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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第二章 快男児
38/187

38、愛

桜は槍を構えて突進してくる。

幸いなことにピテルは手を出してくる気配はない。

何とか桜を倒すしかないと思った俺はスキルを使用した。

「イグニッション」先程までミノタウロスと戦っていたばかりで消耗も激しい。そう何度もスキルは使えない。短期決戦だ!


俺は桜に向かってジャンプし剣を振り下ろす。桜は槍で俺の剣を防ぐ。すぐさまに俺は横に薙ぎ払うが、これも桜は槍で防ぐ。俺は重心を低くして足を斬りに行くが、桜はジャンプしてかわす。さらに俺は飛んでいる桜に突きを放つが、槍でいなされた。

キンキンキン

俺は何度も桜に斬りかかる。イグニッションを使用して、力もスピードも常人離れしているはず。はずなのに桜は悠々と俺と打ち合っている。

「いいわぁ。いいわぁ。もっとよ。もっともっともっともっと愛し合いましょう」と言いながら俺と打ち合う。桜の攻撃は鋭く、イグニッションを使っていても少しずつ俺が押され始める。

「まだよぉ。まだまだまだまだ」とどんどん桜の攻撃が鋭くなってくる。

「くっ押される」桜の槍が俺の額をかすめる。額が切れて血が流れ始める。やばいやられるっと思った時に桜は後ろに下がった。

俺は戸惑っていると桜は

「いいわぁ。楽しい時間ね。このまま終わるのはもったいないわぁ。もっともっと私を感じさせて」と言ってきた。

「はぁはぁはぁ」俺は息を整えながら桜を見る。

「あぁその苦しそうな表情も素敵」と言いながら桜は舌舐めずりをした。

「この槍はね。トリアイナって言うの。かつてはポセイドンが使っていたとされる槍よ。この槍には3つの特殊な能力があるの。」

と説明してくる。

「一つがこれよ」と槍を上に突き出す。すると桜の足元から大量の水が吹き出て津波となり俺に襲いかかる。

ゴォォォォ

津波が俺を飲み込む。俺は耐えようとするも津波の勢いは強く押し流されて壁に激突した。

「グハッ」あまりの衝撃に意識が飛びそうになるところを堪えた。しかし、桜はジャンプして俺に突きを喰らわせようとしてくる。

「どう?私の愛は?」と言いながら桜は突きを放ってくる。俺は防ごうと剣を縦に構える。桜の槍は三又のため先端と先端の間に剣を入れれば割と防ぎやすい。しかし桜は俺の剣と当たる直前に槍を90°回転させた。トリアイナは俺の剣をすり抜け俺の左肩、左胸、左腹に突き刺さる。

