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大迷宮のあとしまつ ~ ダンジョンの掃除屋おじさん、うっかり有名配信者の配信に映り強すぎてバズってしまう~  作者: 仁香荷カニ


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第19話 星に落ちる

「うわああああああん、私たちは、普段二人で探索してて、ぐすっ、それで……」

「ああもうわかったから、話さなくていいからとりあえず泣き止んで」

「ネゴみんさん結構慣れてますね」

「あはは、私も妹がいましたので……」


 泣いている人を放っておくわけにもいかないので、とりあえずキュウさんに同行してマヨイさんを探すことにした。


 ネゴみんさんは手際よく彼女を落ち着かせ、俺の後ろで手を繋いで歩いている。


「最近B級に上がったばっかで……お姉ちゃんと二人ならめちゃつよなの……ネゴみんよりも」

「あ”?」

「でも、二人一緒じゃないとじゃだめだめだから、お姉ちゃん一人だと危ないの」

「キュウさんはお姉ちゃん想いなんですね」

「そうは言っても、もし本当に危なかったら命の紐があるし、それでもだめなら救難信号出せばいいじゃん」

「できないかも、お姉ちゃん馬鹿だから」

「君たち仲良いの? 悪いの?」


 30階層の天蓋部は入り口から離れていくほどに背の高い草や木が生えており、意外に視界が通らない。魔石構成の大半を占めるブラックストラリウムの暗さもあって見つけるのは困難かもしれない。


 さて、どうするか。


「とりあえ大声で呼びかけてみましょう。向こうも探してるかもしれませんし」


 この提案にキュウさんは素直にこくりと頷く。


「すぅ……お姉ちゃあああああああああん!」

「…………なぁにぃ~」

「反応早」


 遠くの方からかすかに反応する声が聞こえてくる。急いで向かうと、マヨイさんが巨大な植物の蔦に足を取られてさかさまに吊るされていた。


「お姉ちゃん!」

「キュウ~~どこ行ってたの~~」

「それはこっちのセリフ! 何してるのそれ!」

「なんか足が絡まっちゃった~~」


 足が絡まったどころの話ではないと思うだけど。


「芝崎さん、あれなんですか」

「あれはアイヴィープランターですね。ああやって探索者を捕まえて絞め殺すタイプの植物系モンスター」

「……彼女は何で生きてるんですか」

「何でだろうね、不思議だよね」


 たまにいるんだよな、こういうどうやっても死ななそうな探索者って。まあ、何はともあれ生きててよかった。


 キュウさんはアイアンガントレットでアイヴィープランターの下の方をボコンと殴り、重心を支えている箇所を抉り取る。しばらくしてアイヴィープランターは力なくマヨイさんを解放する。


 地面に落ちたマヨイさんに駆け寄るキュウさん。


「お姉ちゃん!」

「ぐわっ、妹よ頭をみぞおちでぐりぐりするな……」

「あなたねえ、一応命の危機だったんだからさあ、もっと危機感持ちなって」

「ネゴみん、強いおじさんも……かたじけない」

「はぁ……まあいいよ、ダンジョンは助け合いだしさ」

「それに、俺たち特に何もしてませんしね」


 ひとまず一件落着、そんな折にネゴみんさんは何かに気づいたように上を見上げる。


「ん? なんか遠くで音がした……?」


 この時に俺がネゴみんさんのように上を向いていれば、この事態は防げたかもしれない。だが、もうすでに遅かった。


 マヨイさんはぽつりとこんなことをこぼす。


「あれ、私……体浮いてないか?」

「お姉ちゃんはいつも浮いてるよ」

「そうなの?」

「二人ともなに漫才やって……うわぁ!」


 目の前にいた三人の体が宙に浮きあがる。と思ったら、俺の体もふわりと浮かぶ。

 まるで、上に引っ張られるように。


 この感覚、まさか……!


 俺が反射のように上を向くと、星で満ちていた天蓋に光が差し込むほどの大穴が開いているのが見えた。


 穴……崩落! しかもこの現象、31階層の上昇落下ドロップフォールか!


「きゃああああああああ!!」

「のおおおおおおおおお!」

「おねえちゃああああああああああん!!!」


 落下は止められない。天蓋に輝く星が、手に届くほど近づいて来る。


 上に落ちる……!



――――――――――――



ここまで読んでいただき、ありがとうございます。


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