22話 革命軍のボス
こんにちは!作者です!文化祭編5話目です!
う〜ん…もう文化祭って雰囲気じゃなくなってしまったのに、文化祭『編』と言っていいものか…。ま、まぁ気にしないでおきます。
──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。
「あの男の名は『フォーグ・ジュエール』。革命軍のボスだよ。」
「敵さんの親玉か。」
ヒシヒシと伝わる圧倒的強者のオーラに、シャインは額から汗をツーっと流す。
「少し予定と違うが折角だ。絶滅魔法の力を楽しませてもらおう。」
フォーグは不敵な笑みを浮かべ、戦闘態勢となった。シャインも同じタイミングで風砕牙を構え、戦闘態勢となる。
両者の睨み合っていると、いつの間にか鉛色に染まった空から雨が降り始める。そして先に動いたのはシャインであった。
「[喰風]!!」
シャインが風砕牙を横振りして風を発生させる。発生した風は獣の顔へと形を変え、フォーグに噛みつこうとする。フォーグが跳び上がって攻撃を回避すると、シャインが刀を振り上げ、獣の風で追撃を狙った。しかし、謎の力によって獣の風は真上から押し潰されて消滅した。
(何だ今の力?)
シャインは得体の知れないフォーグの力に警戒しつつ、次の攻撃を仕掛けようとするが、先にフォーグが動く。パン!と両手を合わせた瞬間、シャインの左右から謎の力が発生し、シャインを押し潰そうとする。
シャインは可視化は出来ていないが、左右から危険な力が迫っていることを感じ取り、咄嗟に跳び上がって回避する。フォーグは跳び上がった一瞬の隙を突き、謎の力を正面からぶつけ、シャインを屋上から吹き飛ばした。
そしてグラウンドの上空まで吹き飛んだシャインに、フォーグは一瞬にして追い付くと、謎の力によってグラウンドに叩き落した。シャインは抵抗出来ぬまま真下に落ちていき、用意してあった屋外ライブ用のステージを破壊しながら落下した。
「いっっつ……!」
シャインが全身の痛みに耐えつつ立ち上がり、瓦礫化したライブステージから離れると、近くにフォーグが降り立った。
(ヤバいな…マジで強ぇ。)
シャインはフォーグの強さに圧倒されてしまい、思わず苦笑いが出てしまう。
「戦闘に関してはかなりの才能はある。だが、まだ経験値が足りないようだ。」
フォーグがシャインについて分析する。
「……うるせぇ、何様だこの野郎。」
シャインは悪態をつきながら風砕牙を構える。
「戦闘前より武器の構えに明らかに気迫がない。お前、俺を恐れているな?」
図星を突かれたシャイン。心臓がドクンと大きく脈打つ。しかし無言で風砕牙を構え続ける。
「あくまで虚勢を張るか。相手によっては良い選択肢だったかもしれないが、相手が悪かったな。」
フォーグの不敵な笑みが、シャインの恐れを一気に増幅された。同時に足に枷が付いたかのように重くなった。
フォーグが攻撃を仕掛けようと動いたその時、校舎の渡り廊下の壁が真円に斬られ、そこから黒きオーラを纏った影が飛び出すと、迷いなくフォーグに向かって飛んできた。
フォーグは背後から迫る殺気を感知すると、反射的に横へ高速ステップを踏み、攻撃を回避した。
「お前は…レビィ・サファイア。」
フォーグは襲ってきた人物を瞬時に見抜く。
「我が主から…離れろ!!!」
レビィことナイトが鬼の形相でフォーグに連続で斬りかかる。フォーグは全ての攻撃を回避した後、間合いを空けて謎の力でナイトに攻撃を仕掛ける。するとナイトは、目の前から迫る謎の力を一太刀で切り裂いた。
「なに…?」
フォーグでも予想外の展開だったらしく、初めて動揺が走った。
「[水無月]!!」
ナイトは好機を逃さず、フォーグに波一つ立たない水面の如く水平な横薙ぎを放つ。しかし、この攻撃はフォーグには届かず、2人の間に割り込んできたムサシ・ミヤモトによって防がれてしまった。
「拙者との戦いをほって何するかと思えば…うちの大将の首を狙うのはいただけへんなぁ!」
ムサシがナイトを押し返す。ナイトはクルッと空中で一回転してからシャインの近くに着地する。
「大将、無事ですかい?」
