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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第四章 出会
75/187

75、修行の終わり

4日目の朝がきた。

いつものように朝食の後、午前中は基礎トレーニングだ。

筋肉が慣れてきたのか、今までよりも若干ゆとりが出てきた気がする。

若干だけれども。。。


とか考えていると、

「よーし。今日からはメニューを増やすぞー」

とリクが言い出した。


「げっ」

考えている事がバレたのか。

僕はリクの言葉に顔を青くした。



なんとか増えたメニューをこなした僕たち。

今日はリバースはしなくて済んだが、昼食を食べる気にはならなかった。

「うげぇ」

と言いながら休憩する僕。

しかし、この日から毎日メニューが増えていくことになるのを、この時は知らなかった。


午後からはいつものようにスキルの練習だ。

腹に溜める、足に移す、飛神発動をなん度も繰り返す。

まだまだ実践で使えるスピードではないが、ここからさらに修行の難易度が上がった。

腹に溜める、足に移す、飛神発動の一連の動きをランニングをしながら行う。

実戦では敵と戦いながら、この一連の動きをしていかなくてはならない。

頭で考えるのでは無く、体で覚えていき、ほぼ無意識でこの一連の動作ができるようにしていかなくてはならないらしい。

しかし、頭でいろいろと考えがちな僕には難しかった。

ランニングをしていると走ることに意識がいって、溜めたエネルギーが散らばってしまった。

また、飛神の発動に意識を置くといつのまにか走るのを辞めてしまったりした。

「最初からできる奴はいない。何度も繰り返しやってみるんだ」

とリクの励ましを聞きながら、僕はエネルギーが尽きて倒れるまでこの修行を続けた。


スキルの後は剣術の修行だ。

いつも通り基本の振り方を反復し、その後にコンビネーションの反復を行う。

その後にリクと対峙して、ゆっくりとした動きで模擬立合いを行った。


「よし。今日はここまでにするか」

というリクの掛け声で今日の修行は終わりとなった。


そして、いつもどおり食材を調達しにいく。

今日は森に入り木の実や果物の取り方を教えてもらった。

取れた食材と干し肉が今日の夕食だ。

少し物足りないが、旅をしながら毎日満足な食事ができるとは限らない。

そう考えて我慢することにした。



こうして1ヶ月ほど僕たちは修行を続けた。

朝起きると朝食をとって基礎トレーニングを始める。

修行を始めた当初から比べ、かなりの量を難なくこなせるようになってきていた。

もちろんリバースも無しだ。


昼食時に

「今日の干し肉はいつもと違いますね」

と僕が言うと、

「うん。塩を変えてみたの」

と姫乃先輩は答えた。

「こっちの方が美味しいです!」

「そう言ってもらえると嬉しいな」

と僕たちが楽しく会話していると、

「うふふ。余裕があるわね」

とマキが言った。


午後からはスキルと剣術の修行だ。

僕はリクと撃ち合いながら、隙を見て飛神を発動させる。

リクは剣を使って僕の相手をしてくれているが、僕の攻撃はリクにかすりもしない。

「くっそぉ」

と叫びながら、リクに斬りかかる。

叫びながらではあるが、振り方は小さく速くを守っている。

この1ヶ月でだいぶ身体に浸透してきたようだ。


キンッ

僕の振り下ろした刀をリクは易々と剣で受ける。

僕はリクの剣の反動を使って後ろにジャンプした。

そして、着地したところで飛神を発動する。


「飛神」


一瞬のうちにリクの後方まで移動する。

リクは飛神を使いながら振った刀を剣で簡単にいなす。

リクくらいのレベルになると、いくら速くても見切ることは可能なようだ。

まぁリクの前で何度も使用しているからということもあるのだろうが。


ただ、飛神の発動に関してはかなり上達したと思う。

戦闘をこなしながら、エネルギーを溜めておいて、タイミングを見て発動する。

これがスムーズに行えるようになってきた。

最初は戦闘とエネルギーを溜めるのと2つのことを同時に行うことがどうしてもできなかった。

どちらかを行うとどちらかが疎かになってしまった。

なので、発想を変えて常に腹に飛神分のエネルギーを溜めておくことにした。

発動するわけではないので、体力も消費しないし、突然の事でもすぐに発動できるのでいい事づくめだ。

溜めておく事の癖づけには時間がかかったが、今では無意識に溜めることができるようになった。


姫乃先輩の修行も順調に進んでいるようだ。

詳しくはわからないが、スキルと魔法に力を入れていたようだ。

スキルの糸は、複数本を出して操る事ができるようになったらしい。

また、スキルを使った大技も特訓しているようだが、これはまだ未完成だそうだ。

どんな技なのか教えてもらおうとしたが、

「フフフ。完成してからのお楽しみ」

と姫乃先輩は怪しい笑みを浮かべながら言っていた。

怪しい笑みの姫乃先輩も可愛かった。


「よし。今日はここまでにするか」

とリクが言った。

よし今日の晩御飯は何かな。

などと考えているとリクは言った。

「今日はこのまま村に帰って休もう。疲れを取って明日は洞窟に行くか」


「えぇ?僕はまだまだリクの足元にも及ばないけど。。。」

と僕がいうと、

「まぁ確かに俺と比べると勇はまだまだだが、俺は強いからな。洞窟の魔獣なら勇でも大丈夫だろ。洞窟で実戦経験を積んで行こうか」

とリクは言った。

「そうそう。あなた達はもう充分に強いわよ」

とマキも言った。


僕たちは村に戻ってきた。

「あぁー。久しぶりの村だぁ」

と僕は言った。

「よし。飯食いに行くか」

とリクが言うと、僕たちは初めてこの村に来た時に行ったお店に向かった。


リクがお店の扉を開けると

「よぉ。久しぶりじゃねーか」

と店主が迎えてくれた。

「おやじさん。座れるかい?」

とリクが聞くと、

「見りゃあわかるだろ。ガラガラだ」

と店主は言う。

確かに店内を見回してもひとりの客もいなかった。

僕たちはテーブル席に座り、リクがいくつか注文する。


料理が運ばれてきて、僕たちは久しぶりのまともな食事に舌鼓を打った。

腹が落ち着いてくるとリクが言った。

「刀について少し知っていることを話してやるか」

と少し間をおいて話し始めた。

「刀はな地球のものでは無いと言われている」

「えっ?」

「前も言ったとおり刀は壁に刺さって抜けない状態だ。だから誰も持ち帰る事ができない」

「でもな見るだけなら難しい事では無い。だから何度も専門家が調査に行ったりしているらしい」

「その専門家の見解では刀の素材は地球上の物では無いとされている。それに刀が刺さっている壁に描かれている封印のような物も誰も解読ができないらしい」


「なるほど。調べることはできるのに何もわからないってことか」


「まぁそう言うことだ。じゃあそろそろ行くか」

と言ってリクは席を立った。


「おやじさん。ごちそうさまー」

とリクが言ったので僕たちも

「ごちそうさまでした」

と続いた。

「まいどー。また来てくれよな」

とおやじさんは気持ちのいい返事をしてくれた。


そのまま僕たちは村の空いている家に泊めさせてもらった。

布団に入り僕は天井を見つめながら刀のことを考える。

「謎に包まれた刀か。でも手に入れる事のできない刀なら何であのコートの男は取りに行けなんて言ったのだろう」

などと考えているうちに僕は眠りについた。

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