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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
三章 孤独な魔法使い
43/187

43、空清草

ある日、僕は村の頼み事を済ませてから、のんびりと昼寝をしていた。

晴れた日に昼間からのんびりできるのは贅沢だ。

「やっぱりお昼寝は気持ちいい」とか言っていると、アリサさんが慌ててやってきて、

「ウィンちゃん。お願い。息子の病気の薬がっ、、、空清草が切れてしまって、急いで空清草を取りに行ってくれないかい」と言った。

アリサさんの息子は呼吸の病気を持っていて、発症した時には空清草を炙って嗅がせることで呼吸が整う。いつもかなりの余裕を持って保管しているはずなのにどうしたのだろうと僕は思った。

「わかりました。ただ、僕でも空清草を取ってくるには5時間くらいはかかります。それまで我慢してください」と言った。

「ありがとう。頼んだよ」とアリサさんは言った。


僕は「跳躍」を使って急いで空清草が生えている山に向かった。

空清草は山の頂上などの空気が澄んでいるところに生えている。

通常であれば、何日もかけて登山をして収集するので、街などで購入するとなると割と値が張るものだ。その点、僕は険しい山々も「跳躍」で時間短縮ができる。僕にうってつけの仕事だ。


道中は順調に進んでいる。

途中で魔獣が襲い掛かろうとしてきたが、急いでいるので無視してジャンプで飛び越えていった。

僕はいつもよりも急いで2時間で目的の場所に到着した。

「良かった。道に迷わなかった」とホットしながら空清草を集める。見える限りの空清草を集めてから僕は村に帰るべく、再び「跳躍」を使った。

「帰りも飛ばすぞー」と言いながら村に向かってジャンプを繰り返す。


2時間ほどジャンプを続けて村か近くなってきた時に、村の方角から煙が上がっているのが見えた。

「あれ?何か様子が変だな」と僕は言ってさらにスピードを上げた。

村からはいくつもの火の手が上がっていた。

魔獣が村の中を駆け回っているのが見える。

「魔獣が襲撃をかけてきたんだ!」

逃げ惑う村人たち、戦えるものは魔獣が村に入らないように抑えているが、人が足らない。

四方八方からの襲撃に防ぎ切れていなかった。

僕も村の入口に到着した。

入口ではハビロさんが魔獣と戦っている最中だった。

「炎弾」僕は魔法で近くにいる魔獣を焼き払う。

「ウィン助かったよ。」とハビロさんは言う。

「ハビロさん。状況を教えてくれますか?」と聞くと

「状況はかなり悪い。魔獣はだいぶ村にも入ってきちまっている」とハビロは言う。

「ハビロさん。ここは任せました。僕は村の中の魔獣を倒します」

と言って村の中へ走った。まずは魔獣を倒しながらアリサさんを探そう。アリサさんの息子さんはかなり苦しんでいるはずだ。


「アリサさーん」

僕はアリサさんの名前を呼びながら村を走るが、アリサさんは見つからない。

「戦えない者は教会へ避難だ」とどこからか声が聞こえる。

教会は無事か。僕は少しホッとしながら見つけた魔獣に魔法を放つ。

「雷針」村の中ではあまり火の魔法は使わない方がいいと思い、雷撃の針で見つけた魔獣を倒していく。

「こっちにオークロードがでたぞ」と声が聞こえた。

こんなところに何でオークロードが?と思いつつ、声がした方角に向かう。

オークロードの出現により、村人は散り散りになって逃げ出していた。

村人たちを逃し、僕はオークロードと相対した。

オークロードは僕に狙いを定めて槍を構えて突進してくる。

オークロードは僕の目の前まで来ると、槍を突き出したが、僕は余裕を持って回避する。

「キミの相手をしている時間は無いんだよ」と言って僕は魔法を唱えた。

「鉛筆」地面から先端が尖った石が飛び出した。

飛び出した石はオークロードの心臓を貫き、串刺しになったオークロードはそのまま生き絶えた。


「アリサさーん」

僕は再びアリサさんを呼びながら探すが見つからない。

アリサさんを探しているうちに、教会にたどり着いた。

中に入ると大勢の村人が避難していた。

その中にアリサさんがいるのでは?と思い探すも見つからない。

奥には神父様がいた。

「神父様。ご無事で良かったです」

「おお。ウィンか。戻ってきておったか。すまんが村を助けてくれ」と神父様は言った。

