これが俺たちの水泳授業
夏。
太陽が蘭々と輝き、人々の身体からことごとく水分を奪っていく季節。
……ねえ太陽さん。その奪った水分どうすんの?あなた飲めないでしょう? 蓄えられないでしょう? 奪ってただ放出して、みんなを不快にする湿気に変えるとかなんなん? 拷問?
夏。それは拷問である。
だが、そんな夏にもオアシスは存在する。
そう、プールだ。
浴びる水はほどよく冷たく、火照った身体を良い感じに冷やすのだ。
何より、プールの魅力は──水着だ。
え? 誰のかって?
決まってるだろう。
そう──
「女子の水着だッ!!」
「バカがいる」
冷めた目で俺を見る女子。
「バカで結構だ! 俺は──欲望に忠実になれないくらいなら、バカになる」
拳を高々と振り上げ宣言する俺に沸く教室の男子ども。
さすがヒト科ヒト目オス。気持ちは常にともにある。
プール開きが明日に迫った我らが教室は前夜祭ムード。
ああ……いいなぁ。この一体感。
男子は言わずもがな。女子はそんな男子を敬遠するように。
どのような形であれ、男子と女子それぞれが団結している。
これが我がクラスの絆だぁ!
「あ、ちょっと良いか〜」
ん?
担任が突然教室に来て、一言。
「明日のプール、男女別だから」
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「……先生」
「……なんだ?」
翌日。
俺たち男子一同は水着に着替え、プールサイドに集合していた。
眼前にたたずむ細身の体育教師、安田は心底暑そうに汗を流している。
「……一つ、言わせてください」
「……言ってみろ」
許しを得たので、深呼吸をして肺にいっぱい空気を取り込んで──叫ぶ。
「──なんッで女子はバレーボールなんですかァァァァァ!!!!」
男子が水泳の日は女子がバレーボール。女子が水泳の日は男子がバスケットボールという構成に、男子一同はことさら絶望していた。
「……おまえらの態度のせいだろうが」
やや苛立たしげに言う教師に、男子は激昂する。
「なんでですか! 俺たちこんな優等生でしょ! 授業開始五分前集合!」
「団結力も全校の知るところ!」
「褒められることはあっても、こんな仕打ちを受けるいわれはないでしょう!」
「五分前集合は当たり前だし、おまえらの団結力が発揮されるのはいつもくだらないことに対してだし、こんな仕打ちを受けて当然だな」
瞬殺された。
「だいたいなぁ……オレもおまえらみたいなむさ苦しい連中なんか相手したくねえんだよ。女子見るために体育教師になったのによぉ」
「おい問題発言」
これ教育委員会に摘発したら即解雇ではないだろうか。
「それがッ! なんだこの状況! 男だらけ! 何がオアシスだ幻想郷だイデアだ! 女子の柔肌ァァァァァ!!!!」
膝をつきうなだれる安田を見て引く俺たち。
……うわぁ。
「よし、各自準備体操。その後250メートル泳いで今日は終わりだ。あとは上がるなり遊ぶなり好きにしてろ」
すっくと立ち上がり、そう指示してその場を去ろうとする安田。
「ど、どこ行くんですか安田先生?」
「え? 女子のバレーボール見に行く」
「捕らえろ」
「や、やめろ! 何をする! 教師にこんなことをして許されると思っているのか!」
「女子を守るための当然の措置だ!」
ぐぁー! やめろぉー! と叫ぶ安田をフェンスに縛り付け、こうなったらさっさと泳いでバレーボールを見に行こうということになったためシャキッと準備体操を終わらせる俺たち。
え? なに? 人のこと言えない? そんなの知ラナイナー。
「おっしゃぁ! 順番守ってみんな等しく250メートルさっさと泳ぐぞぉ! 泳げる奴は率先して泳げない奴を手伝え!」
俺の指示に頷くクラスメイト。素早く『泳げる人』と『泳げない人』とに分かれる。ちょうど半々になったので、二人一組のペアを作り、早速泳ぎ始める。
「クロールが出来ないなら平泳ぎとかは? ……できるか! ならとりあえず平泳ぎで泳げるとこまで泳いでみようぜ!」
なるほど。泳ぐ型は別に指定されてないしな。
「けのびした後すぐにバタ足始めるんじゃなくて、スーッと進めるとこまで進んでから足やら手を動かすんだ。やってみよう」
