第三十六話「夜の囁き」
深夜、静寂が部屋を包んでいた。僕はふとした物音で目を覚ました。隣には、ミカがそっと潜り込もうとしている姿があった。彼女は違う布団で眠るはずだったが、今は僕の隣を求めている。
僕は何も言わず、優しく彼女を受け入れた。ミカはいつもの天真爛漫さを隠し、小さな声で囁いた。「ごめんね、ちょっと…不安で。」
僕たちは布団を共にし、暖かさを分け合った。ミカは僕の腕の中で、明日からの冒険への恐れを打ち明けた。彼女の声は震えていたが、その瞳には決意の光が宿っている。
「ねえ、お兄ちゃんみたいに思ってもいい?」ミカが僕に問いかけた。彼女は僕のことを覚えていない。それは僕の心を寂しさで満たしたが、彼女の言葉は僕を新たな感情で包んだ。
僕たちは夜通し話をした。過去の記憶、これからの夢、そして、この狂った世界での希望について。ミカの笑顔は、僕の心の中で何かを揺り動かした。
夜が明ける頃、僕たちは互いの存在に感謝しながら眠りについた。明日への不安はまだ残るが、僕たちの絆はそれを乗り越える力を与えてくれる。
そして、僕たちは知った。真の強さは、互いを信じる心から生まれると。僕たちの旅は、まだ始まったばかりだ。




