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魔王、帰還す〜追放された傭兵は圧倒的な機動力と火力をもつ機体を駆り戦場を支配する  作者: 夜切 怜
強化計画

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食べ物の恨みは恐ろしい

 エイルが小首を傾げながら考えている。


「火星のミカエルと対峙する前にガブリエルかラファエルに接触してみてはいかがでしょうか」

「他のEL勢力か。同士討ち、というわけではないな」

「天使の名を冠して独立している以上、別個体だ。思想も異なる。超越知能はそのようにできている」


 ベルゼブブが隻翼の疑問に答える。


「人間の価値観に応じた超越知能の管理領域がスフィアだったな」

「いわゆる一神教系のスフィアは民族的なルーツのほかに、共通する思想的なものもある」

「絶対性だな。全知全能な支配者の管理下を好むものたちだ。もっとも惑星カインはあらゆる罪人が集められていてスフィア決定権はなかったが」


 ベルゼブブの言葉にカインが捕捉する。

 惑星カインは追放者惑星。惑星アベルの攻撃というリスクもあり、決して安全とは言えない。


「とはいえ個としては別だ。そこにつけいる隙がある」

「ガブリエルかラファエルに飯でも食わせるか」


 個が別ならそれでいい。


「そうだ。お前が持つ最大の武器だ。派手にもてなしてやれ。皇帝や王族の料理の如くな」


 ベルゼブブが嬉しそうに笑う。


「庶民飯しか作れないが?」

「出来たての料理ならなんでもいいさ。あいつらはディストピア飯が中心だぞ」

「あれか……」

「私たちは二度とあの食事には戻りたくないですね!」


 エイルが気合いをいれていう。これほど料理人を保有している艦はないだろう。

 戦車ではあるが。


「どれか一人をもてなして、味方につければいいんだな」

「いや、そうじゃない」

「どういうことだ。ベルゼブブ」

「もてなし、贅沢をさせ、取り上げるんだよ」


 にたりと笑う悪魔王。


「報復が怖そうだが。食べ物の恨みは恐ろしい」

「それほど魅力的だということだ。それを餌にウリエルと同盟を組めばいい。ウリエルなら交渉の余地はある」

「文字通りの餌ということだな!」


 ベルゼブブの意図を察したカインが苦笑する。


「いかに堕落させるかが醍醐味だからな。肉体をもった今、連中だって食欲もあれば妬みもする。同じ系列のスフィアならなおさら嫉妬するわけだ」

「なるほど」

「超越知能にとっては誘惑が増える生身の肉体は毒にしかならん。文字通り【(エイトリ)】というわけだ。違うかエイル」

「そうですよ。だからある主、禁忌の物質だったのです」


 エイルはベルゼブブの指摘を認める。



「食べ物の恨みは恐ろしい。隻翼の言う通りだ。テュールスフィアが、ソースフィアやオーディンスフィアの連中に妬まれているようにな」

「え? そんなことになっているんですか!」

「知らなかったのか? ネットで話題だぞ。戦術系超越知能が情報戦に後れを取ってどうする」


 ベルゼブブは宇宙ネットワークwebのSNSを駆使している。


「宇宙ネットは広大すぎて疎いのですよ…… しかもそんな俗っぽい話題で!」


 エイルは宇宙ネットワークwebにうとかった。


「それはそうだ。エイトリの技術は喪失されたからな。オーディンやトールの連中も所持していない」

「詳しいですね」

「飯の恨みで俺のアカウントが炎上したからな」

「笑うところですか?」

「EL連中に妬み、嫉妬されているんだ。これほど面白いことはないぞ?」


 ベルゼブブは愉悦に浸っているようにもみえる。


「いいのか隻翼。こいつは一石二鳥どころか、三鳥も四鳥も狙っているぞ」


 カインがベルゼブブをみて苦笑いしている。


「敵でなければ頼もしいからな。ロズルは?」

「こうみえてアルフロズルには協力的なので、私的には気にしないんですが」


 ロズルが正直な感想をいう。


「その通りだ。悪魔は契約を遵守するものだぞ。人間と違ってな」

「契約の神である系統を模した我らはそうであろうな」

「神や天使は理解できるが、カインはどうして超越知能のモチーフに選ばれたんだ?」


 以前から気になっていたことを尋ねる隻翼。

 カインとアベルは、原始の二人アダムとイブの子供である。


「それは第一世代ELが、いわゆるセムの民の宗教ではなく、グノーシス派の伝承をモチーフにしていることが由来だな。ヨハネ外典によればカインとアベルは十二の支配者――アルコンの一人とされているのだよ」

「グノーシス派のアルコン。コイネーギリシャ語で統治者の意。つまり上位次元の存在ですね」


 エイルがアルコーンという存在を隻翼に教える。


「十二のアルコンは無知なる神デミウルゴスを含めた。そして七つのアルコンが生まれ、惑星に対応しているという。俺はそのカインの名が与えられた超越知能ということだ」

「だから惑星運営能力をもつんだな」


 隻翼は納得した。カインという人名にそぐわないほど権能が強大だからだ。

 支配者の一人というカテゴリなら納得するというものだ。


「悪魔王的にはラファエルとガブリエル。どちらがおすすめだ? ガブリエルは月、ラファエルは水星付近のスフィアだったな」

「アルフロズルなら移動に問題はありませんね」

「ガブリエルだな。四大でも軍事面ではミカエルに次ぐ実力者だといわれている。とはいえ穏健派であることには変わりない。そこからウリエルを攻略だ」

「ウリエル攻略前提なんだな」

「ウリエルスフィアの飯はとくにまずい。伝統だ。エージル系スフィアもなかなかのメシマズだが」

「否定はできませんね」


 ベルゼブブから目を逸らすエイル。


「北方系の伝統を引き継いだらそうなるのではないのか。食文化はそれぞれだ」


 食の伝統をフォローする隻翼。彼のいたカミ系スフィアとて、古代の食生活は質素だったという。


「蕪の酢漬けと肉焼きしかなかったような伝統だがな」

「飯に関してはずいぶんと辛辣だな」

「暴食を司るからな」

「えり好みは激しいですね」

「美味い飯を作る料理人が悪いってところかな」

「俺かよ」


 隻翼は辟易するかのような声をだす。

 一同が声をだして笑った。


いつもお読みいただきありがとうございます! 誤字報告助かります!


今回はターゲットを完全に決めます。

というわけで書き損ねた「なぜカインが超越知能なのか」も記載しておきます。

彼はグノーシス派だと支配者の一人のデミウルゴスと同格なのです。

十二のアルコンは七人のアルコンを生み出しました。五人説もあります。

彼等がいる限り、人の革新はなりません。肉体に囚われたまま。物質界の支配者です。ゲーム的ですね!


次回筆者取材のため予約投稿になります!


応援よろしく御願いします!


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― 新着の感想 ―
トールがソーになるってことはスフィア名の時は英語表記になるんだな まあ隻翼飯が美味いのは肉食禁止令の遠回りな結果だよな 結果味や栄養の補完にだしが発展したんだし
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