4話 虎神高校の頂点
こんにちは!作者です!今回はとある人物の紹介の回です。序盤は人物紹介などが多くて申し訳ないですが、読んでいって下さると幸いです。
──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。
シャイン達が仲良くシュークリームを食べている時、とある高架下では、シャインにボコボコにされた不良達が正座させられていた。
「成程ね〜、たった1人相手に全員が一瞬で負けたと。」
身長165cm。桜色の無造作ヘアーに灰色の瞳をもつ少し小柄の少年が、正座する不良達の前を往復する。
「す、すいませんでした!」
片耳ピアス男が土下座すると、他の不良達も土下座をする。
「ナハハハ!こりゃ芸術的な土下座だ!」
桜色髪の少年が片耳ピアス男の前で立ち止まって屈むと、乱暴に顔を持ち上げる。
「でもな…お前等は虎神高校の生徒のくせに無様な敗北をした。それがどう影響するか知ってっか?それはな…虎神高校は弱ぇ奴等の集まりって舐められんだよ!」
桜色髪の少年は思い切り片耳ピアス男の顔面を地面に叩き付けた。
「喧嘩すんならしっかり勝てや雑魚ども!それが出来ねぇなら大人しく学校だけ通うモブに徹しろ!」
桜色髪の少年は立ち上がり、片耳ピアス男の頭をぐりぐりと踏み潰す。他の不良達はその光景を見て完全に怯えてしまっていた。
「そこまでだ『オウカ』。無意味な暴力は疲れるだけだ。」
オウカと呼ばれた桜色髪の少年を止めたのは、身長177cm、オールバックにした黒髪に青色の瞳をもち、縁無しの眼鏡をかける男であった。
「チッ…わーったよ。じゃあこいつ等の処分はどーすんのよ、『クレイン』。」
オウカは縁無し眼鏡をかける男をクレインと呼んで問う。
「それは……」
クレインが答えようとした時、金色短髪の男がこの場に現れた。クレインはその者に気付くと、一歩後ろに下がってから頭を下げた。
「おい、てめぇ等が相手はどんな見た目をしていた?」
金色短髪の男が片耳ピアス男に問いかける。
「えっ?えっと……黒髪に黄緑色のメッシュみたいな入った野郎でした。」
片耳ピアス男が震えた声で答えると、金色短髪男が笑いだした。
「クハハハ!そうかあいつか!なら、てめぇ等がどれだけ束になろうと勝てやしねぇよ。いいだろう。今回は相手に免じて処分はなしだ。ほら、俺の気分が変わる前にさっさと失せろ。」
「わ、分かりました!」
片耳ピアス男率いる不良達は逃げるようにその場から立ち去っていった。
「よろしかったのですか?」
クレインが尋ねる。
「ああ。天地がひっくり返ってもあんな雑魚どもがあいつに勝てるわけねぇからな。そんなことでいちいちヤキなんて入れていたらこっちが疲れちまう。」
金色短髪男がクハハと笑った後、続ける。
「さて、明日にちょっと挨拶にでも行くとするか。」
そう言って金色短髪男は高架下を後にする。クレインとオウカもその男を追って高架下から去るのであった。
次の日。何事もなく放課後になり、生徒達は下校を始める。シャイン達も同じように下校しようとした時、正門が何だかザワザワとしていることに気が付く。
「皆さん、避けるように歩いていますね。」
ヒューズの言う通り、下校する生徒達は警戒した顔持ちで、わざわざ遠回りしてでも誰かを避けて通っているようだ。
「……どうやら、お目当ては俺のようだ。」
生徒達が避ける誰かが分かった瞬間、シャインはその誰かに近付いていく。そして目の前で立ち止まると、キッと睨み付けた。
「おいおい、久々の再会なのに無愛想な顔だな。」
「お前に愛想なんて必要か?『ダクネス』。」
身長185cm、金色短髪に金色の瞳をもち、右頬に十字の古傷がある男を、シャインはダクネスと呼んだ。
「あの人の制服、昨日私をナンパしてきて、シャインに倒された人達と同じ。」
遠目からダクネスを見て、レビィが思い出す。
「あれは虎神高校の制服。そしてあいつは、入学してたった2週間で虎神高校の頂点に立った男─『ダクネス・アルシオン』よ。」
隣にいるサナがシャインと睨み合う男について説明する。
「あの人、シャインと知り合いみたいだけど…どういう関係なの?」
レビィがサナに訊く。
「そんなの知らないわよ。まぁあの感じを見る限りは、あまり良い関係ではなさそうね。」
サナは興味なさそうだが、しっかりと状況から推測する。
「取り敢えず俺達は今、見守るしかねぇって感じだな。」
スノウの言葉に賛同し、レビィ達はシャインを見守ることにした。
シャインとダクネスの睨み合いは続いている。
「なぁ、用があるならさっさと終わらせてくれねぇか。目立って仕方がない。」
シャインがこの膠着状態を終わらすべく、口を開いた。するとダクネスはニヤッと笑い、右腕を横に伸ばした。すると手から炎が発生し、その形を剣に変えた。そしてシャイン目掛けて炎の剣を振るった。しかし、炎の剣はシャインの顔の寸前でピタリと止まる。
「ほう…避けなかったか。」
「お前は殺り合うなら真っ向からくるタイプだ。不意打ちするような性格じゃねぇ。それくらいは知っている。」
「成程な。」
ダクネスはニヤッと笑うと、炎の剣を消滅させる。
「もう一度訊く。俺に何の用だ?何も用がねぇならさっさと帰れ。変なパフォーマンスをするから先生どもが集まり始めている。」
シャインが背後の校舎に先生達が集まっていることを声と足音で感知する。
「昨日、ウチの高校の者が世話になったみてぇだからな。それを建前に挨拶でもしようかと思っただけだ。」
「身内がぶっ飛ばされたから、その復讐に来たってことか?」
「いや、本当に挨拶だけだ。もう気が済んだから帰るさ。俺の部下が召喚した召喚魔程度で苦戦しているようだったからちょいと失望していたが、その目を見て安心したぜ。俺が知るてめぇのままで良かった。」
「あの鎧の幽霊、お前等が原因だったのか。」
シャインが数日前の幽霊騒動を思い出す。
「てめぇ等の実力を見る為の余興に過ぎない。もうやらねぇから安心しな。」
ダクネスはクルッと背を向けてから続ける。
「本気のてめぇと戦える日が楽しみだ。」
その言葉を最後に、ダクネスは龍空高校から去っていくのであった。
シャインが黙ったままダクネスを見送った後、レビィ達5人が駆け寄ってきた。
「シャイン!大丈夫!?」
レビィは心配した顔でシャインに異常がないか調べる。
「シャイン、あんた虎神高校の頂点と知り合いだったの?」
サナが尋ねる。
「………ちょっとした腐れ縁だ。」
シャインが少し歯切れの悪い返答をする。サナは少し気にはなかったが、深掘りしたいほど興味があるわけでもないので、そこから質問をすることはなかった。
「さて、先生どもがこっちに来ている足音が聴こえる。ほとぼりが冷めるまで俺は一旦学校から離れるわ。じゃ。」
そう言ってシャインは、素早くその場から去っていった。
「……取り敢えず、俺達も解散しようぜ。」
スノウの言葉に賛同し、レビィ達も各々帰る場所に帰っていくのであった。
本日はお読み下さって本当にありがとうございます!
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次回から数話かけたストーリーが始まりますので、楽しみにしていて下さい!