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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
三章 孤独な魔法使い
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42、スペクター討伐

僕は神父様のところに戻ってきた。

「神父様。今日も緑柱は異常無しでした」と僕は報告した。

「うむ。ご苦労じゃった。今日はもう自由にするが良い」と神父様は言った。

「わーい。お疲れ様でした」と言って僕は教会を出た。

「んー。今日は何をしようかなー」

「そうだ。今日はお風呂に入ろう」と言って僕は森に入って行った。

この世界にはお風呂という文化はない。川で体を洗ったり、濡れた布で体を拭くのが一般的である。

僕はお風呂というものを師匠から教えてもらった。

お風呂は気持ちいい。師匠が言うには「お風呂は人生の洗濯よ」とある偉い女性が言っていたそうだ。

僕は森の中にあるいつものお風呂場に着いた。

と言っても何があるわけでもない。お風呂はこれから作るのだ。

僕は土系の魔法「浴槽創生」を使った。地面が盛り上がり、土が浴槽の形になった。

「ホットウォーター」を唱えて、湯船にお湯が入りお風呂が完成した。

僕は服を脱いでお風呂に入る。

「ふぃぃ」なぜお風呂に入ると、こんな声を出してしまうんだろうか。

湯船に浸かりながら空を見上げる。

青い空、周りは一面の緑、そんな中でお風呂に入るのはとても気持ちいい。

でも、それだけだな。僕はいつまでこうしているのだろう。と思った。


翌日、僕は村の冒険者ギルドに来ていた。

受付嬢のイルマさんに声をかける。

「イルマさん。何か滞っている依頼はありますか?」

「あっウィン様。いつもありがとうございます」

「今滞っている依頼はオーク村と、、、あっスペクター討伐があります。西の墓地のあたりですがお願いできますか?」とイルマさんは言う

「ゴースト系か。魔法効くかな?まぁやってみようかな」と僕が言うとイルマさんは

「ありがとうございます!」と肩の荷が降りたような顔をした。


「よし!いきますか」

僕はスペクターを倒すべく、出発の準備をした。

魔法を使えば日帰りも可能だとは思うが、ゴースト系のため遭遇できるのが夜かもしれない。そうなると待機時間が長くなる可能性がある。

「とりあえず、食料は持って行こうっと。あとは、、、特に無いかな」あっという間に出発の準備は終わった。


夕方になった。

あまり明るいうちに行っても遭遇できないかもしれないので、夕方に出発することにした。

「そろそろ行きますかぁ」普通の人であれば丸一日かかる距離だが、僕であれば数時間で到着できる。

「跳躍」僕は魔法を使い大く飛び立った。


数時間後・・・

僕は目的地の西の墓地に・・・

着いていなかった。。。


いつもの如く道にまよってしまったのだ。

僕は目的地を探すべく必死にジャンプを繰り返す。

「ひえぇぇぇ。また依頼失敗しちゃうよ。いつも依頼を失敗する時って目的地に辿り着けない時なんだよねー」


僕はしばらく飛び回った。

そしてようやく墓地のような場所を見つけた。

「ここかな?」

墓地に着いた時には日付が変わっていた。

周りは時間が止まってしまっているかのように物音ひとつしない。

「うー。気味が悪いし寒いし、早くスペクター出てきてくれないかな」と言うと

ボコッ ボコッ ボコッ ボコッと周りの地面から音がし出した。

「早速きたね。まぁお墓だしね。しょうがないか」と僕は言った。

周りの地面が至る所で盛り上がって、今から何かが出てくるみたいだ。

「お墓を壊すのはさすがにまずいよね。広範囲の魔法はやめておこう」と言うと地面の中から一斉に何かが飛び出してきた。

出てきたのは腐乱死体や白骨化した死体。いわゆるゾンビやスケルトンだ。おそらく死体をスペクターが操っているのだろう。

「みなさん。ごめんなさい」と僕は言うと

炎針(えんしん)」と魔法を唱えた。空中に多数の炎の針が出現する。

「いっけぇ」と僕は手をゾンビたちに向けた。すると炎の針はゾンビたちに向かって飛んでいく。

グザッ グザッ グザッ グザッ

多数のゾンビが炎の針に刺されて倒れる。そして刺さった針から燃え上がり火だるまになった。ゾンビたちは火だるまになりながらもしばらくは動き続けたが、そのうちに動かなくなり燃え尽た。

