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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第四章 出会
72/186

72、修行開始

朝になってまずは朝食を取った。

僕は修行に向けて体力をつけておこうとガツガツ食べた。

それをリクとマキがニヤニヤしながら見ている。


「ん?どうしたの?」

と聞いても

「いやいや。なんでもない」

と言って2人ともニヤけていた。


「?」

よくわからないが、まぁいいかと思い僕は食事を取った。



リクの修行が始まった。


午前中は姫乃先輩と一緒に基礎トレーニング。

ランニングとダッシュ、筋トレを行う。

もともと運動がそれほど得意でない僕は、ランニングからすでにアップアップだ。

ダッシュで指示された本数をこなしていると、いきなり込み上げてきて、


「おぇーーーー」


僕は朝食を全部リバースしてしまった。

リクとマキがケラケラと笑っている。

これかぁぁぁ。

言ってくれヨォぉぉ


などというハプニングはあったが、なんとか午前中の基礎トレーニングをこなす事ができた。

姫乃先輩もかなりキツそうではあったが、なんとかこなす事ができたようだ。


午後からは僕とリク、姫乃先輩とマキに別れて実戦向けの修行を行うこととなった。


「ルーは私とね。スキルと魔法を中心にやって行きましょう」

マキはいつの間にか姫乃先輩を「ルー」と呼ぶようになっていた。

昨日一晩一緒に過ごして仲を深めたのだろう。

リクが言うにはマキも相当な実力を持っているそうだ。


「はい!お願いします」

と姫乃先輩は元気に答えた。


「勇は俺とだな」

とリクは言う


「はい。よろしくお願いします」

と僕は答える。


「勇は魔法が使えないそうだな」

「そうなんですぅ」

と僕は肩を落とす。


「じゃあ剣術とスキルの修行だな」


「はい!」


「まずはスキルを使ってみろ」


「はい」


僕は足に力を溜めると、僕の足元が淡く光出した。

十分に力が溜まったのを感じて、スキルを発動させる。


「飛神」

と言う掛け声と共に足を強く蹴り出した。


一瞬にして数十m先に移動して、刀を振り抜く。

決まった!僕は心の中で自分を褒めた。


「ふむ」

リクが腕を組んで少し考えてから言った。


「ためが長いな。足にエネルギーを溜めている間、相手は待ってくれないぞ。この技は恐らく真っ直ぐしか行けないだろ?発動前に横に動かれたらどうするんだ?向き変える事できるのか?」


