10.魔法講義2
会社の通信教育でGarminのスマートウォッチ付き講座を受講し、先日ようやくデバイスが届きました。設定に手間取り、投稿が遅れてしまいました(//∇//)
風が優しく吹き抜け、葉がささやく音が耳に心地よい。不思議な泉では、青白い光を放つ精霊が、アスクの前に浮かんでいた。彼女の髪が、風に揺れ、まるで水の輝きを宿しているかのようだった。
「さあ、アスク。今日は魔法の詠唱について教えてあげるわ。」
セリスの声は、まるで水の流れる音のように柔らかい。アスクは緊張しつつも、彼女の言葉に耳を傾けた。
「まずは、早口詠唱から始めましょう。」セリスは指を軽く振り、空中に光の文字を描く。「早口詠唱は、通常の詠唱よりも速く言葉を紡ぐことで、魔法の発動を迅速にする技術なの。」
「でも、早口にすると、間違えたりしないの?」アスクは不安になりながら尋ねた。
「それは心配いらないわ。早口詠唱は、練習を重ねることで自然に身につくの。正しいリズムと響きを掴めば、言葉が滑らかに口から出るのよ。」セリスは微笑みながら、模範を示すように早口で詠唱を始めた。
「我が手に集いしチカラよ、聖なる恵みにて氷の球となれ、アイスボール!!」
その瞬間、彼女の周りに小さな氷球ができ、まるで球体が輝いて見えた。ボクはその光景に目を奪われた。
「すごい…!でも、どうやってそんなに早く言えるの?」ボクは感心しつつ、さらに質問を続けた。
「それはアスク、毎日、口に出して頭の中に叩き込むのよ!では、次に、詠唱短縮について説明するわ。」セリスは少し考え込み、続けた。「詠唱短縮は、魔法のエッセンスを保ちながら、言葉を省略することを指すの。例えば、『我が手に集いしチカラよ、聖なる恵みにて氷の球となれ!』を『聖なるチカラよ、氷球となれ!』とすることで、発動を早めることができるの。」
「なるほど、だから短い言葉でも効果があるんだね!」アスクは理解が深まっていくのを感じた。
「その通り。ただし、短縮を多用すると、魔法の力が弱まることもあるし、失敗することもあるから、熟練度が大切よ。」セリスは優しく教えた。
「最後に無詠唱についてだけど…」セリスは少し神秘的な表情になり、アスクを見つめた。「無詠唱は、言葉を使わずに魔法を発動する技術なの。これは、心の中で魔法を感じ、意識を集中させることで可能になるの。」
「心だけで…?それってとても難しそうだね…」アスクは不安な気持ちを隠せなかったが、同時に非常に有効な方法であることも理解した。
「確かに、無詠唱は一番難しいけれど、最も大きなメリットは、同時に複数の魔法を使えるようになることよ。」セリスは、穏やかな声で言った。その声は、まるで流れる水のように柔らかく、アスクの心に響く。
「無詠唱だと、何で複数の魔法が使えるの?それはどういうことなんだろう?」アスクは興味を抱き、セリスに尋ねた。
セリスは水の珠を空中に投げ、瞬時に複数の珠を作り出した。それらは一斉に輝き、様々な形に変わっていく。「無詠唱魔法を使えば、一度に複数の魔法を展開できる。たとえば、攻撃魔法と防御魔法を同時に発動させることもできるの。」
アスクはその光景に圧倒され、心の中で何かが弾けた。自分がこの力を手に入れたら、どれほど強くなれるのだろうか。しかし、すぐに疑念が湧いた。「でも、そんなに難しいことができるのか?どうやって練習すればいいんだ?」
セリスは優しく微笑み、「練習が必要よ。無詠唱魔法を使うには、心を落ち着け、魔法の本質を理解する必要がある。そして、自分の感情をコントロールしなければならない。焦りや恐れがあれば、魔法は暴走することもあるから。」
アスクは真剣に頷いた。この新たな力を得るためには、自己を見つめ直し、日々の鍛錬が必要であることを理解した。「分かった、練習してみるよ。無詠唱魔法も習得して、もっと強くなりたい!」
セリスは嬉しそうに頷き、「まずは、中級や上級の魔法が使えるようになったら、初級魔法の早口詠唱や詠唱短縮から始めていくのが良いわ。それから、熟練度が上がったら、無詠唱にも挑戦するのね。」微笑みながら手を差し出した。
アスクはその手を握りしめ、心の中で決意を固めた。魔法の世界は、奥が深い。自分がどの段階まで進められるか一抹の不安がある中、アスクは新たな冒険の一歩を踏み出す準備を始めた。