僕はゾンビたちが動かなくなったことを確認すると、スケルトンに向けて次の魔法を放った。

「掃除機」上空にエネルギーの塊が発生する。エネルギーの塊は周囲のものを吸い込み始めた。エネルギーの塊に向かって軽いものがどんどん吸い込まれていく。スケルトンはバラバラになりながらエネルギーに吸い込まれていった。大勢いたスケルトンは全て飲み込まれて、バラバラの状態でエネルギーの塊に集められている。

「よっし。とどめ!」と僕は言って魔法を放った。

「火炎弾」大玉くらいの火球がスケルトンの集められているところに向かって飛んでいく。

ドッカーン!! 火球はスケルトンの集められているところで大爆発を起こした。スケルトンは塵となって消滅した。僕は師匠に教えられた決めの言葉を発する。

「たーまやー」


「さて、そろそろ出てきてもらおうか」と僕は言った。


空間が歪む。

空間が一点に集約していくかのように。

そして集約された空間から実体が現れてくる。

実体というのは正確ではない。実体はない。強いて言えば幽体とでもいうのだろうか。

「フハハハハ。よくも私の可愛い子供たちを倒してくれたな」

「お前がスペクターか?」僕は聞いた。

「いかにも。私が幽体の王、スペクターだ」とスペクターは言った。

「ラッキー。当たっていた。場所を間違えていなかった」と僕はガッツポーズをした。

「でも幽体ってしゃべるんだね」と僕はクククと笑いながら言った。


「小僧。この幽体王への無礼。死を持って償え」と言ってスペクターは魔法を唱えてきた。

「ファイア」スペクターの手から炎が発生する。広範囲の炎魔法だ。

「竜巻」僕は魔法を唱えて竜巻を発生させる。炎は竜巻に吸い込まれて、竜巻は火炎龍となる。僕は火炎龍を操りスペクターへ攻撃した。火炎龍はスペクターに命中したが、すり抜けて後ろのお墓を破壊する。

「あっちゃあ。やっちまった」僕は反省して、スペクターを見ると

「なかなかやるな。これはどうだ」と次の魔法を放つ。

「アイスブロック」スペクターの周りにたくさんの氷の塊が現れる。

「死ね!」と言う掛け声と共に氷の塊が僕に向かってくる。

「炎弾」僕の周りにたくさんの火球が現れる。火炎弾よりも威力は劣るが、手数を出せるのが炎弾だ。

僕の炎弾が氷の塊を次々と落としていく。全ての氷を撃ち落として、残りはスペクターに向かうが、やはり通り抜けてしまい。後ろのお墓を破壊した。僕はまた反省した。


炎がダメなので僕は雷の魔法を放ってみることにした。

雷網(らいあみ)」電撃を網上に放つ広範囲攻撃だ。

しかし、これもスペクターを通り抜けてしまった。さらに広範囲攻撃だった為、多数のお墓が崩壊する。僕は青ざめた。


スペクターは両手を上にあげて、魔力を溜め始めた。

「中途半端な魔法ではお前を倒せないようだ。全力の闇魔法で葬ってやる」スペクターは言う。この魔法はやばい。これを撃たれると周りのお墓が壊れてしまう。防がなければと僕は思った。

「破魔」僕は魔法を破壊する魔法を発動した。原理としては相手の魔法にそれ以上の魔力をぶつけて打ち消すととても単純だ。

僕の破魔はスペクターの闇魔法を打ち消した。

「なっ」スペクターは唖然とする。しかし、ぶつけた魔力が大きすぎて、衝撃波が走りスペクターの周りのお墓が粉々になる。

「あっ、、、、この魔法は魔力の量が難しいな」と僕は冷や汗をかきながら、ひとりで言い訳をした。

「何なのだお前は、、、」とスペクターは言う。

「んー。炎も風も雷もだめかぁ。もうあれしか無いかな」と僕は言った。

脳内に光の魔法をイメージする。

体中に魔力が回る。そして、体を一気に広げると同時に魔法を唱えた。

光波(こうは)

体全体から全方位に光の波動が放たれた。

スペクターは光の波動になす術もなく飲み込まれかき消えた。

全ての墓石とともに、、、、

「・・・まぁしょうがないか。強敵だったし」僕は開き直った。


僕は村の冒険者ギルドに戻って依頼完了の報告をした。

すぐさま確認のために人が派遣され、惨劇を見て唖然としたそうだ。

僕はその後、神父様にこっぴどく叱られたのは言うまでも無い。

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