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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
三章 孤独な魔法使い
52/187

52、魔法対決

僕はハロルドと向かい合った。

僕はハロルドの首を確認すると、やはり先ほどの部隊が使っていた首飾りを下げていた。

引き続きイレイスには気をつけないといけない。


「さっきの雷はキミの魔法かな?」

僕は聞いた。

「そうじゃよ。あれで終わりだと思っていたんじゃがな」

とハロルドは言う。

「直接喰らっていたら危なかったよ」

と僕は答えながら、再度結界を張ってみせた。

「結界か。器用なもんじゃのう」

とハロルドは言う。

「じゃがな。わしにはこれがあるんじゃ」

とハロルドは言いながら首飾りを前に出した。

「厄介だよね。それ」

と僕は言った後に

「でもね。それ使われるのだいぶ慣れてきたよ」

と続けた。

「ほう。では見せてもらおうかの」

とハロルドは言いながら構えた。


「イレイス」

ハロルドはイレイスで僕の結界をかき消してきた。

間髪を入れず魔法を唱えてくる。

風斬(ふうざん)

風属性の斬撃が僕に向かって飛んでくる。

まずは魔法の力比べだなと僕は思った。

「かまいたち」

僕は同属性の魔法を放ち、風斬にぶつけた。

すると、魔法同士がぶつかった瞬間に風斬はかまいたちの威力にかき消されて、今度はかまいたちがハロルドに向かって飛んでいく。

「むむ」

と言いながらハロルドは両手を前に出して魔法を唱えた。

「風壁」

ハロルドは風の壁を作った。


キィーーン


かまいたちと風の壁がぶつかる。かまいたちが風の壁に食い込んでいく。

「おおお」

と言いながらハロルドは風の壁に魔力を注ぎ込む。

かまいたちは徐々に風の壁を貫こうと進むが、突き抜ける少し手前で消滅した。

「ふぅ。ひやっとしたぞい」

ハロルドが言う。

「魔法の威力は僕の方が上のようだね」

と僕は言った。

「フォッフォッフォッ。魔導士同士の戦いは魔法の威力だけでは決まらんぞい」

とハロルドは言った。

やっぱりこのお爺さんの笑いは気持ち悪かった。


「同感だね」

確かに魔法の威力だけが重要なわけでは無い。得意属性や使用する魔法の相性、使い方など勝敗をわける要素は多数ある。でも僕はどれも優っている自信があった。


「ひとつ言っておくよ。僕は魔導士じゃない。魔法創造士だ」


「魔法創造」

僕は脳内で氷の針をイメージする。

そのイメージを元に魔法が構築された。

「氷山」

ハロルドの足元に魔力が集中する。

ハロルドは魔力の集中に気づいて、後ろにジャンプした。その瞬間に地面からツララが突き出す。

ハロルドは間一髪でかわしたが、緑色のローブに擦りローブの端が破けた。

「お爺さんとは思えない身のこなしだね」

と僕は言うと

「まだまだ若いもんには負けんぞい」

と返してきた。


「今度はこちらから行くぞい」

とハロルドは言うと

風虎(ふうこ)

と魔法を唱えると、風が集まり虎の形を作り出した。虎は走り出してからジャンプして僕に飛び掛かってくる。

「氷壁」

と僕は魔法を唱えて氷の壁を作り出した。


キィーーン


と甲高い音がして、風虎の爪が氷壁とぶつかる。するとパリパリと氷壁にヒビが入り始めた。

「まずっ」

と言って僕はバックステップをとった。その瞬間に


バリィーーン


と音を立てて、氷壁が崩壊した。

風虎は地面に立ちこちらを伺う。

「かまいたち」

と僕は風虎に対して魔法を放つ。

風虎は爪を立てた前足を振るうと、かまいたちの烈風が切り裂かれて雲散した。

その直後、風虎は僕に向かって飛びかかってくる。

風虎は僕を噛みちぎるために牙の生えた大きな口を開ける。

「氷山」

僕は魔法を発動させた。


グサッ


地面からツララのような氷の針が突き出し、風虎を貫いた、、、ように見えた。

氷の針突き出て、体に刺さったものの風虎はあくまで風が収縮しているものである。一瞬風虎の体に集まった風のエネルギーが氷の針によって散らされたが、次の瞬間には再度収縮して風虎の形に戻った。風虎はそのままの勢いで、僕の肩に噛み付いた。