技術面で劣る分、少しでも進もうとする練習だな。……かっこつけて言ってみたけど、まあ、基本だよな。
「俺が手を引いてやるからバタ足で進んでみような。ほら、手ぇ掴んで」
引っ張ってやるのも、一種の練習になるな。うん。
「息継ぎできないかぁ……って、背泳ぎできてるし!」
……泳げないって嘘ついてる奴多くね? クロールじゃなきゃダメだと思ったのかな……。
さて、順調に行ってるみたいだし、俺もそろそろ泳ぐか。
あ、俺のペア? いないよ。
実はうちのクラス、男子の数が奇数なのだ。二十一人な。
んでまぁ、俺が余った訳である。
別に得意とまでは行かないが、ゆっくりとなら250メートルくらいどうってことない。25メートルプールを五往復すれば良いだけだしな。
冷たい水に足を差し入れ、静かに泳ぎ始めた。
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「──よし。みんな泳ぎ終わったな。ストレッチしてシャワー浴びようぜ。次のプールいつだ?」
「次は確か明々後日だ」
「二日空くのか……今日練習したことを次まで忘れないようにしようぜ」
「「「おう!」」」
こうして俺たちは、たった一日でかなり上達した。
みんなで教室に戻りながら今日の成果を語り合う。
ああ、これぞ青春。
……何か忘れている気もするが、気のせいだろう。
プール後の授業はすべて爆睡した。
プールサイド、フェンス。
「……オレ、いつになったら解放されんの?」
フェンスに縛り付けられたままの安田は、ポツリと呟いた。
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翌日は、女子がプール。俺たちはバスケットボールをした。
バスケットボール大好きな俺たちははしゃぎまくってヘトヘト。またも、その後の授業は爆睡してしまった。
そのまた次の日は体育がなく、さらに翌日。
「今日も元気に250メートル泳ぐぞぉ!」
「「「おぉぉおおお!」」」
俺たちは今、モーレツに青春している!
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何やら騒がしい声が体育館に聞こえてくる。
ああ、これは男子だなぁ……。
ばんっ、と弾むバレーボールの音を聞く耳で、遠くから聞こえる雄たけびを捕まえた。
また何かバカをしているのだろう。
プール開き前日のあの落胆っぷりからは想像もできないけど……さすが男子、単純だなぁ。嫌なことなんてすぐ忘れちゃうんだろうなぁ。
どれ、今は暇だし、少し覗いてみよう。
体育館を出てすぐの場所にあるプール。
……ん?
「……安田先生、何してるんですか……?」
背伸びしてようやく届く位置にあるフェンスに、体育教師の安田先生が縛り付けられていた。
ちなみに、私たちの体育は女性の先生が担当してくれている。夏の間だけだけどね。
「……んぉ? おぉなんだ。バレーボールはどうした」
なんかものっそい軽い感じで返された。え、なに? 先生はその状態がデフォルトなの?
「いえ、今私のチーム休みなんで……ってそうじゃなくて、先生何してるんです?」
「おお、そうか。んで、暇になったから男子を覗きに来たわけだな。大した面白味はないぞ?」
「いえ、別に面白さ求めて来たわけじゃないんで……ってだから、先生はどうして──」
「はっはっは、そうなると暇潰しか。いやぁ、男子どもも可哀想だなぁ。暇潰しの道具にされるとは」
…………。
聞かれたくないのかもしれないなぁ……。
私は諦めて、男子が泳ぐプールを見やる。
普通に立っても見えないので、そこらからブロックを持って来て、その上に立って中を覗く。
そこで私が見たのは──
「よぉし! 火曜の時より泳げてるぞ!」
「こっちは泳ぎ終わったぞ! あと終わってない奴いるかー?」
「はやっ!? まだ授業始まって十五分だぞ!?」
──女子がいないというのに、やけに活気に満ち溢れた男子の姿だった。
「……お、おぉふ」
「凄いだろう? あいつら、オレが教えなくても自分たちで何もかもやっちまうんだ」
どこか悟ったような顔で、微笑ましいとでも言うような顔をする安田先生。
……あれ? これ、二回目のプールの授業だよね、男子?
