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始まりは魔法科高校から  作者: 眼鏡 純
2章:KING OF MAGIC
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9話 開催!KOM!

こんにちは!作者です!

今回から全8話予定でお送りする魔法科高校の頂点を決める大イベント─『KINGキング OF(オブ) MAGIC(マジック)』、通称『KOM』編が開始します!

この小説初の長編となりますので、楽しんで頂けたら幸いです!



──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。

 とある日の職員会議。龍空高校在席の全教師が集結し、議論の真っ最中である。


 「ではここまでの議論の結果、今年のKOM代表者はこの2人まで絞られました。最後は多数決で決めさせてもらいます。」

司会進行役の教師が、ホワイトボードにKOM代表者候補の2名の写真を貼り付ける。そして1人ずつ名前を読み上げると、他の教師は手を上げる形で投票していく。

「投票の結果、今年のKOM代表者はこちらの彼に決定致しました。異論はありませんか?」

司会進行役の教師が最終確認をとる。そして特に反対意見が出なかった為、職員会議は終了となった。

「ナナリー先生。」

シャイン達の担任教師であるナナリーに、物腰の柔らかい初老の男性教師が話しかける。

「私はてっきり、もう一人の絶滅魔法が使える子を推薦すると思っていました。」

ニコニコと優しい笑みを浮かべる初老の男性教師。

「確かにあの子は日々の授業に対する姿勢や学力は上ですので、一高校の代表者として理想の生徒でしょう。ですが、あの子の方がKOMのように戦闘能力が求められる場面では、あの子は天才です。正直、戦闘の面だけで見れば、我々教師よりも上手だと思います。ですので、あの子を推薦したのです。」

「成程、戦いの天才ですか。それは期待が持てますね。」

「ええ。しっかりと結果を残してくれると思いますよ。」

ナナリーはニコッと微笑み返すと、その場を後にした。そして1人廊下を歩きながら、

(戦いの天才、か。その才能を正しく使ってもらうように導くのが教師である私の仕事。……頑張らなくっちゃ。)

と、教師としての心構えを再確認するのであった。





 照り付ける夏の日差しの中、何万人レベルの人々が一堂に集まっていた。ここは『マジックコロシアム』。世界遺産であるコロッセオに似た外見のこのドームで、今からKOM──『KINGキング OF(オブ) MAGIC(マジック)』で開催されようとしている。



 ナナリー率いる龍空高校1年1組は、人混みの中マジックコロシアムへと歩を進めていた。

「おー!すげぇ人!」

スノウが周囲の人集りを見て興奮する。

「余所見しているとはぐれるよー。」

エアルに呼ばれ、スノウがエアル達に合流する。

「しっかし、12校の魔法科高校による年に一度の大イベント、『KOMの代表選手』がお前になるとはな〜シャイン。」

スノウが前を歩くシャインに話しかける。

「たく…面倒な事を押し付けやがって。」

シャインは小さく溜め息をつく。

「そんなこと言わずに、学校の名誉の為に頑張って。」

シャインの隣を歩くレビィが声援を送る。

「別に龍空高校の名誉なんざ興味ねぇ。──ま、強い奴と戦えることは悪くねぇけどな。」

シャインが悪そうな笑みを浮かべる。

「生粋の戦闘馬鹿ね。」

サナが真顔でシャインを馬鹿にする。

「うるっせぇ。」

シャインがサナを細目で睨み付ける。


 そんな和気藹々と話していると、マジックコロシアムの中に入り、ロビーの受付前に到着した。

「おはようございます。学校名とクラスを教えて下さい。」

受付の女性スタッフが告げる。

「龍空高校1年1組です。」

ナナリーが答えると、受付の女性スタッフは手元のタブレットを操作する。

「確認がとれました。この中に本校の代表選手がおられると登録されていますが、どなたでしょうか?」

「俺だ。」

シャインが前に出る。

「シャイン・エメラルドさんでお間違い無いでしょうか?」

「ああ。」

「では、代表選手のエメラルドさんはあちらの控え室へ。他の皆様は観客席へ向かって下さい。」

シャインは指示に従い、レビィ達と別の道を歩いていく。

「シャイン。」

レビィに呼ばれ、その場に立ち止まって振り向くシャイン。

「頑張って。」

レビィがグッと拳を握りながら声援を送る。

「………おう。」

シャインは短く応えると、振り返って控え室に向かった。




 シャインが1人歩いていると、マジックコロシアム側の男性スタッフに声をかけられ、控え室へと案内された。個室は大部屋となっており、シャインが到着した時には他の代表選手10人が集結していた。

 控え室の扉が開いた瞬間、シャインは10人の視線を一点に受けた。

(あいつは…まだいないのか。)

注目を浴びることを一切気にしていないシャインは、そのまま控え室に入ろうとすると、男性スタッフに呼び止められた。

「あっ、エメラルド選手。開会式までにこちらの服に着替えておいて下さい。」

シャインは男性スタッフから一着の服を受け取った。

「この服は?」

「『綱糸(こうし)』と呼ばれる糸を縫い込んでいる『KOM指定バトルスーツ』です。その強度は鎧以上となっており、皆さんの安全をより守るものとなっています。あと、少しでも公平性を生む為という理由もあります。」

「同じタイプの服を着させて、安全と公平を作り出すって意図か。」

シャインがバトルスーツを広げる。見た目はピチッとしたジャージで、動きやすそうな構造となっている。そして何より気になったのは、背中と左胸に描かれている龍が天を駆ける刺繍であった。

