21話 革命軍
こんにちは!作者です!文化祭編4話目です!
文化祭の楽しい空気が一変し、謎の組織革命軍が襲来です。
──それでは皆様に、少しでもワクワクできる時間を。
「組織?つまり貴様等は何かしらの組織に属する者達か。」
ナイトが刃先をムサシに向ける。
「そーいや言ってなかったけ。拙者らは『革命軍』。この世界を変える組織や。」
ムサシは徐に二本の刀を抜刀する。
「革命軍……その革命軍が絶滅魔法の使い手に何の用だ?」
敵が武器を抜いた為、ナイトは更に身構える。
「使い手自身にはぶっちゃけ用はないねん。用があるのは『君達の魔力』や。やからさ……」
次の瞬間、ナイトの眼前に二本の刃が迫ってきた。紙一重で反応したナイトは夜桜でムサシの一撃を防いだ。すると強烈な衝撃波が発生し、周囲の窓ガラスが残らず割れた。
「大人しく捕まってくれへんか。レビィ嬢?」
ムサシの浮かべる笑みから狂気が溢れる。
「……断る!」
ナイトはムサシの狂気に飲まれまいと、ニッと片方の口角を上げ、強気に否定した。
ナイトとムサシが発生させた衝撃波は、移動中のシャインとスノウにまで届き、近くの窓ガラスを全て粉砕した。
「なっ!?」
「なんだっ!?」
2人は咄嗟に足を止め、吹き飛ばされないように踏ん張る。
「なんか爆発したのか!?」
窓ガラスの破片で頬を切ったスノウが、垂れる血を手の甲で拭き取りながら叫ぶ。
「いや、この気配…ナイトが誰かと戦ってやがる。」
シャインが冷静に状況を把握する。
「マジか!だったら早く合流するぞ!」
2人が再び動き出そうとした時だった。前方の教室の扉が爆発音と共に吹き飛んだ。
「hey!そこのyou達!ストップだぜ!」
年齢26歳、身長178cm、金色のツンツンヘアー、カラーコンタクトによって紫の瞳に髑髏が描かれており、素肌に黒の革ジャン、黒のレザーパンツを身に纏う男が姿を現した。
((変態だ…!))
口には出ていないが、第一印象がシンクロするシャインとスノウ。
「だ、誰だお前?」
スノウが少し困惑しながら訊く。
「俺様のネームは『パンロック』!革命軍『革命三柱』の1人だ!」
「革命軍?三柱?何言ってんだこいつ?」
知らない単語にスノウが首を傾げる。
「油断すんじゃねぇスノウ。こいつ見た目の割りにやれるぞ。」
シャインがパンロックの秘めたる力を感じ取る。
「マジか。じゃあ油断しねぇ。」
スノウはシャインの言葉を信じ、グッと拳を構える。
「いいねyou達!最高にノリが良い!じゃあそんなyou達に!俺様の魔法を見せてやる!」
パンロックが掌を床に付けると、二本の導火線がシャインとスノウの元に蛇行しながら伸びてきた。そして伸びた導火線にボッと火が点火された。
シャインとスノウの直感が危険と警鐘を鳴らすと、同時にバックステップを踏む。すると、2人が先程まで立ってた位置で導火線の先端と火が重なり、爆発が起きた。
「あっぶねぇ…!」
スノウが驚きながら頬を伝う血を手の甲で拭う。
「今のがお前の魔法か。」
シャインが風砕牙を構える。
「そうさ!これが俺様の魔法!『爆弾は力』だ!」
パンロックがベロンと舌を出して、ヒャハハハ!と笑った。
喫茶店の模擬店をしていた跡が残るとある教室の中。その中央で丸いテーブルを囲むように座る3人の姿があった。1人はサナ、1人はヒューズ、そして最後の1人は、年齢30歳、身長170cm、茶色のロングヘアーに黄色の瞳をもち、ピシッとしたワインレッドのスーツを身に纏い、ノーフレームの眼鏡をかける美人の女性であった。
3人の前にはコーヒーが入ったカップが置かれており、端から見ればお茶会のようだが、この場を包む空気はピリピリと張り詰めているため、決して楽しんでいる雰囲気ではなかった。
「あら、最近のインスタントは美味しいわね。」
謎の女性がコーヒーを飲み、味の感想を述べる。
「で、あんた何者なの?いきなり目の前に現れたかと思ったら、戦う意志はない、話し合いをしましょう。って。怪しすぎるんだけど。」
サナが睨みつける。
「そう思っているのに、ちゃんとこちらの案に乗ってくれるのね。」
謎の女性がクスッと笑う。
「うっさい。私も戦闘は極力避けたいだけ。それより、あんたはどこの誰なのよ?」
サナが再度謎の女性に訊く。
「私は『イルファ』。革命軍の『革命三柱兼秘書』をしているわ。」
「革命軍?知らない組織ね。」
サナが頭の中に革命軍という文字がなかった。
「一般人が知る由もない水面下で動いていたもの。知らなく当然よ。」
「そ。で、そんな革命軍が何でシャインとレビィを狙っているわけ?」
サナが単刀直入に尋ねる。
「別に彼等自体はいいの。欲しいのは絶滅魔法の魔力のみ。だから早く回収したいのだけど、何処にいるのかしら?」
「知らないわよ。てか、知ってたとしても教えるわけないでしょ。」
その時だった。ナイトとムサシの衝突によって発生した衝撃波により、サナ達がいる教室の扉を吹き飛ばされたのだ。