「ぐわああ」俺は痛みに耐えられず悲鳴を上げる。

「いいわぁ。もっと喘いで。もっといい声で鳴いて」桜はそう言いながら刺している槍をグリグリと回す。

「がぁぁぁぁ」俺はあまりの痛みに喘ぐ。

「翁くん」四宮が心配して呼びかける。

「やめろぉ」野口も叫ぶ。しかし、桜は止まらない。

「いいわぁ。その声、その表情。濡れちゃいそう」と言いながら、槍を回すのをやめない。

「ぐわぁぁぁ」俺は叫ぶ。

俺は夢中で桜の腹を蹴った。

「きゃあ」桜が蹴りで飛ばされて、俺に刺さった槍も抜ける。

「ぐぐぐ」俺は傷口を抑えながら何とか立ち上がった。桜もすぐに起き上がり

「うふふ。まだまだよ。まだまだ愛し合いましょう」と微笑んだ。こいつは人間じゃない。桜という人の皮を被った悪魔だ。俺はそう思った。


桜は突進してきて、突きを放つ。俺はそれを何とかかわす。

しかし、桜は槍を突き出したまま横に薙ぎ払った。

バシィーン

槍は俺の顔面に当たり俺は吹っ飛ばされた。数m飛ばされて俺は転がる。

「ウフフフフ」

桜は笑いながらゆっくりと歩いて、俺に近づいてくる。

俺は何とか立ち上がって、右手で剣を構える。

桜はそのまま近づいてきて、槍を突き出した。俺は剣で払うが、

「それじゃあだめよ」と桜は言いながら三又を俺の剣に引っ掛ける。俺は三又の間に剣を取られ、剣を吹き飛ばされた。剣は回転しながら飛んでいく。

「ウフフフフ」

そのまま桜は笑いながら俺の腹にパンチを入れ、前屈みになった俺の顔面に蹴りを入れる。

バシィン 

俺はまた吹き飛ばされた。

「ウフフフフ。アハハハハハハ」

仰向けに倒れる俺にゆっくり桜は近づいてくる。

「グッ」俺は体を起こそうとするが動けない。

「翁くん逃げて」「澤口くん逃げるんだ」2人が必死に叫ぶ

「うるさいべ。少し黙っているべ」とピテルは言うと、四宮と野口を縛っている根が今以上にきつく締め上がった。

「があああ」四宮と野口が苦痛の表情を浮かべる。


トン

桜は俺にマウントを取る形で座った。そして、拳を俺の左腹の傷口に押し付ける。

「ぐあああ」俺の体に激痛が走る。

「もっと。もっとよ。もっと愛してあげる」と桜はさらに拳に力を入れる。

「アアアアアア」あまりの痛みに声にならない。

桜は俺の顔に顔を近づけてくる。俺の唇と桜の唇の間が1cmくらいのところで桜は言った。

「どぉ?翁くん。私の愛を感じてくれてる?」桜は俺の腹の傷口に指を入れた。

「がぁぁぁぁぁぉぁぁぁ」俺は悲鳴をあげる。俺は意識が朦朧としてきた。遠くで桜の声が聞こえる。

「どぉ?翁くん。私の愛を受け取ってくれてる?」

「翁くん。私をもっと感じさせて」

「翁くん。私をもっと濡れさせて」

「翁くん。私をもっとイカせて」

「翁くん。私を愛していると言って」

桜はそう言うと、俺に口づけをしてきた。

「あぁいいわぁ翁くん」と言いながら俺の唇を貪る桜。


「翁くん・・・」四宮は声にならない声を出す。


「翁くん。もっと翁くんをちょうだい」と言いながら桜は俺の下唇に噛みついた。口の中に鉄の味が広がる。

「ガッ」痛みに俺は覚醒して、桜を突き飛ばす。


俺は何とか立ち上がり、口から流れる血を拭った。

桜は顔中を俺の血で、血まみれにしながら不気味に笑う。

そして、俺の血を舌で舐めながら言う。

「翁くん。もう少しよ。もう少しでイッちゃいそうだわ。そうしたら私の処女を奪ってちょうだい」


このままではやられると思い、俺は最後の力を振り絞る。

「イグニッション」俺の全身から金色の光が発せられる。しかし、残りの体力が少ないためかいつもよりも光が少ない。

それでも俺は桜に突進する。左腕はもう動かない。右腕を引き拳を固めて撃ち抜く。

バシィーン

桜の顔面にモロにヒットした。

バシィーン

バシィーン

バシィーン

バシィーン

何度も右拳で殴りかかるが桜は一向に避ける気がない。

「あぁ。いいわぁ。あなたの愛を感じるわぁ」桜は殴られ、顔がボロボロになりながらもそう言い続ける。俺も止まらずに殴り続ける。何度も何度も殴るが桜は避けることをせず、俺の拳を受け入れる。

「あぁ。感じる。あなたの愛を。あぁもうイッちゃいそう。イクわ」桜はそう言うと急に俺の体を両手で掴み上空へ放り投げた。

桜が手を広げると、桜の手に呼ばれたかのようにトリアイナが飛んできて、桜はトリアイナを握った。そして、落ちてくる俺に桜がトリアイナの刃先を向ける。


「あぁ。いいわ。イッちゃう。翁くん私の処女を奪って」と言って落ちてくる俺の心臓に向けてトリアイナを突き出した。



グサァ 



トリアイナは貫いた。野口のからだを、、、


俺はハッと気づいて叫ぶ

「野口ぃーーーーー」

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