表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
三章 孤独な魔法使い
63/187

63、エミットアップ

ドサッ

電撃の放出が終わると、星は地面に落ちた。

星は全身が黒く焦げて体から煙が上がっている。


「ハァハァハァ。やっとだよ。やっとまともな攻撃を当てることができたよ」

僕は息を切らせながら言った。

本当にギリギリだった。

一歩間違えば僕の方がやられていた。



「雷神」は僕が即時に放てる魔法の中では、かなり高威力の魔法だ。

しかし、普通に放ってしまうと、星の身体能力を持ってすればかわすことは容易いだろう。

僕は確実に当てることのできる状況に持って行くことを目指した。そしてようやく星に当てることができたのだ。


「倒せたかな。。。?」

と僕は恐る恐る星の様子を伺う。

星はピクリとも動かない。


僕は星の近くまで歩み寄って、星を確認した。

未だに星はピクリとも動かない。


「よかった。倒せたようだね」

と言ってから僕は柱を見た。

柱から発せられている光がさっきよりもかなり強くなっている。


「時間はあまり無さそうだ」

と言って柱の下に駆けつけようとしたその時、


ガシッ


僕の足が何かに掴まれた。

足元を見ると、倒れたままの星が手を伸ばして僕の足を掴んでいる。


「なっ」

僕は驚いて言葉が出なかった。


「うぉぉぉ」

と星は低いうねり声を上げた。

そして、星は起き上がると同時に僕の足を持ち上げた。

そして、片手で僕を振り回す。


「うわぁぁぁ」

僕は悲鳴を上げる。

星は僕を振り回しながら勢いをつけた後、ぼくを放り投げた。


「うわぁぁぁぁ」

と僕はまたしても悲鳴を上げる


ドン

放り投げられた僕は、地面に叩き付けられて転がる。

全身に痛みが走るが、そのまま寝ているわけにはいかない。


「いててて」

と言いながら僕は立ち上がった。

星はその場からは動かずに僕を見ている。


「やられたぜ。さすが神が警戒しているだけのことはある」

と星は独り言を言う。

全身黒焦げなのにまだ動けるのか。

タフさも相当なものだ。



「俺っちも余裕はない。全力でお前を倒させてもらうぜ」

と星は言うと、カッと目を見開いて、


「うぉぉぉ」

と言いながら全身にエネルギーを集めた。


そして、

「ハッ」

と言う掛け声と共に星の全身に炎が広がった。

炎は星の全身に広がったままの状態を維持している。


全身に炎を纏って戦うのか?と僕は思った時に星は言った。

「これだけじゃねぇぜ」


「エミットアップ ブルー」


と星が言うと星の体を纏う炎がさらに強く燃え上がり、赤い炎が青い炎に変わった。


「俺っちの本気を味わってもらうぜ。燃費は悪いが、炎の威力は今まで以上。身体能力アップ、若干の回復もあるからな」

と星はご丁寧に話してくれる。

確かにゆっくりではあるが、焦げた皮膚が戻ってきているようだ。


「できれば味わいたくないね」

と僕は軽口で返したが、内心焦っていた。

見ただけでも相当なヤバさが伝わってくる。

さっきの1発を当てるのにも相当に苦労したのだ。


「行くぜ!」

と言って星は僕に向かってきた。

先程までと比べ段違いに速い。

身体能力も向上させるようだ。


「今までも充分早かったのに」

とボヤきながら僕は魔法を放った。


僕は魔法で星の足元に泥沼を作った。

しかし、星はいとも簡単にジャンプしてかわす。


「使いすぎたかな?」

と言って僕は「氷弾」を放った。

しかし、氷の塊は、星の纏っている炎により、星に届く前に蒸発した。星は氷弾を気に求めずに真っ直ぐ向かってくる。


僕は「雷針」を唱えて電撃の針を飛ばす。

星は電撃の針を片手で軽々と振り払った。

牽制のつもりで放った魔法が全く意味をなさない。

星は僕との距離をかなり縮めてきている。


「やばっ」

と言って僕は氷の壁で足止めをしようとした。

