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.。⇒ 出逢い、



――私、高校1年生になった、

愛河あいかわ 仁凪にいなは、彼氏居ない歴15年。


何せ、過去にあんな振られた方が有ったのだから。

あの後、彼奴は姿を消して、

何処かへ引越し、転校してしまった。

彼は2つ年上の先輩だった。


家が近所で小さい頃から良く遊んでもらっていた。

でも、どうして。何で私は振られたの。

そんな疑問ばかりが頭の中で耐えなかった。


それにしても、昼休みの教室は煩くて、本当騒がしい。


何を考えてるんだ、私は。

そんな事をぽつりと口元から零しては、机に顔を突っ伏した。此んなのでくよくよしてる自分が何だか情けなく思えたから。

…〝 尻軽女 〟か。


「 仁凪ー?、 仁凪ーあ、 」

「 ん..、 わ、 遥葵っ、 」


ぼーっとしていたら真上から、何時も訊き慣れた声が降って来た。私はゆっくりと顔を上げると、やっぱり予想は当たった。


「 あ、寝てるのかと思っちゃったーっ、 」


此方を見詰めて頬を緩める彼女は、私の大親友。

花色はないろ 遥葵はる。同級生で幼馴染だけども、クラスが離れてしまい、其れでも何時も私の処へ来てくれる。

唯一仲が良いのは、此の遥葵。だけかも知れない。


「 また誰とも喋ってないの?、仁凪ってば。 」

「 え、あ..、うん。 」


遥葵が怒っているような困っているような声色で私に顔を近付ける。私は視線を逸らして辺りを一度ちらりと見てから応える。


「 仁凪は可愛いすぎるんだよ、 」


そう云って遥葵は私の髪をよしよしと撫で遣る。

厭、其れは違うと思う。なんて今の私には云えっこない。


はっきり云って私は自分を確かに可愛いと思う。

他の人とは違う、艶やかな栗色の髪。長さは胸元辺りまで。

カラコンも入れていないのに、煌く紫色の双眸。肌は白くお人形さんの様なぱっちりとした瞼。桜貝色の唇と薄紅色の頬。

細身で華奢なのに、出る処はしっかり出ているし、

体のラインもしっかり出ている。


でも、私は其の御蔭で周りの人から距離を置かれ、

休み時間でも登下校は勿論、独りぼっちだ。

異性から告白されるのは日常茶飯事。だからこそ、女子からは嫌われるし、無視されたりもする。

苛めと云う訳では無い。


只、私が話し掛け難い存在。

其れだけの事。


其の時、チャイムが校舎内に鳴り響いた。

遥葵は黒髪の長い髪を揺らしては、「 じゃあ、もどるね! 」と云って私に手を振り去った。

私も静かに微笑を零しつつ手を振り返した。

少しだけ心が和んだ。


「 ね、 愛河さん。 」


其の直後、背後から見知らぬ人の声が届いた。

聞き間違いだと思い私は振り返る事もせず、教科書を机に出す作業をする。


「 おーい、 愛河 仁凪さーん。 」


ぴたりと動きを止める。

見知らぬ人が私に話し掛けて来た?、…ありえない。

厭、ありえるけど、異性なら。私は警戒しつつも振り返って見る。

其処には茶髪に染め上げた髪をゆらゆらと揺らし、

きょとんとした表情で此方を見詰める男子が居た。


私は納得した。

此の人は私に下心が有るんだ。何時もそう。

異性から声を掛けられた時は大体ナンパとか其の辺。

私が「 何処か行って。 」と云う前に其の言葉は遮られた。


「 愛河さん、頭良いよね?、 出来れば数学教えてくれない?、 」



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