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死神遊園地  作者: 鈴神楽
2/6

ノンストップのジェットコースター

中国拳法の使い手との対決

 死神仮面の女性が言う。

「貴女は、空手をやってるのよね?」

 良美が胸をはる。

「中学時代は、全国大会にも出たことあるよ」

 死神仮面の女性が画面に映る較を指差して言う。

「そんな、貴女にとって、彼女は、理不尽な存在じゃないの。反則的な技を使い、常人離れした身体能力、どうあがいても勝てないのよ」

 良美が笑う。

「あんた馬鹿? 柔道家には、投げ技あるから卑怯だって言う? 相手が重量級だから勝てないのが当然だと言う? あたしは、そんなくだらない事を考えて空手をやってないよ」

 それを聞いて死神仮面の女性が苦笑する。

「ご立派ね。でも、そう思わない人間も居るのよ」

 ジェットコースター乗り場に較が入っていく姿が画面にアップされる。



「次は、ここか」

 較がやってきたのは、ジェットコースター乗り場。

「待っていたぞ、ヤヤ!」

 その声の方を向くと、そこには、死神の仮面を被った中国拳法家が居た。

「我は、北龍なり。お前を倒し、中国拳法が最強である事をしめす」

 それを聞いて頬を掻いていう。

「あのね、あちきを倒した所で、最強なんて名前は、ありえないよ。第一、あちきは、地龍さんとやりあっても負ける可能性が高いだからね」

 すると逆の方から声がした。

「我は、南龍。地龍は、中国拳法の中でも龍の文字を冠する者の恥だ。まずは、地龍を一度だけでも破ったお前を倒す必要がある」

 それを聞いて手を叩く較。

「なるほどね、地龍さんは、自分の力不足を理解していたから、まだお父さんと戦っていない。つまり、勝負は、ついていないから、ノンカウントって事にして、破った実績のあるあちきを倒して、中国拳法の最強を証明するって事で良いの?」

