第三十一話「村」
僕たちがその恐ろしい生き物から逃れ、息を切らしながら辿り着いたのは、一見すると平和な小さな村だった。村人たちは僕たちを温かく迎え入れてくれた。彼らは人間の姿をしていて、一瞬、安堵の息をついた。
しかし、すぐに違和感が襲ってきた。村人たちの笑顔はどこかぎこちなく、目は空虚な光を放っていた。彼らの動きは機械的で、まるで何かに操られているかのようだった。
「ここは一体…」僕がミカに囁くと、彼女は首を横に振った。
「何かがおかしいわ。気をつけて。」
村の中心には大きな時計台があり、その針は逆回りに動いていた。時計台の下では、村人たちが奇妙な踊りを踊っている。彼らの足取りは同期しており、まるで儀式のようだった。
僕たちはそっと村を散策し始めた。家々の中からは、人の声ではなく、金属的な音が聞こえてきた。そして、ある家の窓から覗いた時、僕は息をのんだ。そこには、人間の体を持つが頭部が機械のような生き物が、家事をしていたのだ。
「これは…人間と機械の融合…?」ミカが驚愕の声を上げた。
僕たちはさらに奥へと進んだ。すると、村の裏側には巨大な工場があり、そこからは黒い煙が立ち上っていた。工場からは、村人たちを作り出しているかのような音が聞こえてきた。
「ここは、人間を機械に変える工場なのかもしれない…」僕は恐怖を感じながらも、その真実を知りたいと思った。
僕たちは工場に忍び込むことにした。中には、人間の体を持ちながら、頭部が機械に置き換えられた生き物たちが、無表情で作業を続けていた。彼らはまるで感情を失ったかのように、ただひたすらに機械の命令に従っていた。
「僕たちはここから出なければ…」ミカが僕の手を引き、工場からの脱出を試みた。