「なんだこのデザイン…?」

シャインが少し引いた目で龍の刺繍を見詰める。

「そちらは皆さんの高校の名前に入っている生き物を模してあります。毎年デザインが違うんですよ。」

男性スタッフが説明する。

「ふーん…まぁ何でもいいや。」

「男性更衣室はあちらにありますので開会式までに着用お願いします。では、暫くこちらで待機をお願いします。」

そう言い残し、男性スタッフは控え室を後にした。

「やぁ初めまして♪君が噂の絶滅魔法を使う一年生だね?」

シャインに話しかけてきたのは、腰にレイピアを携える金色のおかっぱ髪の男であった。動き、テンション、声、色々な要素から自分が好きなのだろうと窺える。服はKOM指定バトルスーツを着用しており、左胸と背中には牛の刺繍がされていた。

「誰だお前?」

シャインがそっけない返しをすると、おかっぱ髪の男は大袈裟なリアクションで驚く。

「き、君!三年連続代表選手に選ばれているこの『シストナル』様を知らないのかい!?」

「知らねぇし興味ねぇ。」

シャインはシストナルを置いて更衣室に向かう。

「待て待て待て!この僕がわざわざ気にをかけているんだぞ!それに先輩相手にその態度はなんだね!礼儀というのを知らないのか!」

シストナルは背中からシャインの肩を掴んで止める。

「……離せ。」

シャインが横目でシストナルを睨み付けると、シストナルはゾッと背筋が凍り、反射的にシャインの肩から手を離した。

「お、覚えておきたまえ!もしも僕と戦うことになれば、君に先輩に対する礼儀というのを教えてやる!」

「あっそ。じゃあその時はお手柔らかに頼みますね、先輩。」

煽り全開で返答したシャインは更衣室へ入っていった。



 「お待たせしました。これより開会式を始めますので、選手の皆さんは私について来て下さい。」

男性スタッフが代表選手を呼びに来た。

「おい、()()()がまだいねぇけどやるのか?」

KOMシャインの言う通り、現在控え室には11人。ある1人が足りないのだ。

「こちらにも予定というものがありますので。現在いない代表選手の方には申し訳ございませんが、開会式を始めます。」

シャインは取り敢えず納得し、男性スタッフに付いていく形で控え室を後にした。






 「大変長らくお待たせしました!これよりKOM─KING(キング) OF(オブ) MAGIC(マジック)の開会式を始めます!」 

マジックコロシアムの円形フィールドの真ん中でシルフハットを被り、燕尾服を着用した司会者の男がマイクで告げると、周囲の観客席から歓声が上がった。

「では今から今年の代表選手達に入場して頂きます!入場順は昨年の順位の低い順となっております!来年は最後に紹介されるように頑張ってもらえると幸いです!それでは早速1校目の代表選手から入場です!」

司会者が高校名、代表選手の名前と簡単なプロフィールを紹介をしながら、昨年の12位から入場が開始された。

 入場順は、『火兎(ひうさぎ)高校』、『羊雲(ひつじぐも)高校』、『馬原(うまばら)高校』、『犬白(いぬしろ)高校』、『猿山(さるやま)高校』、『牛島(うしじま)高校』、『鳥崎(とりさき)高校』、『猪里(いのざと)高校』、『蛇帝(じゃてい)高校』、『天鼠(あまねずみ)高校』、『虎神(とらがみ)高校』、『龍空(りゅうくう)高校』となっており、シャインの入場は最後尾となっている。


 順調に入場は終えていき、残すところ2校だけとなった。

「さてさて!残すところ2校となりました!ですがここでお知らせです。現在虎神高校の代表選手がまだ来られていないということですので、次で選手紹介は最後となりますのでご了承下さいませ。」

司会者は報告を入れた後、一拍置いてから紹介を始めた。

「それでは!昨年同率1位となった高校の1校─龍空高校の代表選手の入場です!」

司会者の言葉を合図に、シャインは入場ゲートを潜ってフィールドに姿を現した。そして同時に歓声の雨がシャインに降り注ぐ。

「数多の2年生3年生を押さえ、なんと1年生での出場!だがそれよりも注目なのは彼の魔法!なんと彼が使う魔法はあの絶滅魔法の一種!その古の魔法の巧みに操る彼の名は……シャイン・エメラルドーーー!!!」

司会者の紹介が終えると、また大歓声が上がった。そして代表選手11人がフィールドの中央に集まると、司会者が進行をする。

「では、これにて入場は終了しましたので、次のプログラムに移りたいと思います。次は──」

その時、司会者の進行を妨げるかのように、上空から1つの人影が落ちてきた。そして次の瞬間、シャインの近くに巨大な火柱が発生し、会場に悲鳴と驚きの声が上がった。

 シャインは全く怯むことなく、立ち上る火柱を睨み付ける。そして火柱は数秒後に鎮まり、中から1人の男が現れた。

「な、なんとここで現れたのは本当に最後の代表選手!たった2週間で高校の頂点に君臨した虎神高校史上最強と呼ばれている1年生!ダクネス・アルシオンだーーー!!!」

司会者の機転により、沈みかかった会場のテンションが再度上がった。

「やっぱり選ばれたがったな、シャイン。」

「遅刻してるくせに派手な登場してんじゃねぇよ、ダクネス。」

周囲のことは一切気にもせず、シャインとダクネスは睨み合うのであった。

本日はお読み下さって本当にありがとうございます!

少しでも先が気になった方、面白かった方はブックマーク、☆の評価などをお願いします!


遂に始まりましたKOM編!果たしてシャインは優勝できるのでしょうか!?次回は予選となっておりますので、お楽しみ下さい!

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