうしよう。

隠れる所の無い草原で逃げ出しても追い着かれて袈裟切りか心臓一突きもしくは遠距離魔法とかで即死みたいなパターンしか思い浮かばない。


ぐああああ! 目覚めろ私の魔力! 今すぐ目覚めて翼が生えれば逃げ切れるかもしれないから!!


「あの森に向かうのかよ」

「人目につかず近道になりますからね。 旅の終わりは早い方が良いでしょう?」

人目についたら駄目な私の人生という名の旅の終わりですねあはははははは…。


「あの森には最近ドラゴンが住み着いたと聞いたんだが…。 我々4人でドラゴンを退けるのは無理じゃないか?」

チータムさん私は戦力外だから数えられてないのかそれともドラゴンに会う前に死んでるのかどっち?


というかドラゴンいるんだこの世界…。

私にドラゴン使いの力が目覚めるパターンは有りかな? 可能性は無限大だし有るといいな!


「城に居た占い師によるとあの森に住み着いたドラゴンは目に見えない物を糧にしているそうです。 食われたり我々がその糧を奪ってしまう事はまず無いでしょう」

あ、これフラグねフラグ。


目に見えない物ってほら命とか魂とかそんな感じだった場合肉体食われなくても死ぬじゃないですかー!

視覚じゃなくて嗅覚や触覚だったら血の臭いとか肉を引き裂く感覚だったり聴覚なら断末魔とかほら色々ありますよ!

甘いよノース! ホワイトチョコレートより甘いよ!


っていうかこの世界のドラゴンって私の知ってるドラゴン?

偏食なの? 科学が関係無い方のエーテルとかで生きてるの?

「じゃあ音か臭いだな。 今の時期あの森には果実が豊富に実ってるしその臭いか?」

「その果実に集まった鳥の声かもしれませんよ。 占い師にもそれ以上は分からなかったらしいんですが、余計な事をしなければ人間を襲う事は無いでしょう」

とりあえずこの世界のドラゴンが栄養素とか無視して生きてる事だけ分かったわ。

ファンタジーの常識分かんないわ。

というか本当に嗅覚と聴覚だった事に驚きですわ。

綺麗な湧き水とかじゃないのか!


私はネガティブにボケたつもりだったのにまさかの大当たりとは…。


なんとなくあの森に入って休憩しようってなった時にグラトンが

『おいお前あっちの果物取ってこいよ』

とか言い出して仕方なく取りにいったらドラゴンに襲われて死ぬパターンが頭に浮かんだ。


余計な事が何か確定したら絶対私にそれをさせようとするんじゃないですかこの人達は。


もはや全ての事が死に繋がる疑心暗鬼状態に私自身乾いた笑いがでるわ。

「いっその事人食いドラゴンならこいつを森に放り込むだけで済んだのにな」


わっはっは!

グラトンきみは殺意を全然隠さないな!

おねーさんちょっと怒髪どはつてんいちゃいそうですよ…。


いやもう微塵も表に出さないけどね!? 怒りも不快感も呆れも全部隠すけどさ!!

他の3人も表向きだけでもフォローして下さい…。

「もし人食いドラゴンだったら我々も無事じゃ済まないよ」

あ、ちょっとそれ我々の中に私入ってないよね。

私が死ぬのは良いけど自分達も危ないって事だよね。


「とりあえずは3日以内にあの森を抜ける予定だったな。 アメイ山を迂回すれば来週には魔族の土地との境に着くんだったか?」

「ええ、その筈です。 勇者さんが女性なのでそのぐらいかかるでしょう」

魔族の土地…荒野とか火山地帯とかだったらどうしよう。

というか日程があるって事はとりあえず私1週間は殺されないで済む…?

魔族の土地に着くまでは命の保証が!?

なんでさっさと殺されないのかは分かんないけどちょっと元気出てきた気がする。


「はっ。 じゃあ10日以内に帰れるな」

……行きは私が居るから1週間で…帰りは私が居ないから3日、かな?

これは人間の土地では殺せないから最短ルートで魔族の地に行って殺す的な…?

あー…。


魔族の土地で怨念を持って死んだら強い魔族に生まれ変われたりしませんかねこの世界…。

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