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死神遊園地  作者: 鈴神楽
1/6

出迎えるマスコットパレード

ヤヤの命を狙う死神達

 そこは、千葉に建設されている新規の遊園地。

 ホープランドという名前で、近くにあるネズミの遊園地と対抗しようとした半ば無謀なプロジェクトである。

 無謀ゆえに、予算も続かず、現在は、工事がストップ気味であった。

 そこの中央の建物、ドリームキャッスルに覆面をした者達が居た。

「それでは、本気なのだな?」

 その中の一人の問いに、中央の仮面の女性が頷く。

「この世を終わらせる爆弾、白風シラカゼクラベを葬る。この城には、特殊な結界が張られている。ここで止めをさせば、他に影響が出ない」

 ざわめく一同から別の質問があがる。

「それで、ヤヤを殺したのは、倒した者の名誉で構わないのだな?」

 仮面の女性が再び頷く。

「そして、その後の八刃ハチバの標的は、私が成ろう」

 それで笑みを浮かべる男達が居る。

「その確約さえもらえればいい。奴を倒す一番の障害は、奴の後ろに居る八刃の盟主、白風の長だったからな」

 そんな中、一人の老人が言う。

「お主は、この戦いを生き残っても命は、無いぞ?」

 仮面の女性の仮面から唯一窺い知れる、目が強い意思を示す。

「それでも、私達は、やらなければいけない。この星の明日の為に! 我等は、全ての人類に成り代わり、害悪、白風較に死を与える死神なり!」



「お疲れ様」

 東京湾にある、東京の二十四区の一つ、竜夢区にある白風家の家で、金髪の小学生、白風小較コヤヤがポニーテールの童顔女子高生、白風較を迎えた。

「ただいま」

 小較は、較にお茶を差し出しながら言う。

「それで、今回は、何で呼び出されていたの?」

 較は、小さく溜め息を吐いて言う。

「竜魔玉と虎神玉の時に起こした騒動に対するクレームの山を見せ付けられて来たよ」

 小較も頬をかきながら言う。

「色々やっちゃたからね」

 較は、背伸びをしながら言う。

「それでも、粗方のトラブルが解決してたから、厳重注意でおしまいだったよ」

「良かった」

 小較が安堵していると、較の携帯が鳴る。

「はーい、何?」

『最初に約束して下さい、落ち着いて話を聞いてくれると!』

 電話先から聞こえたのは、八刃の一つ、谷走タニバシリの本家の双子、右鏡ウキョウであった。

「何か、ヨシがトラブルおこしたの?」

 眉を顰める較。

『約束してください!』

 右鏡の双子の妹、左鏡サキョウが涙混じりにいってくるので較が頷く。

「解りました。落ち着いて聞くから、早く説明して」

 携帯越しに唾を飲み込む音がしてから右鏡が言う。

良美ヨシミさんが誘拐されたました。脅迫文もあります』

 較が一度遠くを見てから、冷静に尋ね返す。

「自分達の仕事くらい解っていたと思ったんだけど?」

 左鏡が泣きながら言う。

『すいません! まさか、本気で良美さんを誘拐する命知らずがまだ居るとは、思って居なかったんです!』

 較が怖い笑顔で言う。

「怒らないから今すぐ、その脅迫状をもってここに来なさい」

『『はい!』』

 二人がやってきたのは、その直後であった。

 そして、脅迫状を見て較が言う。

「あちきを呼び出し、殺す気満々の脅迫状だね。しかも、中央のドリームキャッスルには、あちきの右腕が暴走した場合の対策もうってあるって事は、本気だよ」

「正気だとは、思えません」

 右鏡の言葉に左鏡が頷く。

「万が一にもヤヤさんを殺せても、その後に控えているのは、最強の鬼神と呼ばれる、白風の長ですよ?」

 較は、脅迫状を見せながら言う。

「覚悟の上よ。全部は、あちきって爆弾を排除する為だってね」

「一人で行くの?」

 小較の言葉に較が頷く。

「脅迫状にもそう書かれているしね。貴方達は、八刃に行って、問題の遊園地の周りを囲ませて、間違っても逃亡をさせないでね」

『解りました』

 右鏡が頷き、左鏡と共に行動を開始する。

「良美は、平気だよね?」

 心配そうな小較の頭を撫でながら較が言う。

「もちろんだよ、あちきが死ぬまでは、滅多な事は、されない。馬鹿な事を言って相手を怒らす前に回収しにいってくる。ご飯は、先に食べてて。お土産は、何が良い?」

 小較が首を横に振って言う。

「お土産は、要らないから早く帰ってきてね」

 頷く較であった。



 ホープランドの中央のドリームキャッスル。

 そこに五つのクリスタルに囲まれた健康そうな女子高生、大門ダイモン良美が居た。

「あんた達も懲りないね。ヤヤには、勝てないっていい加減理解したら?」

 良美の言葉に、仮面をした女性が言う。

「だからといって、あの爆弾を放置する訳には、いかない」

 それを聞いて不機嫌そうな顔をする良美。

「ヤヤは、爆弾じゃない!」

 そんな良美の反論を無視して仮面の女性が言う。

「貴女は、自分がしでかした事の意味をちゃんと理解しているのですか? あの時、貴女が白風較の右腕に食いつかなかったら、彼女は、そのまま消滅して居た筈です。そうすれば、貴女も何度も入院することも無く、世界は、平和だったのですよ」