 北龍が睨む。

「くだらない事を言うな! 鬼神ともそのうち勝負をする。しかし、まずは、お前からだ!」

 それに対して較があっさり両手を挙げる。

「あちきの負けです。中国拳法の方が勝っています。それを認めますから、仮面を下さい。何だったら、公式発表もしますよ」

 意外な展開に驚く南龍。

「本気でいっているのか!」

 較が頷く。

「さっきも言ったけど、あちきは、地龍さんに勝てたのは、幸運なだけ。普通に模擬戦やっても負ける可能性が高いです」

「貴様にプライドが無いのか!」

 北龍の言葉に較が苦笑する。

「十代半ばの娘に貴方達が背負っているようなプライドを求めないで下さい」

 それをいわれて南龍が苛立つ。

「それでは、我々の気がすまないのだ! さあ、勝負だ。このジェットコースターに乗って戦え!」

 較が小さく溜め息を吐いて言う。

「解りました。やりましょうか」

 そして、較の前後に北龍と南龍が乗るとジェットコースターが動き出す。

「見せてやろう、中国拳法の凄さを!」

 動く足場の中、平然と駆け出す北龍。

 較は、頬をかきながら言う。

「言っておきますが、条件を複雑にすればするほど、あちきに有利になりますよ」

 斜めになるジェットコースターを足場に、連続攻撃を開始する北龍。

『ガルーダシューズ』

 較の片足がジェットコースターに張り付き、強烈な回し蹴りを放つ較。

「甘いわ!」

 南龍が動きを止めた較に一気に迫る。

「何がです?」

 ジェットコースターから落下してかわす較。

『イカロスキック』

 空中で方向転換して、あっさりジェットコースターに復帰する較。

「あちき達は、こんなイレギュラーの戦いを想定しているんです。その積み重ねでは、負けませんよ」

「そうかな!」

 いきなり後方から迫る拳、較は、紙一重でかわしながら言う。

「瞬間移動までみにつけたの?」

「お前が見逃しただけだ!」

 北龍の言葉に、較が真剣な顔をして言う。

「それでも構わないけど、チャンスは、何度も無いよ」

「どうかな?」

 南龍の手刀が較の左腕を捉えた。

 較が、慌てて距離をとる。

「今のは、間違いなく瞬間移動した!」

「好きに思え!」

 南龍と北龍が同時に攻めてくる。

 較は、息吹と共に両手を振る。

『ダブルガルーダ!』

 突風が北龍と南龍の動きを封じる。

 そこに追撃をかける較。

「舐めるな!」

 南龍が較と拳を交わす。

 その最中、較が頭を下げると、北龍の手刀が較の頭があった所を薙ぐ。

「まただよ、完全に瞬間移動なのに、空間の乱れは、無い」

 苛立ち舌打ちする較。

「終わりだ!」

 前後から北龍と南龍が攻撃を繰り出す。

 較の左腕に北龍の手刀が突き刺さる。

「一人、リングアウトだよ」

 右手で南龍の腕を掴んでいた較が力技で、南龍をジェットコースターから投げ落とす。

「抜けない!」

 突き刺した腕が抜けない事に困惑し、必死に抜こうとする北龍に較が言う。

「地龍さんだったら、ここでそんな無様な真似は、しないよ」

 較の手刀が北龍に迫ったが、それを南龍が防ぐ。

「因みに、今落ちてるのは、誰?」

「西龍だ。そして私が東龍だ!」

 三人目の蹴りが較の脇腹を打ち抜く。

 そのまま、吹き飛び、ジェットコースターから墜落する較。

『イカロスキック』

 それでも較は、空中を蹴り、無理やりジェットコースターの最後尾にしがみつく。

「最初から四人居て、二人と思わせて困惑させる作戦ですか。気配を悟らせるのを防ぐために、高速で動くジェットコースターを使った。これなら、残留気配が拡散されて確認されないって事ですね」

「その通り、お前等化け物に勝つ為に考えた。それだけのダメージを負って、まだ我々と戦えるか?」

 北龍の言葉に苦笑する較。

「一つだけ、勝つだけなら簡単ですよ」

「ふざけるな、どうやって勝てるというのだ!」

 南龍が叫ぶと較が後方のレールに指を向ける。

『アポロンビーム』

 熱線で切り落とされるレール。

「レールを壊せば、貴方達に勝ち目は、なくなりますよ。あちきは、どんな状況でも生き残れますよ」

「化け物が!」

 東龍が呻く中、較が立ち上がりながら言う。

「でも、それじゃ、仮面が手に入らない。だから、もう少し踏ん張りますよ!」

「その余裕が命取りだ!」

 北龍達が一斉に詰め寄ってくる。

『ハーデス』

 較の左手に引き寄せられる東龍達。

「馬鹿な、こんな非常識が!」

 ひきつけられながらも攻撃をする南龍。

「死ね、化け物!」

 何発もの直撃を食らいながら較は、三人を引き付けた左腕をジェットコースターに叩きつける。

「これがあちき達の戦い方だよ!」

 戦闘不能になる三人を解放しながら前方を見る。

 そこには、西龍が居た。

「大分ダメージが大きいみたいじゃないか? 我が奥義を食らえ!」

 溜め込んだ気が収束していくのを較は、感知して溜め息を吐く。

「貴方達は、あちき達の事をしら無すぎる」

 西龍が巨大な気弾を放つ。

 右手を振り上げて言う。

『バハムートブレス』

 較の右手に溜められた気が西龍の気弾をあっさり打ち砕き、弾かれた気弾で意識を失う西龍。

『タイタンスタンプ』

 較がジェットコースターの床を蹴り、レールにめり込ませて強引に止める。

「本当に同じ人間なのか? 西龍の気弾は、中国最強とさえ言われているのだぞ」

 動けない東龍の言葉に、較が言う。

「伊達に人外って呼ばれてないって事ですよ」

 そして、北龍が悔しげに仮面を差し出す。

「これがお前の欲しかった仮面だ。持ってけ」

 較がそれを受け取る。

「だが、その怪我でまだ戦い続けるつもりか?」

『ラクシャミ』

 傷が癒えて行く較を見て愕然とする中国拳法の使い手達を尻目に、較は、ジェットコースターから飛び降りる。

 地面に着地した時、軽くよろける較。

「少しダメージを食らい過ぎたかな。とにかく次のアトラクションに向かいますか」

 較は、次のアトラクションに向かって歩き出す。

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