何があったのよ……。
「こ、これはぁぁー!」
「うわぁ!?」
いつの間にいたのか、隣には私の友達である女子がいた。
丸メガネをキランと輝かせ、何やらブツブツと呟いている。
「手を取り合い純粋な好意を寄せ、互いの目標を達成できた時の高揚感から染まる頬……そうして徐々に縮まった二人の距離は衣服なんていう壁を取り払ってぐほぉ! ……そんな光景があちこちでぐはぁ!」
……鼻血を吹きながら変なことを言う友人に対して、私が言うことは最早なにもない。
「ねえ! 見て! この楽園を! あたし出血多量で死んでも構わない!」
「今あんたが言うとシャレになんないからやめようか」
メガネの奥に覗く瞳は『腐』で埋め尽くされ、垂れる鼻血が大和撫子としての慎ましさなど取っ払ってしまっている。
なんかもう、色々手遅れな子だった。
……男子と同レベルだ。
男子が異常なまでに燃え、教師は悟りを開いた表情でフェンスに縛り付けられて、隣では我が友が『ぐ腐腐腐腐』と笑っている。
私は、まさにカオスと言うべき空間で一人、溜め息をついた。
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一ヶ月後。
既に男子の中に泳げない者などおらず、その顔はやる気と自信に満ち溢れていた。
「安田先生、今日のメニューを」
「そうだな……ここ一ヶ月頑張ってたし、夏休み前最後の水泳だ。好きに遊んで良いんじゃないか」
優しい顔で言う安田先生に、だが俺たちは激昂する。
「何言ってんですかッ! 言うに事欠いてあ、そ、ぶ!?」
「せっかくみんな泳げるようになったんだ。もっと高みを目指すべきでしょう!」
俺たちの言葉に安田先生は、雷に打たれたように動きを止め、目を見開いた。
「……そうか。おまえらがそう言うなら、わかった。──ここに、第一回水泳大会を行うことを宣言する!!」
「「「おっしゃぁぁぁぁぁ! 愛してるぜ安田ぁぁぁ!」」」
「教師には先生付けろ、それと、おまえらに愛されても嬉しくねえよちくしょぉぉぉ!」
そうは言うものの、安田先生は笑っていた!
盛り上がる男子どもプラス一名をよそに、フェンスの外からこっそり覗く女子生徒が一人。
その生徒がポツリと呟いた。
「……なんでそうなる?」
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「ルールは簡単だ。この一コマしか授業時間がないから、三つのチームに分かれてリレー。型は指定しない。25メートルプールを一往復してゴールすると同時に次の人がスタート。着順はオレの目測で判断する!」
手早くルール説明を終える安田先生。
チームは出席番号順に、
A:1、4、7……
B:2、5、8……
C:3、6、9……
と分かれる。男子は二十一人だから、一チーム七人の計算だ。
レーンにつく。
飛び込みは出来ない者もいるため、最初から水の中に入ってスタートする。
「準備は良いか? いちについて、よーい──」
水泳のスタートって、陸上と同じなのかな、などと呑気なことを考えながら──
「──スタート!」
──第一回水泳大会の幕が降りた。
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「がんばれぇぇー!」
「負けんなぁぁー!」
出番待ちの奴等が応援する。
俺の出番は六番目。最後から二番目だ。ちなみにBチームな。
上達した男子たちは皆拮抗し、中々差が開かない。一瞬でも気を抜けばそれが命取りとなる。
そして、拮抗状態が続いたまま、俺の出番が回ってくる。
泳いでいる間は声が出せない。だから──手を叩くことで、お互いの意思を通じ合わせる。
──頼んだ!