 良美が胸を張って言う。

「ヤヤは、親友。親友を助けるのは、当然の事だよ!」

 冷たい視線を向ける仮面の女性。

「その下らない友情ごっこでどれだけの人間が不幸になっているか解ってないわね?」

「だから何? それじゃ、聞くけど、人を不幸にさせてない人間って居るの? 生きてれば多少は、他人に迷惑掛けるものだよ」

 良美の反論に仮面の女性が言う。

「限度があります。もしも暴走したらこの地球が消滅するのですよ!」

 良美が自信満々に答える。

「暴走しないから大丈夫!」

 肩をすくめる仮面の女性。

「話にもなりません。第一、貴女は、白風較についてどれだけしっているのですか?」

 良美が少し考えてからいう。

「けっこう知っていると思うけどな」

 それに対して仮面の女性が言う。

「あれは、人殺しですし、戦闘狂。戦いだけを求めて、その先には、何も無い事に気付いていない」

 良美が苦笑する。

「何時の事を言っているの? ヤヤは、昔のヤヤとは、違う。言うなればニューヤヤだよ」

 仮面の女性が首を横に振る。

「人は、そう簡単に変わりません。特に白風較は、未だに自分をレイプした男への恐怖を背負っています」

 良美の目付きが鋭くなる。

「それ以上、ヤヤを侮辱するならヤヤの前にあたしが相手するよ!」

 仮面の女性が哀れむ様に言う。

「たった九歳で、レイプされた恐怖、それは、貴女が想像する以上に彼女を苦しめています。だから、彼女は、戦いに逃げているのです」

 良美が睨みつけながら叫ぶ。

「ヤヤは、頑張ってるんだよ! それに打ち勝とうと! それを他人が勝手に哀れむな!」

 仮面の女性が言う。

「もう、来たみたいです。最初の死神達と遭遇しますよ」

 部屋に設置された大画面に、正面ゲートに立つ較の姿が映っていた。



「ここがホープランド。どうも人気が出そうにないな」

 頭を掻きながら中に入っていくと、何処かのパクリとしか思えないパレードがやってくる。

「今確信した、絶対にここは、数年で潰れるな」

 そんな中、マスコット達が重火器を取り出し、マスコットが乗る車も戦車の外装を露にする。

「死ね! お前を殺せば、裏社会で揺るがない名声を手に入れられるんだ!」

「莫大な賞金が俺の手に!」

『アテナ』

 較は、動かない。

 無数の弾丸と砲弾が較に殺到する。

 数分続いた銃撃と砲撃音とそれにともなう爆発音。

 殆どの武装が弾切れを起こす。

「とどめまでさしちまったかもな」

 余裕の声をあげるマスコット達。

『アポロンビーム』

 一本の熱戦がマスコットを貫く。

 吐血して倒れるマスコットにざわめきが起こる。

「馬鹿な! あれだけの火力の攻撃を食らって平気な訳がない!」

 しかし、土煙の中かが較の声がしてくる。

「五人の死神を倒し、仮面を奪わないとヨシを開放出来ないらしいね。さっさと仮面を置いて消えな」

 ざわめきを起こる中、ゆっくりと較が姿を現す。

「続けろ!」

 マスコット達が攻撃を再開しようとした時、較は、地面を蹴りつける。

『タイタン』

 地面が鳴動して、マスコット達が地面に倒れる。

『ベルゼブブ』

 放たれた髪が、次々とマスコットに突き刺さり、悲鳴を上げさせ倒れさせていく。

「戦車! 急げ、奴だって人間だ、戦車砲の連射を食らえば、死ぬはずだ!」

 戦車の砲台が較に向けられる。

『ヘルコンドル』

 次々と砲台がカマイタチに切り落とされていく。

 ゆっくりと較が進み、死神の仮面の男を見つけていう。

「何かまだ手が残ってるの?」

 死神の仮面の男は、慌てて言う。

「もうない、仮面を渡すから、見逃してくれ」

 較が頷くと仮面の男は、仮面を渡して来た。

 そして次の場所に向かおうとした較の背中に仮面の男は、ライフルの銃口を向ける。

「甘いな、この弾は、特別製だ、お前の力でも防げない。これで賞金は、俺の物だ」

 放たれる銃弾。

「そういう秘密兵器は、さっきの乱射の時につかうべきだったね。こんな注意が行える状況じゃ、いくらでも対処出来るよ」

 振り返らない較の体を銃弾が通り過ぎていく。

 愕然とする男の隣に較が居た。

「幻覚だよ」

 微笑む較に男は、顔を引き攣らせる。

「これは、その……」

『バジリスク』

 男に触れた較の両手から放たれた超振動が男の体中の骨を粉砕するのであった。

「さて、次のアトラクションに行きますか」

 較は、そういって、次のアトラクションに向かうのであった。

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