「ううう」

リクの言っている事は的を得ていた。

一度エネルギーを溜め始めると足を動かせない。

自分が向いている範囲であればある程度方向変えて発動できるが、例えば真横に行かれたらもう対応はできなかった。


「まぁそう落ち込むな。俺の師匠も似た技を使うから、少しはアドバイスできるぞ」

とリクは言った。


「まず勇は足にエネルギーを溜めているよな?」

「はい」


「そこが間違いだ。足に溜めてしまうと、足が使えなくなる。それだとエネルギーを溜めている間、無防備になっちまうだろ?」


「確かに。そのとおりなんだよね」


「俺の師匠はな。体の中で必要な量を集めてから一気に足に送っていたと思う。そうすれば発動直前まで動ける。かなり戦術の幅が広がると思うぞ」


「確かにそれができれば、断然スキルが使いやすくなる」


「なのでスキルはその練習だな。あとは剣術は基本的な動きを身につけろ。それが勇には足りないな。基本の動きができれば、いくらでも応用が効くようになる」

僕は力強く頷いた。


早速、スキルの練習を始める。

体の中で必要なエネルギーを溜める。

これはイメージが大切だそうだ。

足にためるイメージを腹に変えるだけ。

と思ったが想像したよりも難しかった。

それでも何度かやってみるうちに感覚が掴めてきた。


今日は腹にエネルギーを溜める感覚を身につけたところで、剣術の修行に切り替えることになった。


剣術については、基礎である刀の振り方から。

上から下への縦の振り、左から右へ、右から左への横の振り、下から斜め上への切り上げなど様々な方向からの振り方を教えてもらい反復した。


「小さく早くだ」

とリクが言うので、それを心がけた。


「力が入りすぎだ。本当に力を入れるのは当たる瞬間だ!」

とも言われたが、なかなか感覚が掴めなかった。


一息ついて、姫乃先輩を見ると姫乃先輩は地面に倒れていた。

僕が心配そうに見ている事にマキは気づいて、


「スキルを使いすぎただけだから大丈夫よー」

と言ってきた。

姫乃先輩も大変な修行になっているようだ。



しばらくしてから、

「よし。今日はここまでにするか」

とリクは言った。


「終わったぁ」

と僕は尻餅をついた。


「すぐに帰ってご飯を食べて寝たい」

と僕が言うと、


「何言ってるんだ?しばらくはここに寝泊まりするぞ」


「はい?」

僕は聞き返す。


「俺たちはお前たちにこの世界で生きる力を身につけてもらいたいんだよ。それは、戦うことだけじゃない。」

とリクが言うと


「旅をすれば野宿もするでしょ。食料も基本は現地調達になるのよ。そういう事も学んでもらわないとね」

とマキが言う。


「そういう事だ。早速狩りに行くぞ」

とリクは言って歩き出した。


しばらく歩くと、膝くらいまでの雑草が生い茂っている場所についた。

「ここら辺には野ウサギがいる。今日の晩御飯はウサギにしよう」


「見本を見せるから、そのあとやってみろ。じゃあマキよろしく」

とリクは言った。


「やっぱり私?兄さんウサギ狩は得意じゃないもんね」

とマキは言った。


「うるせーよ。早くやってくれ。俺の分もよろしくな」


「はいはい」

とマキは答えるとウサギを探し出した。


「いたわね」

と言うと指先に魔力が集まり、細く長い針のような物を作り出した。

マキはその針をウサギに向けて放つ。

針は音もなくウサギに向かって飛んでいき、ウサギの頭に刺さった。

ウサギはその場に静かに倒れた。


「もう一度」

とマキは言いながら、いつの間にか見つけていたウサギに向かって針を飛ばした。

これも見事にウサギの頭に命中した。


リクはゆっくりとウサギの元に歩いて行って、倒したウサギを持って帰ってきて言った。

「まぁこんな感じだ」


「兄さんは何もやっていないでしょ」

とマキがツッコミを入れるが、リクは無視して、


「じゃあお前たちもやってみろ」

と言った。


「ルー。あなたの糸を使ってみたらどうかしら?糸を細く強度を高くして刺してみるのはどう?」

とマキは姫乃先輩にアドバイスをした。


「うん。やってみる」

と言って糸を出す。

姫乃先輩はウサギを見つけて、静かに糸を近づけた。

そして一気糸の先端をウサギに向けて放った。


グザッ


糸は見事にウサギに突き刺さった。

「やった」

と姫乃先輩は声をだす。


しかし刺さった場所が良くなかったのか、ウサギは倒れずに逃げようとする。

だが刺さった糸はなかなか抜けず、ウサギはもがいていた。


「えいっ」

と言いながら、姫乃先輩は糸を操作すると、糸が動き出してウサギを縛り上げた。

身動きを取る事ができなくなったウサギを糸を引いて手繰り寄せる。

捕獲成功だ。


「なんとか捕獲できました」

と姫乃先輩は言うと


「やったねルー」

とマキは姫乃先輩以上に喜んでいた。


「じゃあ次は勇だな」

と言われて、僕は少し前に出る。


「・・・」


僕はリクのアドバイスを待ったが、一向に何も言ってくれない。


「リク。何か僕にアドバイスはないの?」

と僕はリクに言った。


リクは腕を組みながら、

「アドバイスも何も勇は飛神しかできないだろ」

と笑いながら答えた。


「確かに・・・」


と落ちかけた気持ちを切り替えてウサギを探す。

ウサギはすぐに見つかった。

僕は静かに飛神の構えをとった。


足にエネルギーを溜めて蹴り出す。


「飛神」


気づかれないように小声で発声した。

しかし、飛神の発動と同時にウサギがぴょんと前に跳ねた。


「げっ」


やばいと思ったが、飛神を止める事はできず、一瞬にしてウサギのところまで進んだ。

しかし、刀を振ったところにはもうウサギはいなくなっており、刀は空を切った。

いきなり人間が現れた事に驚いて、ウサギもすぐに姿をくらませてしまった。


ガックリと項垂れながらみんなのいる場所に戻る僕。

「まぁ。ドンマイよ」

とマキから慰められる。


気持ちを切り替えて、再チャレンジをするが、今度は気配を感じ取られて飛神を発動する前に逃げられてしまった。


その後何度か挑戦するが失敗。。。


「今日はあと一回にするかぁ」

とリクは若干呆れながら見ている。


「ラストチャンス」

僕は拳に力を入れた。


まず僕はウサギを探す。

幸いな事にウサギはすぐに見つかった。


ウサギに向かって、気づかれないように注意をしながら飛神を構える。

これ以上カッコ悪いところは見せたくない。

失敗できない。失敗できない。失敗できない。失敗できない。

失敗できない。失敗できない。失敗できない。失敗できない。


やるしかない。

「飛神」

と僕はスキルを発動した。


ボキッ


しかし、足に力を入れた時に足元の枝を折ってしまい、音がしてしまった。

ウサギは音に気づいて逃げ出す。

しかし、飛神はもう止まらなかった。


一瞬にして元ウサギがいたところまで進み刀を振るが、当然ウサギはいない。


カツーン


その時空を切った刀が、地面に落ちている石に当たった。


ゴンッ


飛神で勢いのついた刀に当たった石は、凄い勢いで飛んでいき、逃げているウサギに命中した。


パタリ


石が命中したウサギはその場に静かに倒れた。


「やっやったぁーー」

と言ってみんなの方を向いてガッツポーズをする僕。


「・・・・・」


みんなは呆然として、何も答えてはくれなかった。。。

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