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死神遊園地  作者: 鈴神楽
4/6

闇から襲うゴーストハウス

幽霊屋敷に潜むアサシン達

 死神仮面の女性が言う。

「貴女達は、今まで多くの組織を潰してきたわよね?」

 良美が頷く。

「それがどうしたの?」

 死神仮面の女性が一枚の幸せそうな家族の写真を取り出す。

「この写真の男性わね、貴女達に潰された組織の人間だった。貴女達に組織を潰され、体を壊され、その家族は、嘆き、動けない父親の治療に心身ともに疲労しきった。そして、母親は、父親と無理心中をした。残された子供達の悲しみって解る?」

「何が言いたいの?」

 良美の言葉に死神仮面の女性が言う。

「貴女達の正義の味方ごっこで幸せを失った人が居るって事よ」

 それに対して良美が呆れた顔をする。

「あたし達が何時、正義の味方だなんて言った?」

 それを聞いて死神仮面の女性が言う。

「言わなくてもそういうつもりなんでしょ? 滅ぼした組織が悪党だから自分達は、正しい事をしたって言いたいんでしょ」

 良美が言う。

「それじゃあ、聞くけど、その男性は、誰の人生も壊してなかったの?」

「そんな事は、関係ない、問題は、貴女達がその人の家族の人生を壊したことよ」

 死神仮面の女性の言葉に良美が笑う。

「語るに落ちるってこの事だよね。貴女は、あたし達がした事だけを捉えて、その男性がしてた事を見もしなかった。それでよく、あたし達を攻められるよね?」

 だが死神仮面の女性が続ける。

「何? それじゃ、この男性は、殺されて当然で、その家族は、不幸になって当然だって言うの?」

 良美が即答する。

「さっきと同じだよ、その男性に人生を台無しにされた人が何をしたの? その人たちが不幸になる理由って何?」

 死神仮面の女性がきつい視線で言う。

「やっぱり、貴女達は、正義をかざして、人を踏みつけてるわ!」

 良美が激怒する。

「あたし達が踏みつけられていないとでも思った? あたしが苦しんでないと思った? 綺麗ごとを言ってるんじゃないわよ! この世の中は、強者弱肉なんだよ! あたしを捕まえて無理やりヤヤを呼び出してるあんたが、弱者の気持ちを代弁するなんて虫唾が走るのよ!」

 死神仮面の女性が悔しそうに言う。

「私達には、この世界を護る責任がある」

「さっきの言葉をそのまま返すよ、その責任の為に、あたしやヤヤの家族が悲しむのは、考えてないの?」

 死神仮面の女性が怯む。

「何事にも程度があるのよ。でも、そうね、私は、罪を償う必要があるわ。そして、その覚悟があるわ」

 そんな中、較が幽霊屋敷に入っていくのが映る。

「そして、白風較にも過去の代償を払う時が来たのよ」



 較が幽霊屋敷に入った時、スピーカーから声が聞こえてくる。

『我等は、お前に因って潰された組織の人間。お前の所為でどれだけの人間が苦しみ、人生を狂わせたか! お前には、その罪を償ってもらう』

 較は、即答する。

「どうやって? お金だったら払うよ」

『金の問題じゃない!』

 その答えに較が言う。

「それじゃあ、どうしたいの?」

『お前の命で償わせてやる!』

 その声と共に飛んでくるナイフを較があっさり指で挟む。

「はいはい。それじゃ、行きますか」

 緊張した様子も無く、幽霊屋敷に入る較だったが、入った途端、苦笑する。

「いや、ここまで殺気に満ち溢れていると、流石に特定は、難しいな」

 そういっている間にも、猛毒が塗られているダーツが飛んでくる。

 較は、直感でそれが危険だと察知して、硬貨を投擲して、叩き落すが、硬貨が当たった瞬間、ダーツが爆発する。

「避けたり、受け止めたりしたら、爆発してダメージを与えるって寸法だね」

 そのまま、歩き続ける較。

 壁が回転して幽霊の模型が出てくる。

「まえから思ってたんだけど、これの何処が怖いんだろ?」

 通り過ぎた所で、幽霊が動き出し、背後から毒を仕込ませた爪を突きつけてくる。

「作り物だと思ったのが動いたら、少しびっくりするか」

 較は、あくまで呑気に、幽霊のふりをした暗殺者の爪を避けて、ひじ一発で意識を刈り取る。

 その後も、アサシン達の襲撃が続くが、較は、平然と全てをかわしていく。

『化け物が! これだけの数のアサシンの攻撃をどうして回避し続けられるのだ!』

 スピーカーから聞こえる焦りの声に較が即答する。

「簡単だよ、貴方達が連携していないから、だから周りの殺気と明確に差別か出来る」

 アサシン達が慌てて居るのを感じながら較が続ける。

「さっきも言ったけど、あちきに何を求めているの?」

『お前の死だ!』

 答えに較が苦笑する。

「あちきだってそのうち死ぬよ。明日死んでもおかしくないね。そうすれば満足?」

『ふざけるな! 俺達の手でお前を殺す事に意味があるんだ!』

 怒声にスピーカーがハウリングを起こす中、較が言う。

「あちきは、命は、一つしかないけど、どうやって貴方達は、全員が自分の手であちきを殺すの?」

 それを聞いて動揺が広がるのを確認しながら較が続ける。

「どうやったって何処かで妥協しなければいけない。ついでに言えば、貴方達だって覚悟は、出来てた筈だよ。人を殺すって行為を続ければそれは、自分達に返って来るって事くらい」

『それでも、お前は、無慈悲に全て打ち砕いた。それを忘れられないのだ!』

 アサシン達の言葉に較が言う。

「あんた達に殺された人々も同じ思いでしょうね」

『天罰だとでも言いたいのか!』

 アサシンの怒りに較が答える。

「別に、あちきは、正義の味方じゃない。でもね、力尽くで何かをしようとしたら、もっと大きな力で押し返される。それに抗い続けるだけの根性があるの?」

『お前を殺せば全てが終わる!』

 アサシン達の回答に較が肩をすくめる。

「本気で言っている? あちきを殺して、全てが終わると?」

『お前を殺した罪は、奴が背負うと約定が出来ている』

 アサシン達の用意された答えに較が頬を掻きながら言う。

「そんなの信じられるなんて随分と夢があるんだね。まあ、それは、それで良いとして、あちきを殺した名声は、どうなるの?」

『そんな物は、俺達は、求めていない!』

 アサシン達の言葉に較が苦笑する。

「そんな理想論が通じないって解っているでしょ? あちきを殺した人間は、その名声を妬まれて、次のターゲットになる。そんな敵と戦い続ける根性があるかが問題なんだけどね」

 殺気が恐怖に飲まれていくのが較には、解った。

 そして、死神の仮面をした男が現れる。

「最後に聞きたい。お前は、その覚悟があるのか?」

 較は、手を前に出して言う。

「あちき達は、神だろうが喧嘩売ってるんだよ、その先にあるのが何かなんて承知の上だよ」

 死神の仮面を外して男が言う。

「所詮、お前は、俺達とも住む世界が違うのだな」

 較は、死神の仮面を受け取り、言う。

「違わない。ただ、あちきには、どんなに辛くても、戦う為の理由があるだけだよ」

 そして較は、次のアトラクションに向かう。

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