その時星のスピードが更に1段階上がる。


「氷へ、、、」

僕が魔法を唱える前に星は僕の目の前に到達していた。


「死ね」

と言って拳を振り下ろす星。

僕は避けようとしたが、体が思うように動かずによろけた。

それが功を制したのか、星の狙いがずれて、拳は僕の左肩をかすめた。


ドゴッ


「ぐわぁぁあ」

肩をかすめただけでも衝撃は凄まじく、僕は後方に吹っ飛ばされた。


ドン

ドン

ドン


地面に数度打ちつけられながら、僕は飛ばされてようやく停止する。


「がぁぁぁ」

肩が焼けるように痛い。

左手が動かない。

僕は自分の左肩を恐る恐る見た。

すると、拳が当たった箇所が抉り取られて消失していた。

体と腕がギリギリ繋がっているように見える。


「うわぁぁぁ」

と僕は肩の状態に驚いて声を上げた。

さらに激痛が追い討ちをかけてくる。

あまりの痛みに意識が飛びそうになるが、なんとか繋ぎ止めて、


「ハッハイケア」

と僕は回復魔法を唱えた。

見る見るうちに傷口が塞がり、痛みは消えていく。

肩はあっという間に元の状態に戻り、左手も動くようになった。


「ふぅ危なかった」

と言いながら治った左肩をクルクルと回した。


「最近は深傷を負うことが多いな」

と言いながら星を見ると、星は青い炎を纏いながら、こちらを見ている。

星はこういう時に追いうちをかけてこない。

戦いに対しては紳士的、いや甘いと言うべきか。

どちらにしても今の僕にはありがたかった。


僕はこの隙に対応策を考える。

しかし、良策は思い浮かばない。

強いて言えば、星は燃費が悪いと言っていたから時間稼ぎか。

でも真っ向から勝負をしてきている星に対して、その方法はとりたくはなかった。

僕も甘いという事かな。


「そろそろ覚悟はいいか?」

と星は聞いてきた。


「うん」

と僕は答えてから、構えをとった。

先制攻撃しかないと僕は思い、星が動き出す前に魔法を放った。


「竜巻」

と僕は魔法を唱えると、星の足元から竜巻が発生して、星を飲み込んだ。

星を飲み込んだ竜巻は上空に向かって伸びていく。


「雷神」

僕は高出力の電撃を竜巻に向けて放った。

これが当たれば少しはダメージを与えることができるだろう。


「うぉお」

星は叫びながら体から波動を出した。

すると波動により竜巻はかき消された。

身動きの取れるようになった星は雷神も軽々とジャンプでかわした。


タッと地面に着地をした星は、

「こっから行くぜ」

と言って走り出した。


近づかれるとまずい。

距離をとりながら魔法で攻撃しないとと考えて魔法を放つ。


「水龍」

僕の手のひらから龍を形取った水が勢いよく放たれた。

星はジャンプで水龍をかわすが、僕は魔力を操作して水龍の向きを変え、星を追撃した。


「何?」

星は水龍が向きを変えた事に驚いたようだ。

星は空中にいるので避けようがない。


「捉えた!」

しかし、星は水龍に向かって火の玉を放った。

僕は水龍の向きをさらに変えて、火の玉を避けるが、龍の胴の部分に火の玉が命中して爆発した。


ドカーン!


火の玉の威力で水龍は爆散した。

しかし、僕はまだ残っている頭部を星に向ける。

星は頭部が残っている事に気づくのか遅れ、かわしきれず足をかすめた。


ジューーー


と水が蒸発する音が聞こえて、水龍の頭部が消失する。

しかし、水龍の頭部が当たった星の足の炎も一部無くなっていた。

即座に足の炎は復活したが、星のエネルギーを使用させた事には違いない。


「やっぱり炎の天敵は水だね」

と僕が言った。


「確かに何度も炎を削り取られたらたまらねぇな。でもそう思うようにはさせねぇぜ」

と言った。


その時、緑柱が放つ光がまた一段と強くなった。

今にも弾けそうなくらいに光を放つ緑柱を見て、

「もうあまり時間がない」

僕はそう悟った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