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魔王、帰還す〜追放された傭兵は圧倒的な機動力と火力をもつ機体を駆り戦場を支配する  作者: 夜切 怜
強化計画

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お菓子作りが好きなな普通の女の子で暗殺術に優れている

 カインはアルフロズルの搭載兵器を見学している。


「ビッグヴァルチャー。他にグラディウスやスパタは改装を請け負う。あとは無理だな」

「その二つだけでも十分だ」

「ガンアックスとフラメンシュヴェルは俺の設計ではないが、技術ツリーとしては同列だな。こちらも可能ならみてみよう」

「技術ツリーが違うものは当然だ」

「理解があり助かる。弾薬や鋼材の補給は任せろ」


 カインはドヴァリンドゥリンの二人と話はつけていたようだった。

 鍛冶師系統ということで気があったらしい。


「鹵獲機が多いな」

「海賊から奪い取った。だがパイロット育成が追いつかん」

「海賊からか。面白い男だな」


 カインが笑う。


「ところで気になるものがあるのだが」

「なんだ」

「あのド派手なキッチンカーはどうしてドリルがついている」

「キッチンカーにはドリルが必要だという結論がついたようだ」

「なぜだ……」

「実際役立った。敵艦に潜入して隔壁を破壊して回った」

「キッチンの意味は?」

「万能キッチンカーだ。凄いだろう」

「荷電粒子砲とドリル装備のキッチンカーなど初めてみたぞ」


 カインにとってもキッチンカーは衝撃だったようだ。


「支援火力だな」


 そこにユノがやってきた。


「お茶が入りました」

「すぐいく」


 応接間に入るとユノが二人に紅茶を煎れる。

 デザートはチーズケーキにカヌレが並んでいる。


「これはユノが作ったのか」

「はい」


 ユノはお菓子作りが好きな普通の女の子で暗殺術に優れている。

 微妙な表現ではあるが事実だから仕方が無いと隻翼は諦めた。普通の定義がおかしいとは気付いていない。


「チーズケーキもカヌレも美味しいな。昨日はこってりしたお好み焼きフルコースだったが、こういうのも悪くない」

「ベルゼブブにも好評でしたよ。どうしてボクがお菓子作りをしているのを突き止めたかは不明ですが……」

「あんな姿でも超越知能だからな。演算能力の使い道は間違っているが俺も人のことはいえん」


 カインが苦笑する。


「ところでカイン様。大変不躾ながらお願いがありまして」

「ユノ? どうした」


 隻翼が気になり割って入るが、ユノはカインを注視していうr。


「俺にできることならいってみろ」

「フラメンシュヴェルをボク用にセットアップしてもらえないでしょうか」

「ふむ。詳細を話せ」

「レ……隻翼はボクがホークに乗ることを嫌がるんですよ。訓練ではホークの熟練度は一位です」

「ほう。隻翼。どういうことだ。誤解があるならここで解け」

「ユノはまだ十六歳だ。女子供が戦場にでるもんじゃないだろ。荒事は俺に任せろユノ」

「十二歳からホーカー稼業の隻翼にはいわれたくないです」


 ユノがクリールに反論する。


「ふむ。ではもう一品作ってこい。話はそれからだ」

「はい! ただいまお待ちを!」


 ユノが飛び出していった。


「仕方ないな。すまんカイン」

「過保護だな。自立したがっているように見える」

「言うな。じじぃ臭いぞ」

「俺のモチーフは九百歳以上生きたんだぞ」

「本当に人類だったのか疑わしいな」

「カミの系統だって似たようなものだろう」


 十分もしないうちにトレイに大きな容器と取り分け用の小皿をのせてユノが戻ってきた。


「即席ですがどうぞ! ビスケットに挟んだり、アイスを加えて味変もしてくださいね」


 容器にはティラミスが入っていた。


「早いな!」

「冷やしていた食材のを混ぜるだけなので。どうぞご賞味を」


 カインはティラミスをビスケットにのせて味わう。

 エスプレッソが染み込んだフィンガービスケットに生クリーム。ココアパウダーが振りかけてある正当派ティラミスだ。

 比較的簡単に料理することができ、食べやすい。


「ユノはバレンタインデーにいつもお菓子を作ってくれていたな」

「レイジさん。覚えていたんだね! あの頃より比べものにならないよ」