しかし、全く動じない3人は、そのまま無言で吹き飛んだ扉を見詰めていた。
「どうやら探す手間が省けたようですね。」
ヒューズが告げると、イルファが席を立つ。
「では私は行くわ。大人しくしておいてね。」
イルファが教室を出ようとすると、その背に向けてサナとヒューズが戦闘態勢をとる。
「あのね、敵の幹部っぽい奴をみすみす見送るわけないじゃない。」
「そういうことです。」
イルファは小さくため息をつくと、2人に振り向く。
「可愛くない子達ね。」
イルファは異空間から魔導書を取り出すと、スッと戦闘態勢となった。
龍空高校の屋上から現状を見下ろす1人の男。その男の背後に現れたのは、ハンドガンを所持する制服姿のアレンであった。
「この高校には既に『OG』が潜入している。お前達の襲撃もすぐに鎮圧されるぞ。」
「だろうな。いくら使い捨ての兵達であれ、民間人に負けるほど貧弱ではない。」
謎の男が眼下で来客者に次々と捕まる武装した兵達を見ながら応える。
「幹部達も来ているな。全員、この場で捕まってもらう。」
アレンのハンドガンを強く握り、銃口を謎の男に向ける。
「随分と意気込んでいるな。無駄な力は焦りを生む。そして焦りが生むのは判断ミスだと、昔教えた筈だが。」
外見年齢30代後半、身長180cm、焦茶色の長い髪に藤色の瞳をもち、左目が髪によって隠れている。黒を基調とした軍服を身に纏う謎の男が、アレンの方に振り向く。
「黙れ!」
アレンが引き金を引き、数発の弾丸を放つ。しかし、放たれた弾丸は謎の男の目の前で急停止すると、180度回転して反対にアレンに向けて放たれた。アレンは返ってきた弾丸をしゃがんで回避すると、低い姿勢のまま謎の男に接近する。
「[改造]!」
接近している途中に魔法を発動し、所持するハンドガンを瞬時に分解し、同時に異空間から別の部品が出現させた。そして1秒もかかることなく、ハンドガンは機械の剣へと改造された。
「死角からの攻撃…マニュアル通りの動きだな。」
謎の男は一切動揺することなく、呆れた顔をする。
アレンは機械の剣で斬りかかろうとした時、まるで車に撥ねられたかような謎の衝撃を真横から受け、屋上から外に吹き飛ばされてしまった。
「──!![改造]!!」
空中で瞬時に体勢を戻したアレンは、機械の剣を分解すると、異空間から別の部品を取り出し、機械の剣からフックショットに改造する。そしてフックの部分を発射し、屋上の柵に引っ掛けると、巻き取るようにして屋上に戻ってきた。しかし屋上に着地した時、謎の男に先回りされていた。
謎の男は強烈な回し蹴りをアレンの顔面に喰らわして吹き飛ばした。アレンは屋上の出入り口付近の壁に激突すると、ドサッと横向きに倒れた。
「ゲホッ…!ゲホッ…!」
アレンが倒れたまま口から血を吐いていると、謎の男が近寄ってきて見下ろした。
「敵前で安易に着地するとは愚の骨頂。狙われて当然だ。これも昔に教えた筈だぞ。」
「くっ…!」
アレンが立ち上がろうとするが、真上から謎の力で押し付けられ、動きを封じられた。
「これからの事を考えると、今の間にお前は始末していた方が都合が良いかもな。」
謎の男が謎の力で屋上の柵を破壊すると、尖った先端をアレンに向ける。
「さらばだ、アレン・ルビーよ。」
謎の男がアレンに止めを刺そうとした時だった。謎の男はゾクッと背後に殺意を感じ取った。
振り向くとそこには殺意を放った少年──シャイン・エメラルドが立っていた。
「ほう。」
謎の男は先端が尖った柵をシャインに向けて飛ばす。シャインは迫る柵を容易く斬ると、一息で謎の男との距離をなくし、そのまま斬りかかる。謎の男はシャインからの攻撃を回避すると、大きくバックステップを踏んで距離を空けた。
「無事かアレン?」
シャインは倒れるアレンの前に立って安否を確かめる。
「シャイン…どうして君がここに?」
謎の力が解け、アレンがよろめきながら立ち上がる。
「爆弾野郎はスノウに任せてレビィの元に向かおうとしたんだが、その道中でお前が屋上から吹き飛ばされているのが見えたんだ。で、来てみたらどうだ。なんかヤベェ奴と戦ってんじゃねぇか。」
シャインは謎の男から感じるただならぬオーラに、自然と身構える。
「おいアレン、あいつ何者だ?」
「あの男の名は『フォーグ・ジュエール』。革命軍のボスだよ。」
「敵さんの親玉か。」
ヒシヒシと伝わる圧倒的強者のオーラに、シャインは額から汗をツーっと流す。
「少し予定と違うが折角だ。絶滅魔法の力を楽しませてもらおう。」
フォーグは不敵な笑みを浮かべ、戦闘態勢となった。
本日はお読み下さり誠にありがとうございます!
少しでも先が気になった方、面白かった方はブックマーク、☆の評価などをお願いします!
革命軍の幹部達にボスまで登場。彼らの目的は一体何なのでしょうか。
それではまた明日、お会いしましょう!お楽しみに!