「当然です。ただアリサさんが見当たらないのです。教会にいらっしゃったら空清草を渡していただけますか?」と言って持っている空清草の半分を神父様に渡した。

「では魔獣を倒してきますので、皆さんはここにいてください」と言って教会を出た。


僕は「跳躍」を使ってジャンプし、村の様子を確認する。

「村の中にオークが3、入口にストロングウルフが5、東にサーペントが5、西にオーガが4か。だいぶ減ってきているな」

「雷針」と僕は魔法を唱えた。雷撃の針が村の中にいるオークを串刺しにした。


そして僕はジャンプで村の東側に行く。

村人がサーペントと戦っていたが、かなり押されていた。

「ここは僕に任せて。村の入口に行ってください」

「わかった。ウィンここは任せたぞ」と言って村の入口の方に走っていく。僕はサーペントを見て魔法を唱えた。

「金平糖」エネルギーの塊から無数の針が伸びてサーペントを串刺しにする。一気に4体のサーペントを無力化した。

「あっちゃあ。1体残ったか。集中力が落ちてきているなぁ」と僕は言ってから「雷針」を唱えて残りの1体を串刺しにした。

サーペントを倒し終えて、東側に魔獣が残っていないのを確認する。

「次は西側だね」と言って「跳躍」を唱えた。


西側にはオーガが4体。

僕はジャンプで上空から「雷針」を唱え、オーガ1体を無力化してから着地した。

「オーガたちは、僕が倒します。まだ入口で戦っています。そちらの応援にいっていただけますか」と僕が言うと

「了解した。ウィンも気をつけろよ」と村人は言った。

「はい」と返事をして、村人たちを入口側に行かせた。


「キミたちの相手は僕だよ」と言いながらオーガを見る。

オーガは3体だ。

「鉛筆」地面から先端が尖った石が飛び出して、オーガ1体を串刺しにした。

「氷弾」2つの氷の塊が出現し、オーガ2体に向けて勢いよく飛んでいき、オーガ2体の心臓部分に風穴をあけた。オーガたちはその場で倒れ、動くことはなかった。

「ふぅ。あと少し」僕は再び「跳躍」を使って入口まで飛ぶ。


入口ではストロングウルフ5体と村人が戦っている。

増援を送っていたはずだが、村人たちのほとんどは倒れていて、実際戦っているのは10人に満たない。

「早く助けないと」と言って僕は戦場に降り立って言った。

「あとは僕が引き受けます。怪我人の救護をお願いします」

「ウィンか。助かったのか」村人から安堵の声が聞こえる。

僕は前に出てストロングウルフと向き合う。ストロングウルフな5体。魔力もだいぶ減ってきているからうまく戦わないといけないな。

「沼」僕は魔法をとなえた。ストロングウルフの足元が沼に変わり、ストロングウルフが沈んでいく。しかし、2体のストロングウルフは沼に変わる直前にジャンプして免れていた。

「ありゃあ。全員は駄目だったかぁ」と僕は言って次の魔法を唱えた。

「雷針」電撃の針がストロングウルフに向かっていく。しかし、ストロングウルフは電撃の針をサイドステップで交わした。そして着地と同時に僕に向かって飛び跳ねる。僕は横に飛び何とかストロングウルフの攻撃を回避した。転がる僕に向かってすかさずもう1体が飛びかかってきた。

「かまいたち」真空の刃が飛びかかってきたストロングウルフを襲い、ストロングウルフを切り刻んだ。危なかったと思い息を吐こうとした瞬間にもう1体のストロングウルフも飛びかかってきた。

「氷弾」を唱えると、氷の塊がストロングウルフの頭をとらえた。

ストロングウルフは頭を粉々に吹き飛ばされて生き絶えた。

「ふぅ。これで全部かな」と僕は言った。

「ウィン。助かったよ。ありがとう」と何人もの村人からお礼を言われた。

「ではまずは教会に報告を、、、」と言いかけたところで、

ズドーン 遠いところでもの凄い音がして大地が揺れた。

ズドーン 等間隔でもの凄い音と振動がやってくる。そして、それはだんだんと近くなってきている。


僕たちは音のする方を凝視している。

ズドーン 相変わらず等間隔で音と振動がくる。

「何かくる」僕はつぶやいた。


ズドーン 音と振動に加えて森の木々が揺れ始める。

ズドーン 

「みんな教会まで逃げて。怪我人のフォローもお願いします」と僕は言った。村人たちは一斉に教会を目指す。

ズドーン 来るなら僕が倒す。僕が村を守るんだ。

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