「グァァ」

僕はあまりの痛みに声を漏らす。

噛まれている肩以外にも風虎に触れている箇所は風のエネルギーで切り刻まれている。

僕はたまらず後ろに逃げた。その勢いで風虎に噛まれている肩の肉が引きちぎられた。

「グゥゥ」

僕は痛みを堪えながら、回復魔法を使う。

「ハイケア」

傷口が光出して、見る見るうちに傷が塞がる。

「ハァハァハァ」

僕は肩で息をしながら、風虎とハロルドを見る。

「ほぅ。回復魔法も一級品じゃな」

とハロルドは言ってきた。

「そりゃどうも」

と呼吸を整えながら僕は返答する。

「じゃが、体力は戻らんじゃろ。それにわしの風虎には対応できていないと見える」

とハロルドは言ってきた。

よく見ているなと僕は思った。ハロルドの言うとおり体力は回復しない。いつまでも回復魔法で耐えることはできない。でも

「ふっふーん。風虎の対策は思いついたもんね」

と僕は言った。

僕の案は2つ。吹き飛ばすか閉じ込めるだ。

「風虎くん。覚悟しなよ」

と言って、僕は両手を前に出して手のひらで花びらの形を作りながら魔法を唱えた。

「空気砲」

すると手のひらに魔力が集まる。


「ドッカーーン」


という発生とともに手のひらから空気の塊が放出された。

この魔法は師匠とともに開発した魔法だ。なんでも師匠の故郷では未来から来たロボットの便利アイテムがこの魔法と同じ効果があり、ガキ大将がこのアイテムを使用しながら猛威を振るったとかなんとか。

