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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第四章 出会
73/187

73、サバイバル生活

みんな無事(無事?)にウサギを仕留める事ができたので、拠点に戻ってこれから捌いていく。


捌き方の講師はリクのようだ。


リクは慣れた手つきでウサギを捌く。

皮を剥いだり、内臓を取り出したりとグロくて、僕でさえも気持ちが悪くなりそうだった。


リクの教えを乞いながら、僕も姫乃先輩も不格好なりに、捌いていく。

姫乃先輩も辛そうだが、生きるためだと頑張っていた。

姫乃先輩は強いな!


マキは

「私は苦手なのよねー」

と言って焚き火の準備を始めていた。


それぞれがウサギを捌き終わり、串に刺したウサギを焚き火の周りに立てて炙る。


パチパチパチ

と焚き火の音が心地よい。

ウサギの焼ける香ばしい匂いに、空腹のお腹が鳴る。


「これを使いな」

と言ってリクは2つの小瓶を渡してくれた。

「これは?」

と聞くと、

「塩と胡椒だ。そのままでも食べる事はできるが、少しでも旨い方がいいだろ」

「ありがとう」

と言って小瓶を受け取った。

「旅をするなら塩、胡椒は持っていたほうがいい。あとは小型のナイフ。ここら辺は旅の必需品だな。嵩張らないしな」

「これからはそうするよ」

と答えた。


ウサギを回しながら、焼いていく。

「焼けたところからナイフで切って食べてみろ」

とリクが言うので、僕は言われたとおりに食べてみた。


直接火に当たっている部分はカリカリで、内側は柔らかい。

噛むと肉汁がじゅわっと出てきた。

「んっまぁーい!」

「本当だ。美味しいわ」


と僕と姫乃先輩は絶賛した。


「だろ。こういうのもいいだろ」

とリクは自慢げに言う。

マキも笑顔で僕たちを見つめていた。


みんなでウサギを堪能した。

余った肉は、塩をまぶしてから干して保存食にする。

保存食の準備を終えたら就寝だ。

それぞれ自分が寝やすい場所を探して眠る。

もちろん見張りは必要なので、毎日2人を当番として、前半後半に分けて見張りを行う事にした。

僕は疲れていたので、横になった途端に眠りについた。


2日目

昨日の反省を活かして、朝食は程々にした。

午前中は昨日と同じメニューをこなす。


朝食をほどほどにしたにも関わらず、本日もリバースした僕はかろうじて午前中のメニューをこなすことができた。


午後はスキルの修行から開始した。

今日は腹に溜めたエネルギーを一気に足に移して、飛神を発動するまでの一連の流れを行う修行だ。

まず、腹から足に一気にエネルギーを移す事が難しかった。

少しずつ移動させる事はできたが、一気に移さないとその分隙が生じるし、発動までの時間がかかってしまう。


次に両足にそれぞれ必要なエネルギーを移す事が難しい。

今まで意識をしていなかったが、両足に均等にエネルギーを溜めていたわけではなく蹴り足に多くエネルギーを溜めていたようだ。

均等にしてしまうと無駄なエネルギーが多くなってしまって、同等のエネルギーでも距離が短くなってしまった。


それらをスムーズに行えるように、何度も反復した。

昨日までとは違い飛神を発動するため、エネルギーを使用する。

飛神はそれほどエネルギーを使うわけではないが、何度も反復すればエネルギーは枯渇し、僕は疲労で倒れた。

昨日の姫乃先輩と同じ状態だ。


休憩を挟んで剣術の修行だ。

今日も基本の振り方を反復していく。

昨日の疲労もあってか、後半は腕が上がらなくなってきたが、何とかこなす事ができた。


「じゃあ今日はここまでにするか」

とリクが言った。

「終わったぁ」

と僕は尻餅をつく。


「よし。今日は魚だな」

とリクは言うと川に向かって歩き出した。


「えっちょっとは休ませて、、、」

