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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
三章 孤独な魔法使い
55/187

55、楽しい時間

「かんぱーい!」

僕たち3人は街の食堂に来ている。

席について飲み物を注文し、ようやく乾杯を済ませたところだ。

もちろん僕たちは未成年なので果実を絞ったジュースで乾杯をした。


「イサミン。何食べるの?」

と僕は聞いた。


「んー。どうしようかな」

とイサミンは悩んでいる。

僕は先ほどのやりとりを思い出した。



「ねぇお名前教えてくれるかな?」

と姫乃さんは言ってから続けた。

「私は姫乃。こちらは勇くん」

と紹介してくれた。


「あなたのお名前は?」

と姫乃さんが聞いてくる。

「あっ。僕の名前はウィンです。よろしく姫乃さん、いさ・みん」

あっ名前を呼ぶ時かんだ。

「あはは。よろしくウィンちゃん。イサミンっていいね」

と姫乃さんは笑ってくれた。

「あはは。よろしく」

とイサミンも照れながら言ってくれた。



「おじさん。ニンジンのサラダと羊肉のあんかけ、じゃがいも揚げください」

とイサミンは注文する。

「はいよー」

と食堂のおじさんは愛想よく答えた。


料理が来るまで話をしながら待つ。

「ウィンちゃんは何歳なのかな?」

姫乃さんが聞いてくる。

「僕は16歳だよ」

と僕は答えた。

「そっか。私の1つ年下だね」

と姫乃さんが言う。

「僕と同い年だ」

とイサミンは言った。

同い年の人と話すのは僕にとっては初めてで、とても新鮮だった。


「ウィンちゃんはどこに住んでるの?」

と姫乃さんが聞いてくる。

「僕はこの街の近くのオウカワ村に住んでるんだ。今日は依頼でこの街に来ているの」

と僕は答えた。

「オウカワ村かぁ。聞いたことはないなぁ」

とイサミンは言う。

「まぁ小さな村だからね。僕はその村で育ったんだ」

「じゃあベルンにはあまり来ることはないの?」と姫乃さんは聞いてきた。

「依頼の時しか来ないからね。今までで3回かな」


「依頼を受けたと言う事はウィンは冒険者なのかな?僕たちも冒険者なんだ。ちなみにランクはBだよ。ウィンは?」

とイサミンが聞いてくる。


「ボソボソボソ・・・です」

と僕は小声で答えた。

Sランクと知られたら引かれるかもしれない。

でもいつかはバレる事だ。

「ごめん。聞こえなかった」

と改めてイサミンが聞いてくる。

「実は・・・Sです」

と僕は正直に答えた。

「そうかSか」

とイサミンは言った後。


「「・・・・・・Sぅ!!!!」」


と2人は声を揃えて言った。

ヤバイ。せっかく友達になれたのに。。。僕は心の中で泣いた。

しかし、イサミンは僕の両手を掴んでまじまじと言った。

「今度戦い方教えてくれない?」

イサミンの顔がめちゃくちゃ近い。

「えっ?」

僕は顔を赤めながら聞きかえした。

「あっごめん」

とイサミンは手を離してから言い直した。

「僕たち元の世界にに帰るために強くなりたいんだ。だから戦い方を教えてほしい」

「いきなりSランクとか言って引かないの?」

僕は恐る恐る聞いた。

「何で?」

とイサミンは言いながら首を傾げる。

「すごいって思って驚いたけど、引いたりはしないよ」

と姫乃さんもあっけらかんと言っている。

僕はホッとして、そして嬉しかった。

「戦い方を教えるのはいいけど。僕の戦い方は特殊だから参考にならないかも。でもイサミンたちが元の世界に帰れるように僕も協力するよ」

と僕は言った。

「「ほんと!?」」

と今度は2人揃って僕の手を掴んできた。

2人の顔が近い。

僕はまた顔を赤めながら「うん」と頷いた。

「お待ちどう」

とその時料理が運ばれてきた。

テーブルに料理が並ぶ。


「「「いっただきまーす」」」


と僕たちは料理を食べ始めた。

何度も食べたことのある料理だが、今日は一段と美味しく感じた。


「イサミンたちは転移者でしょ?」

と少しお腹の減りも落ち着いてから僕は聞いた。

「あっわかる?」

とイサミンは答える。

「うん。元の世界に帰りたいって言っていたし、僕の師匠も転移者なんだけど、何となく似てるから」

と言ってから僕は続けた。

「じゃあイサミンと姫乃さんは地球に帰る方法を探しているってことかな?」

「そうなの。ウィンちゃんは何か知ってる?」

と姫乃さんが聞いてくる。

「うーん。僕も知らない。ごめんね」

と返すと

「んーん。大丈夫だよ」

と言いながら姫乃さんは首を振った。


それから僕たちは様々な話をした。

師匠から聞いた地球で語り継がれる未来から来た便利アイテムを沢山もっている青いロボットの話。

電車や飛行機といった乗り物の話。

2人は地球では学校という学舎にいたという話。

どれもこれも新鮮で興味をそそられる話だったけど、やっぱり1番は同年代の子達とおしゃべりができたこと。

今まで生きていて1番楽しい時間を過ごすことができた。


姫姉(ひめねえ)。これから2人はどうするの?」

と僕は聞いた、食事中にいつの間にかひめさんを姫姉と呼ぶようになっていた。

「まずは聞き込みかな。元の世界に戻る方法それと」

と姫姉が言ったところで、

「芽衣の居場所だね」

とイサミンが言った。


「芽衣?あっあの女の人か。喧嘩しちゃったんだよね?」

と僕は言った。

「うん。だけど芽衣は元の世界に帰る方法を知っている。探し出して一緒に帰るんだ」

とイサミンは言った。


「だから明日は冒険者ギルドに行って話を聞いてみようと思うの」と姫姉は言う。


「そっか。僕は村に戻らないと行けないから、手伝う事はできないや」

と僕は言った。


「うん。私達でやれるところまで頑張るよ」

と姫姉は言った。


「でも村での僕の役目が終わったら必ず行くから。その時まで僕を忘れないでね」

と僕は言った。


「忘れるわけないよ。僕たちはもう友達じゃないか」

とイサミンは言った。


イサミンの真っ直ぐな眼差しに僕は顔を赤くした。

本当にこの2人と会えてよかった。

改めてそう思った。

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