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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
三章 孤独な魔法使い
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59、幹部

僕は呆然と辺りを見渡している。

目の前には「かまいたち」によって倒された木々が延々と連なっていた。。。

「やばい、、、また神父様のお叱りを受ける」

と僕は呟いた。


ハッと我に返った僕は、

「とりあえずカルナはどうしたかな?」

と言って、自分に回復魔法を唱えながらカルナを探した。

倒された木々で足場が悪く、カルナはなかなか見つからない。


10分くらい辺りを探したが、カルナは見つからなかった。

「木が倒れるのをうまく避けることができたのかな?」

と僕は言って、そろそろ柱に向かわないとと思った時に、木の下から呻き声が聞こえた。


「ううう」

僕は呻き声が聞こえるところまで行ってから、倒れている木の下を探すとカルナと象が木々の下敷きになっていた。


「カルナ!無事?」

と言ってカルナに声をかけた。


「ううう」

とカルナは苦しそうに呻き声を上げている。

カルナの下にいる象は気を失っているのか、ピクリとも動かない。


「今助けるから待ってて」

と僕は言ってカルナを助けようとすると、

「敵の助けは受けない。余計なことはしないでよ」

とカルナは言った。


「このままじゃ死んじゃうよ」

と僕が言うと

「敵の助けはいらないっていってるだろ」

とカルナは返してきた。

「んー」

僕は少し考えてから、

「浮遊」

と魔法を唱えて、カルナの上の倒木をどかした。


カルナは驚いた表情をした後に言った。

「なんで?僕たちは敵なんだから、余計なことするなよ」

「んー。確かに僕たちは敵同士だけど、同じ村で一緒に過ごした仲だし、僕にはカルナを見殺しにすることはできないよ」

と僕は言った。

「でも僕はこれからウィンを攻撃するかもしれないんだよ」

とカルナが言ってきたので、

「それならそれでしょうがないかな。僕はカルナを殺さないように無力化するだけだよ」

と僕は答えた。

「それに子供のわがままに付き合っている時間はないんだ」

と付け加えた。


「ううう」

と僕の回答にカルナは今度は違う理由で呻き声を上げた。

しばらく経って僕は言った。


「どうする?戦うかい?」

するとカルナは、

「もういいよ。しらけちゃった。先に行きなよ」

と言った。

「そうかい。じゃあ行くよ」

と僕は言ってカルナの横を通り過ぎた。


「ねぇ」

と僕の後ろからカルナが声をかけてきた。

僕は立ち止まってカルナの方に振り向く。

「緑柱のところに行くんだろ。あそこには組織の幹部がいるよ。幹部はめちゃくちゃ強い。ウィン死んじゃうよ」

とカルナは言った。

「それでも僕は行かなくてはいけない。村の一員だからね」

と僕は答えた。

「そうだよね」

とカルナは俯いた後に言った。


「アリサは、、、アリサさんはどんなふうに死んだの?」

と僕に聞いてきた。

「僕を守って敵の攻撃をうけてしまったんだ。最後は僕にありがとうと言って亡くなっていったよ」

と答えると、

「そうなんだ、、、」

とカルナは悲しそうな顔をした後に言った。

「ウィン。死なないでよ。ウィンは僕が倒すんだから」

「わかった。死なないよ。約束するよ」

と言って、僕はカルナに背を向けて柱に向かって走り出した。


僕は倒れた木を乗り越えながら進む。

「うへぇー。本当にやりすぎちゃったなぁ」

と言いながら進むと、ようやく倒木地帯の終わりが見えた。

倒木地帯が終わり、僕は小道を走り出し進むスピードが上がる。


「黒の組織の幹部がいるって言っていたな」

と師匠が黒の組織はとんでもなく強いと言っていたのを思い出した。

これまでも黒の組織の人と戦ったが、やはり一筋縄では行かない相手ばかりだった。

幹部となると、相当な力量を持っているだろう。

「勝てるかな」

と僕は呟いた。

僕は初めての友達に必ず助けに行くと約束した。


「約束は守りたい」


と先日の友達との食事を思い出してクククと笑った。


しばらく走ると柱がある開けた場所が見えてきた。

柱の近くでは何人もの人が集まっていることがわかる。

「黒の組織かな」

と僕は言って、警戒をしながら歩いて行った。


森の小道を歩き、そろそろ開けた場所に出ようとした時だった。

「おい」

と声をかけられた。僕は声の方を向くと、そこには10代くらいの男の人が立っていた。

僕より少し年上くらいだろうか。


「ここに何をしにきた?ここは今、俺っちたちが作業中だぜ。用がないなら帰りな」

と男の人は僕に言ってきた。

「僕はその作業を止めにきたんだ。大人しくその作業をやめて帰ってくれないかな」

と僕は答えた。

「何?お前名前は?」

と男人が聞いてきたので、僕は答えた。


「僕はウィン。魔法創造士だ」



「なんだ。お前がウィンか。思っていたよりガキだな」

と男の人が言ったので、

「そんなに変わらないでしょ。キミはだれ?」

と僕は返した。


「俺っちか。俺っちは星 日夏(ひゅうが)。黒陽9将のひとりだ」

と星は言った。


「お前がここに来たということはカルナは役に立たなかったのか。使えないやつだ」

と星はボソッと言った。


「黒陽9将、、、師匠の言っていた幹部かな?」

と僕は言うと、

「幹部か、、、俺っちたちはそんな言い方はしないが、まぁそんなもんだ。あっそう言えば昔は幹部って呼び方をしている奴もいたかもな」

と星は返してきた。


「でっ?帰ってくれる気は無さそうかな?」

と僕は改めて聞いた。

「ははは。笑わせるなよ。俺っちたちが引くわけないだろ。引かせたかったら、俺っちを倒してみな」

と星は答えた。

「まぁ。そうだよね」

と言って僕は戦闘体勢に入る。


星は

「お前ら!こいつは俺が抑える。お前らはこのまま解放の準備を進めろ。準備が整い次第、詠唱に入れ」

と星は部下に指示をする。

「はい」

「了解であります」

と各部隊の隊長らしき人が返事を返していた。


「それじゃあ始めるか。久しぶりにまともな戦いができそうな相手だ。俺っちを楽しませてくれよ」

と星は指をポキポキと鳴らしながら言った。

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