と言っている間にどんどん先に行ってしまうので、僕は慌てて追いかけて行った。


少し歩いて川に着いた。

「よし。じゃあまずはお手本だ。マキ頼む」

とリクは言った。


「えぇ。またわたしぃ」

とマキは不満を口にするが、


「しょうがねぇだろ。俺がやったら、こいつらの分が残らなくなっちまう」

とリクは言った。


「はいはい。やりますよぉ」

と言いながらマキは川に近づく。


マキはウサギの時と同じように指先に魔力を集めて、魔力を針に変えた。ウサギの時よりも細い針だ。

「これはね土系の魔法なの。わたし土系の魔法が得意だから、魔力を鉱物に変えて針を作っているのよ」

と言った。


マキは魚に狙いを定めて、針を飛ばすと1発で魚を捕らえた。

マキは次々と針を飛ばして、5匹の魚を捕らえる。


「さぁあなた達もやってみて」

とマキは言うと、


「やっぱり糸かな」

と言いながら姫乃先輩が川に近づいた。

姫乃先輩は細い糸を出して、魚を突き刺そうと狙いを定める


ビュッ


と糸を鋭く飛ばす。

しかし、魚は糸をかわしてどこかに逃げてしまった。

「結構速いわね」

と姫乃先輩は言いながら、次の獲物を探す。


「勇も少し離れたところで獲ってこいよ」

とリクに言われて、僕は姫乃先輩の邪魔をしないように離れた場所で魚を獲ることにした。


「よし。やるぞ!」

と気合いを入れたが、


「どうしよう。。。」

どうやって魚を獲ればよいのか全く思いつかなかった。

僕の特技は飛神しかない。


「釣りもやった事ないしなぁ」

と悩んでいると、


「何やってんだよ」

とリクが声をかけてきた。


「いやぁ。どうしたものかと思って」

と答えると、向こうのほうで歓声が上がった。

見てみると姫乃先輩が魚を持ち上げて喜んでいる。

姫乃先輩が魚を捕まえたようだ。


「勇は飛神があるだろ?飛神で水の中に飛び込んでみろよ」

とリクがアドバイスをしてくれた。


「?」

しかし、僕にはその意図がよくわからない。


「まぁ騙されたと思ってやってみろ」

とリクに言われて、僕は川の真ん中に狙いを定めて飛神の準備をする。


足に充分な力が溜まったのを感じて、

「飛神」

と発生して、地面を蹴った。


バシャーーーーン


一瞬のうちに川の真ん中まで進み、その勢いで川の水が大きく弾けた。


パチャパチャ

パチャパチャ


ふと気がつくと飛神の勢いで吹き飛んだのは川の水だけではなく、近くにいた魚も地面に打ち上げられていた。


「なっ」

とリクは自信満々の笑みで僕を見ていた。


「やった。やったー。リクありがとう」

と僕はお礼を言った。

一回の飛神で6匹もの魚を獲る事ができた。


「よし。これくらい獲れれば充分だろ。帰るか」

とリクは言うと僕の打ち上げた魚を半分持ってくれた。


元の場所に戻ってからは、下処理の仕方を教わる。

鱗を剥いでから内臓を取り出した。

ウサギほど難しくはなかったので、僕も姫乃先輩も不格好ながらも下処理ができた。


すでにマキが火を起こしてくれていて、魚に串を刺して炙っていく。

この串もマキの魔法から作り出したものだった。


程よく焼けたところでリクから分けてもらった塩を振りかける。


「いただきまーす」

と言って僕は魚に齧り付いた。


「ハフハフ」

思った以上に魚は熱くなっていたが、


「うまーーい!」

自分で獲って、捌いて、焼いた魚は一段と美味しく感じた。

みんなで魚を堪能して、余った魚は干物にする。

塩を振って干したら準備完了。


あとは寝るだけだ。

今日は僕は見張りの登板なので、3人は寝ているが僕が寝るのは数時間後だ。


この世界に来ていろいろな事があったが、今のようなサバイバル生活はとても楽しい。

元の世界ではまずあり得ない事だ。


「それもリクとマキのおかげだな」

リクとマキに感謝しながら、僕は焚き火を眺めていた。

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