20.巨大蜘蛛(ジャイアントスパイダー)
倉庫のドアを開けたら、ダンゴムシの亡骸を発見。
「ま、いっか」と文明を築き始めたダンゴムシたちの痕跡を無視して数日。まさかの数が増えているではありませんか( ゜д゜)
すると、一匹の蜘蛛がススス…と登場。
「おお、これはもしやダンゴムシの亡骸をきれいに片付けてくれる救世主か!」と期待を込めて見守っていたら、衝撃の光景が。
蜘蛛はダンゴムシに近づくと、体液だけを吸い取って、抜け殻だけをポイ……。
その光景、まさに「キモっ!!!」の一言。
あまりの衝撃に、私は手に持っていた箒を使って、心の中で転移魔法を唱えた。
「ホーイッ!!(遠くへ行け!)」
と、ダンゴムシの抜け殻を宇宙の彼方へ払い除けた。
ああ、倉庫のドアを開けるたびに、あの蜘蛛とダンゴムシたちの残骸を思い出してしまう……。
夕暮れの薄明かりが、滝の入り口のダンジョンに差し込む。ホーンラビットの討伐を終えて、一息つくアスク達パーティ。メンバーたちがざわざわと話している。
「皆、おつかれ〜。さて、今後のエコロアについて話し合おうか。」とヤコブが労いの言葉をかける。
待ってましたとばかりに、ロクが口を開く。
「ああ、その件か。だいたい、チャンドラが、アサイーさんに盟主を任せて、よく旅に出てるじゃねぇか!?そんなんでエコロアが一枚岩になれると思ってるのか。」
アスクが疑問を投げかける。
「あれ?エコロアって町の名前ではないのですか。同盟の名前も同じ何ですか?」
チカが元気に答える。
「アスクは知らなかったよね。創始者のチャンドラさんが同盟エコロアを旗揚げして、貴族になったときに町の名前もエコロアにしたんだよ。」
ウィルがチャンドラをフォローをする。
「それにしても、ロクさん!?チャンドラさんは確かに各地に旅をしていると思うのですが、いろいろと情報を集めて、チャンドラさんなりに狙いがあると思いますよ。ところで、チャンドラさんって、一体何のジョブなんですか? 前衛のパラディンだと思っていたのですが、最近はアーティファクトを良く使ってますよね?」
ウィルに併せて、チカも疑問を投げかける。「私も気になってたわ。副盟主のジョブが何なのか、何を目指しているのか……」
ヤコブは少し苦笑しながら答える。
「うーん、昔はパラディンだったな。A級ライセンスを獲ってから、アイテムを良く使うようになったな。ジョブチェンをしているようにも見えないから、魔道具師ではないと思うが……」
ロクが、また悪態をつく。
「それにしても、あいつはいつも不在で、連絡もまばらだ。仲間内でも不明のまま……」
ヤコブがまとめる。
「確かに、俺たちは一部昇格を目指す同盟だ。とにかく、彼のことも含めて、今後の方針をもう一度見直す必要があるな……」
アスクは、慕っているチャンドラが批判されることに心を痛めたものの、同盟をまとめ上げようとする他のメンバーたちの強い意志を感じ取った。
⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ダンジョンの恐怖⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰
日が沈み、夜の帳が降りる頃、アスクとロクは揺らめく焚き火を囲んでいた。燃え盛る炎が二人の顔を赤く染める。夜の見張りは、冷え込む空気の中で常に神経を研ぎ澄ます必要があった。ロクは、炎に照らされたアスクの横顔を見つめながら、とある未開拓のダンジョンの話を切り出した。その口調は、まるで暗闇の中に潜む未知への畏敬と、冒険心を掻き立てる興奮が入り混じったかのようだった。
ロクがニヤリとした口の端を上げた表情で、アスクに語る。
「ダンジョン内で起きたことは、法律の範囲外だ。その言葉が、長年にわたり人々の口伝えとして語り継がれてる。二度と戻らない冒険者も珍しくねー。
治安の悪い国のダンジョンは、盗賊が住み着き、略奪や強姦、殺人といった暴挙が日常茶飯事だぜ。壁の裂け目から漏れる呻き声や、夜ごとに響く悲鳴も珍しくねー。」
アスクは膝をガクガクしながら、ロクに確認した。
「ここ、エコロアは大丈夫ですよね。」
ロクは自信満々にしゃべる。
「当たり前だろ。俺たちがまわってんだからよ。しっかり管理している国は、特別なパトロール隊によって厳重に管理してるぜ。危険な魔物や盗賊たちの侵入を防ぐために、絶えず冒険者が巡回し、討伐しているんだ。
おっ、そうだアスク。魔石を食べた者たちが狂人へと変貌を遂げるという噂を知っているか。魔石はその強力な魔力ゆえに、吸い込む者の心を蝕むんだ。狂気に染まった者たちは、もはや人とも獣ともつかぬ存在になり果て、殺人鬼になるって話だ。」
そこへチカが割って入ってきた。
「ちょっとロク。また、そんな噂話をしてるの?アスクがビクビクするから、やめなさいよ。」
すると、アスクの探知スキルに反応があった。ダンジョンの天井から複数のモンスターの気配を感じ取った。
アスクはみんなに注意を呼びかける。
「ダンジョンから複数のモンスターが、近づいてきます。戦闘準備をお願いします。」
休んでいたヤコブ、ウィルも反応する。
⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ 巨大蜘蛛戦⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰ ⋱⋰
まさに、死神の使者のように静かに忍び寄る巨大蜘蛛達。体長はゆうに1メートルを超え、その漆黒の体は硬質な外骨格で覆われている。8本の脚はそれぞれが人間の腕ほどの太さがあり、先端には鋭い鉤爪が備わっている。動くたびに、ダンジョンの天井を微かに震わせるような重低音が響き渡る。頭部には、ぎらぎらと光る8つの目が不気味に配置され、獲物を探すかのようにあたりを見回す。口元からは、獲物を捕らえるための巨大な牙が光る。その存在自体が、静かな恐怖を放っていた。
冒険者たちは散り散りに動き出した。剣士のウィルは素早く近づき、巨大な脚に斬りつけるが、蜘蛛は素早く脚を振り払う。彼の剣はほとんど効かない。
「麻痺毒に気をつけろ!」と叫ぶのは、ヤコブだった。彼は解毒剤を携えているが、蜘蛛の麻痺毒は強烈だ。
蜘蛛は突然、糸を吐き出し、糸は風に舞いながらロクへと飛んでいく。ロクは間一髪で糸を躱して、強烈な一撃を蜘蛛に与える。
ロク「スキル・粉砕突撃」
蜘蛛の顔面にクリティカルヒットを与える。蜘蛛は動かなくなった。
ロクがみんなにアドバイスを与える。
「いいか。糸を出した後、動きが鈍る。そこを顔面か胴体に強烈な一撃を与えろ。脚は硬いぞ。」
アスクは素早く周囲を見回し、チカの顔色が青ざめているのに気づいた。巨大な蜘蛛がチカへと距離を詰めているのが見える。次の瞬間、アスクは迷うことなくチカのもとへ駆け出していくのであった。