ムサシがトントンと刀の峰で背を叩きながらフォーグを心配する。
「……あの女、俺の魔法を斬った。」
フォーグが告げると、ムサシも驚いた顔でナイトに視線を向ける。
「ほ〜、無属性ってのはそんな芸当も出来るやな。」
ムサシが関心していると、フォーグとムサシの近くに魔法陣が展開し、イルファが出現した。
「フォーグ様、ご無事でございますか?」
ぞくぞくと革命軍のメンバーが集まっている中、校舎の方で爆発が発生し、放物線を描いてスノウがグラウンド側に吹き飛んできた。
「………ぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!」
スノウの叫びが徐々に近付いて、最後はシャイン達の近くにダン!とスーパーマンの如く着地した。
「あの爆発野郎!ぶん殴ってやる!」
スノウが怒り心頭の顔で校舎に向かおうとするが、近くにナイトとシャインがいることに気が付き、ピタッと止まる。
「おうお前ら。ここで何やってんだ?」
スノウが2人に尋ねると、シャインが視線で向こうを見ろと指示する。スノウは同じ方向を向き、フォーグ達の存在を確認する。
「成程、相手側のボスか。」
スノウは現状を理解すると、その場にいることを選んだ。すると校舎から爆風を利用してパンロックが飛んできて、フォーグ達に合流した。
「heyボス!こっちに俺様の獲物が……って、なんか全員集合してるじゃん。」
パンロックがその場の空気を読んだ。
「フォーグ様、お気付きでしょうがOGの者達が我々を包囲しています。」
イルファがフォーグに囁くように伝える。
「ああ、分かっている。」
フォーグが思考を巡らせていると、校舎側からエアル、サナ、ヒューズ、そしてアレンが合流した。
雨足が強まる中、シャイン達とフォーグ達の睨み合いが続く。その中でフォーグが指示を出す。
「撤退するぞ。こいつ等とOGを同時に相手にするのは流石に骨が折れる。」
「かしこまりました。」
イルファはフォーグからの指示に即行動をし、龍空高校全域に魔法陣を展開した。
「──!逃すか!!」
フォーグ達の撤退を勘付いたアレンがハンドガンを構える。だが、フォーグが謎の力を発動する方が一手早かった。次の瞬間、真っ白な霧が突如発生し、周囲の視界が奪われた。
シャイン達が霧に怯んでいる間に、イルファの魔法が発動すると、拘束中、戦闘不能中の兵士含め、全員がその場から瞬間転移し、その姿を消した。霧はシャインとサナの風魔法によって晴らされたが、視界が良好になった頃には、まるで戦場の跡地のような静寂が包む龍空高校が広がっていた。
緊迫状態から解放されたシャイン達は、各々心身を安らげた。そして一頻り休憩が終えたところで、サナがアレンに告げる。
「さてアレン、ここまで私達を巻き込んでおいて、全く説明がない、なんてことはないわよね?」
「……そうだね。僕は君達に話す義務が生まれた。だけどその前に場所を変えよう。」
アレンは真剣な顔で告げると学生寮へ歩き始めた。他の6人もアレンの後ろを付いていく。その時、雨がいつの間にか止んでいることに気付いたエアルが、ふと空を見上げて仰天した。
「えっ!?空に穴、空いてるんですけど…!」
エアルの驚きの声に釣られ、他の6人も空を見上げる。すると龍空高校の丁度真上に位置する雨雲のみが綺麗になくなっており、エアルが言った通り、まるで空に穴が空いているようになっていた。
「なんだ?天変地異か?」
スノウが首を傾げていると、アレンが冷静に答える。
「違うよ。あれはフォーグの魔法の力だ。さっき霧がいきなり発生しただろ?その正体は龍空高校の真上にあった雨雲だ。あいつは雨雲を落としたのさ。──そのあたりもちゃんと説明するから、まずは場所を移ろう。」
7人はぽっかりと穴が空いた空の下、学生寮へと移動するのであった。
本日はお読み下さり誠にありがとうございます!
少しでも先が気になった方、面白かった方はブックマーク、☆の評価などをお願いします!
これにて革命軍との戦闘も終了。次の話は説明回となっておりますが、重要なお話なので読んで下さると幸いです。
それではまた明日、お会いしましょう!お楽しみに!