──任せろ!
両足で後ろの壁を思い切り蹴る。多少の抵抗とともに、静かに水中を伸び進む。
やがて勢いが止まろうかというとこで両足を上下に動かし、イルカのように前へ出る。なんつったっけなこの基本の泳法……。
10メートル進んだところで、脚で水面を打ち、手で水を掻く。
割れながら美しい形のクロールだ。そのまま流れるように反対側にタッチし、軽やかにターンする。あと25メートル。
と、そこで。
──イギィ!?
あ、脚が攣った!
ターンする際に思い切り脚を伸ばした。その反動だろう。
──マズいマズいマズいマズい!
どうにか痛みに耐えながら必死に手を掻く。だがそのリズムが段々とバラバラになり、呼吸も苦しくなってきた。
──やべぇ、前に進んでる気がしねえ。脚が痛えぇ!
ゴールまであと15メートル。
両隣のレーンでは、俺より少し先を泳ぐ男子の姿が見れた。
クソ……ッ!
俺のせいで!!
──そんなの、嫌だ!
「……お、おい、あいつ、溺れてねえか?」
「はぁ!? た、確かに、なんか急にバタバタと……って、やべえ、AチームとCチームに差をつけられる!」
あと15メートルというところ。すでに差は5メートルまで開き、逆転は難しいと見える。
「くそ……っ」
「──おい、見ろ」
とある生徒が指差すその先には、Bチームの六番手、その男がいた。
ただし──先ほどのように溺れているわけでなく……
「く、クロールから平泳ぎに変えやがった!」
──平泳ぎなら、脚を伸ばしっぱなしにすることがないから幾らか楽になれる!
プール初日の、クロールで駄目なら平泳ぎという手法を取っていたペアを思い出したのだ。
何も辛いクロールで泳ぐ必要はないじゃないか。
だって、型は指定されてないんだから!
──それに!
「は、速え!」
「なんだよあいつ、クロールより平泳ぎの方速えじゃねえか!」
「お、追いつく──並んだ!」
俺はぶっちゃけ、クロールより平泳ぎの方が速えんだ!
なぜ最初から平泳ぎで泳がなかったのかと言われれば──呼吸が続かないのだ。
なぜか呼吸が楽なはずの平泳ぎで、俺は息継ぎが出来ない。
だから長い距離を泳ぐ際はクロールで泳いでいたのだ。
だが残り15メートルと来て、今さら息継ぎなんか必要ない。
息が来れる前に──泳ぎ切る!
残り10メートル……5メートル……!
酸欠で痛む頭。掠れ消えそうになる肺。
何度も水を掻いてギシギシと鳴る左手を、ありったけの力を振り絞り伸ばす。
──あとは頼んだ。
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わぁぁぁ──
大きな声が聞こえる。
俺はゴールに辿り着いた後、プールから引っ張り上げられ、酸欠で気絶した。
攣ったはずの脚は、ちょっと痛みが残るだけでもう治まっている。本当ならちゃんとストレッチしなきゃいけないんだろうなぁ……。
ガンガンと響く頭を抑えながら体を起こす。
どうやら決着がついたらしい。
俺の次がアンカーだったし、大して気絶していた時間は長くないのかもしれない。
「お、起きたのか」
「ああ……どうなったんだ?」
「今、三チームほぼ同着でな。安田先生の判定待ち」
同着……俺のヘマさえなければ──
「よぉし、一位、決まったぞ」
安田先生の声に、男子たちは静まり返る。
「一位は──」
ここ一ヶ月、みんな必死に頑張ってきた。それゆえのほぼ同着。
どのチームが一位になろうと疑問はない。
その瞬間が、迫る。
「──三チーム全部だ」
「「「────は?」」」
男子一同、みな綺麗に声を揃えて、疑問符を浮かべた。
どうしよう、疑問はないとか思ってたのに。
「どど、どういうことですか安田ぁ!」
「えぇいうるさい、先生をつけろ。……こほん。良いか? おまえらはここ一ヶ月、凄く凄く頑張って練習してきた。そんなおまえたちに、オレなんかが優劣をつけられるはずがないだろう。……なにより、最初に言ったはずだぞ? ──『着順はオレの目測で判断する』と」