しかし、僕の放った空気砲を風虎はヒラリとかわす。


「まだまだぁ。ドッカーーン」

と言って空気砲を放つ。しかし、風虎は2発目もサイドステップでかわした。

ボン!と空気砲は地面に当たり地面を抉る。

「ドッカーーン」

「ドッカーーン」

「ドッカーーン」

と僕は連続で空気砲を放った。風虎は空気砲をかわし続けるが、さっきの空気砲で破壊した地面に足を取られてよろけた。

今だ!と僕は思い風虎に空気砲を放つ。


「ドッカーーン」


空気砲は風虎を目掛けて飛んでいく。

バランスを崩している風虎に空気砲が命中する。

そして空気砲が命中した風虎は弾け飛んだ。

「どうだ!」

と僕は言った。

しかし、ハロルドは余裕の笑みを浮かべている。

すると風虎が弾け飛んだ場所に再び風のエネルギーが集まり出し、風虎の形を作っていく。

「フォッフォッフォッ。無駄じゃよ。風虎はエネルギー体じゃからのう」

とハロルドは笑いながら言う。


うげっ。こいつの笑いは気持ち悪い。どうしても生理的に受け付けない。などと僕は思いながら、ハロルドに言った。

「みたいだねぇ。でも対応策はもう一つあるんだよねー」

と言いながら僕は新たな魔法を構築する。


「魔法創造」


僕の脳内で魔法が構築される。

「少し魔力を溜めないとダメだな」

と言って僕は手に魔力を溜める。

「何をやろうとしているのかはわからんが、待ってやる必要はないわい。いけっ風虎!」

とハロルドが言うと、風虎が動き出した。

風虎は僕に向かって駆け出す。

「わっちゃっちゃ。まだ待ってよ」

まだ魔法の発動には少し溜める必要がある。

風虎は僕の近くまで来ると飛びかかってきた。

「跳躍」僕はジャンプで逃げる。

しかし、風虎の追撃も早い。

「そうがっつかないでよ」

と言いながら僕は再度ジャンプで逃げる。

風虎は逃げるたびに追撃をかけてくるが、僕はジャンプで逃げる。風虎は僕を捉える事ができないでいた。

「よし。これで十分」

と言うと僕は風虎に向かい合った。

風虎は真っ直ぐ僕に向かってくる。

「真っ直ぐ来てくれてありがたいよ」

と僕は言って魔法を発動させる。


「氷牢」


僕が魔法を発動させると、風虎の周りに一辺が2mほどの氷の六面体が現れた。


ゴンッ


風虎は走っている勢いを止められずに六面体に激突する。風虎は弾かれるが、氷の六面体には傷一つ付いていない。

「なんと!」

ハロルドが驚く。

「風虎。こんな氷破壊してしまえ」

とハロルドは言った。

風虎は起き上がり、爪を立てた前足で六面体の破壊を試みるが、それでも六面体には傷一つつかなかった。

「ふふっ。無駄だと思うよ。かなりの魔力を込めた氷だからねー。そう簡単には破れないよ」

と僕は言った。

「じゃがな。風虎はエネルギー体じゃと言ったじゃろ」

とハロルドは言ってから、風虎に指示をした。

「風虎。エネルギー体となってすり抜けるのじゃ」

風虎はハロルドの指示通りに虎の形状を崩し脱出を試みた。

しかし、氷の六面体から出る事はできず、中を彷徨っている。

「何をしておる。風虎よ早く出るんじゃ。」

ハロルドは状況がわからず風虎に指示を出す。

「出ないんじゃない。出れないんだよー」

と僕は言った。

「どういうことじゃ?」ハロルドは聞いてくる。

「この氷牢はただの氷の壁じゃないよ。この氷の中には結界の効果も練り込んであるからね。それこそ転移でもしない限りここからは出られないよ。魔力の供給もできないから、このまま消えてもらうよ」

と僕は言った。

「ぐぬぬ。風虎は魔力消費が大きいから何度もはだせん」

ハロルドは悔しがっているように見えたが、

「しかしじゃな。まだまだ甘いぞい。わしにはこれがある」

と言いながら首飾りを前に出した。

「これでその魔法を消してしまえばいいわけじゃ」

と続けていう。

「やってみなよ」

と僕は言った。

「硬い氷の壁だから消えないと思ったら大違いじゃぞ。このイレイスは魔法の概念をかき消すのじゃ。魔力の大きさや強度など関係ないぞい」

とハロルドは言ってくるが、

「だからやってみなって」

と僕は言った。

「後悔するなよ」

とハロルドは言いながら首飾りをかざして、


「イレイス」


と唱えた。イレイスの波動が首飾りから放たれる。

しかし、イレイスの波動は氷の壁の手前で消失した。

「なっ」

ハロルドは驚く。

「ふっふーーん」

僕は得意げに腕を組んだ。

「なっ何故じゃ?」

ハロルドは聞いてくる。

「この魔法はね。氷の六面体の外側にも結界を張っているんだよ。だから、イレイスは外側の結界をかき消したんだけど、六面体は無事ってわけ」僕は答えた。

「じゃったらもう一度イレイスを使えば」

とハロルドが言うが、言葉を遮って僕は言った。

「無駄だよ」

「外側の結界は自動修復にしてるからね。かき消されてもすぐに元通りだよ。外からも内からも破れない。まさに出ることのできない牢獄だね」

僕はクククと笑いながら言った。

「ぐぬぬ」

ハロルドにはもう対抗策が無いみたいだ。

やっぱりこのお爺さんはにやけている顔よりも悔しがっている顔の方が似合う。まぁどちらも僕は生理的に受け付けないけどね。

そろそろこの戦いも終わりにしたいなと僕は思った。

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