「確かに。美味しい」

「では俺もいただこう。――うむ。合格だ」


 満足そうにカインはうなずいた。ユノの願いは聞き届けられそうだ。


「ありがとうございます!」

「おいおい。いいのか」

「お前の役に立ちたくて必死なのだ。いいではないか。特性に合わせた調整をしておこう。明日、フラメンシュヴェルのところへ来い。もういっていいぞ」

「はい!」」


 小躍りするかのようにユノは退席した。

 カインという超越知能は人の心がよくわかる。ベルゼブブもそうだが、人間を進化させる役割をもつという基本原則があるのだから当然だ。


「昨日俺にお好み焼きを作ってくれた女どもはお前に惚れているではないか。ナミといいさきほどのユノも健気でよい。まったく罪な男だ。なあエイル。ロズル」

「そんなことはないと思うが」

『カインに激しく同意します』

『カインは話がわかりますね』


 即座にエイルとロズルによって否定された隻翼。

 

「あと一人チヒロだったか。あの者にもホークはいるだろう。エイル。どうだ」

『パイロット訓練では五番手ですね。――相当な上位です』

「使わないかもしれないぞ」

「兵器なんぞ使われないほうがいい。護身用に何ももたせないのも不安であろう」

「あいつは義理の妹でな。ユノはその友達だ」

「俺のモチーフなんぞ、アベルを殺害したあとアベルと結婚予定だった実妹を嫁にしたぞ。義理ならなんの問題もない」

「そういう問題じゃないだろ!」

 

 カインが豪快に笑う。ツボに入ったようだ。


「チヒロにも俺のもとへ来るよう伝えておけ。エイル。ロズル。隻翼が黙っているようならお前たちから伝えてやれ」

『了解いたしました』


 エイルとしてもアルフロズルの戦力強化として異論はない。


「しかしまずいな。急ぎエイトリを奪取せねば」

「そうだな。だが急がば回れ。だ」

「いくら供え物をしているとはいえ、エイルもロズルも女性型超越知能だからな。スイーツは飯テロだろうよ」

「……そうだな」

『カイン様は人の心がわかりすぎます』

『モテますよね』

「そうでもないが。ま、最古の超越知能型というのは当然だろう」


 カインが真剣なまなざしで隻翼を見る。


「提案だ。新型要塞撃破といったが、とある拠点も潰してもらいたい。相応の報酬は払おう。そのためにもお前たちは総力戦を行う必要があるのだ」

「構わない。報酬とはなんだ」

「エイル。ロズル。ドヴァリン。ドゥリン。四名の擬体を用意しよう。俺やベルゼブブぐらいには振る舞えるだろうよ。生身の肉体をもっていた身としては不自由ではあろうが、ないよりましだろう」

「俺としては願ってもない提案だ。エイル。ロズル。受けるぞ。決定事項だ」

『感謝しますカイン』

『願ってもない提案です』

「気前がいいなカイン」

「それだけ満足した。そして気が合ったというだけだ。失敗したらなしだぞ。しっかりやれ」

「承知した」


◆ ◆ ◆ ◆ ◆


 アルフロズルの格納庫にベルゼブブの姿があった。

 ユノに懇願して作ったティラミスのボウルとスプーン、大量のビスケットとアイスも乗せている。


「俺を呼んだな」


 厳かにヴァーリに告げるベルゼブブ。

 ティラミスの入った容器を抱えているその姿がその威厳をぶち壊していた。

いつもお読みいただきありがとうございます! 誤字報告助かります!


メカアクションとは……

ガレージが書きたくなったのでガレージ編突入です。

鹵獲機がやたら増えてパイロットが決まっていなかったからですね。

ユノの機体にします。初登場でヘイジ君を追い詰めた、普通の女の子基準です。


ティラミス。今年のコンビニアイスはティラミス系でしたね。

さっそく取り入れました!


応援よろしく御願いします!


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― 新着の感想 ―
暗殺技能を修めている事が普通の範疇の時点で完全に輩の視点なんよ
>荷電粒子砲とドリル装備のキッチンカー 料理する車な以上は調理器具は必要だし 宇宙海賊の丸焼きやミンチを作る以上はどうしてもね 神だの悪魔だのの在り方に大きな影響を与えたゾロアスター教の近親婚は神聖…
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