それを言われちゃ、何も言い返せない。
「ま、そういうこった。なぁに、夏休みが明ければまた何度か水泳の授業があるんだ。もう一回やる時にゃ、ちゃんと順位をつけてやるよ。だから今はこれで納得してくれな」
んじゃ、ストレッチしてシャワー浴びておしまいなー。そう言ってその場を後にする安田。
男子は全員固まってしまった。
……ちぇ。
かっこいいとか、思っちまったじゃねえか。
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今日の大会について語らいながら着替える。
バテバテな俺は、次の授業まであまり時間がないにも関わらずのらりくらりと着替えていた。
今日くらい、遅れたって良いじゃない。
「いやぁ、おれ最初泳げなかったんだけど、この一ヶ月ですげえ泳げるようになったぜ」
「ボクもボクも」
「ま、このクラスの団結力にかかればこんなもんよ!」
愉快な笑い声が飛び交う。
そんな空気の中、何かを言いたそうにしている奴がいるのを見つけた。
そいつはすっごく言いづらそうに、だが、やがて意を決したように口を開く。
「あ、あのさ……言いづらいんだけど……」
「ん? どした?」
みんなの視線がそいつに集まる。それにちょっとばかし怯みながらも、何か大切なことを伝えようとしているのだろう。しどろもどろながらに句を紡ぎ始める。
「あ、あの、さ……僕も泳げなかったし、だから泳げるようになったのは凄い嬉しいし、お礼を言いたいし……でも、やっぱり言わなきゃダメかな、って」
「「「???」」」
「──結局、女子の水着どころか、バレーボールも見に行かなかったよね。本当ならそれが目的だったのに」
「「「────────」」」
あは、あはは……と乾いた笑みをもらすそいつと、固まる俺たち。
思考は何もかもを寄せ付けず、ただただ凍る。
確かに、最初は女子の水着のため。それが叶わぬのなら、さっさとメニューをこなして女子の体育を見に行こうと。それが目的だった。水泳の練習はそのための手段だった。
次の瞬間、俺たちはまったく同じタイミングで膝、手を地面につき、叫んだ。
「「「──ああぁぁぁぁぁあああああああぁぁぁぁあああぁぁあぁぁああぁぁああああああ!!!!!!!!」」」
目的と手段を、完璧に取り違えたぁぁ──ッ!!
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どこかから悲痛な叫びが聞こえた気がした。
おそらくまた男子だろう。なに、いつものことだ。
……いつものことと言えば。
なぜ今回、男子はあんなにも水泳に夢中だったのだろう。女子とは別なのに。
いつもなら、男子の原動力は女子のはずなのに。
……まさか、ホm──
……おっと、今あの丸いメガネが光った気がした。
とりあえずまあ、ロクな理由では、ないんだろうな。
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──ハッ、そうだ。
まだ、夏休み明けがあるじゃないか!
まだだ、まだチャンスはあるぞぉぉー!
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夏休み明け。半ば指定席となったフェンスの外で、男子の初の水泳授業を眺める。
そこには……、
「──第二回水泳大会、開始だぁぁぁー!」
「「「おぉぉぉぉおお!!」」」
……安田先生の宣言に沸く男子の姿があった。
本当男子って、よくわからない。
夏!プール!水着!
なのに水着女子は一度も出ないお話でした。
前回の席替えの話では、ちょっとシリアスが入って本当のバカ騒ぎとは行かなかったので、今回は頭から尾までシリアス抜きで行きました。