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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第二章 快男児
37/188

37、黒の組織

俺たちはミノタウロスを倒してからその場で一息ついていた。

これで階段を登っていけば、アリシアに行けるだろう。

「ふう。ようやくアリシアだな」俺は言った。

「野口くん凄かったね」と四宮は言って俺も頷いた。

「澤口くんと四宮さんのグラビティソードも凄かったよ!みんなで力を合わせた結果だよ」と野口は言った。

俺は相変わらず野口は爽やかなやつだとおもった。


ガサッ

その時後ろの方で音がした。


「だれだ!」俺は音がした方を向いて言った。


少しの間沈黙があった後に

「あーあ。見つかっちまったべ」男の声がした。

「何よ。私が悪いって言うの?」と今度は女の声がした。

そして物陰から2人の人間が出てきた。


1人は大柄の男性で身長190cmはある。

締まりのない体つきで、今も干し肉を食べている。

もう1人は小柄な女性。身長は150cmくらいだろうか。

茶髪のツインテールでピンクのフリフリの洋服を着ている。

どこかで見たことがある気がした。

「また会ったわね翁くん。やっぱり私と翁くんは運命で繋がっているのね」と女の子が言った。

「あっ。街でぶつかった変な女か!」俺は思い出した。

街でぶつかった後に「運命の人」とか「愛してる」とか急に言い出した危ない奴。関わり合いたく無いから早々に立ち去ったんだった。


「お前たち誰だよ」と俺は言った。

「オラの名前はピテルだべ」と男は言った。

「私は(うみ) (さくら)よ。翁くんの運命の人よ」

と女の方も名を名乗った。


「そのピテルと桜はなんでここにいるんだよ」俺は聞いた。

「オラたちはお前たちの後をつけていたんだべ。オラたちもたまたまアシリアに行く用があるんだべ。お前たちが魔獣を倒してくれたから道中楽だったべ」ピテルは言う。

「アシリアに何の用事だよ」と俺はさらに聞くと

「それはいえねーブホッ」ピテルの言いかけている口を塞いで桜が言った。

「私たちはね。黒の組織の人間なの。これからアシリアに行って青柱を解放しに行くのよ」と桜は言った。

黒の組織。王威が言っていたやばい組織じゃねぇかと俺は思った。

「桜。それは言ってはいけねーべ」ピテルが言う。

「いいじゃない。止められるわけでも無いし」桜は言う。

「それはそーかもしれねーけども」とピテルは言った。

「青柱って何だよ」と俺は聞いた。

「AEと元の地球をつなぐ柱よ」桜は平然と答える。

「なっ」思わぬところで元の地球に帰る手がかりができた。

「その青柱にいけば元の地球に帰ることができるの?」四宮が聞いた。

「そんなの知らないわ」と桜は答えた。

「じゃあ何で今頃俺たちの前に出てきたんだよ。コソコソするなら最後までそうすればいいじゃねぇか」俺は言った。

「オラはそうしたかったんだべ」とピテルは言う。

「だって洞窟を出たらお別れになっちゃうじゃ無い。そんなの寂しいわ。だって翁くんは私の運命の人だもの。愛してるんだもの。だから」


「ここで殺してあげなくちゃ」


と桜は言った。

「それに私は一日一殺を心掛けているの。今日はまだ誰も殺していないの。愛している翁くんに私の処女を奪ってもらおうと思って」

桜は顔を赤くしながら言った。

俺はゾッとした。言っている意味がわからない。

「おめぇは今までにたくさん殺しているべ。今更処女もなにもないべ。ブホッ」とピテルが言うと桜はピテルの腹にパンチを入れた。

「余計な事言わないの。今日はまだ殺していないから処女なの。乙女は毎日が処女なの」

と桜はさらに訳がわからないことを言っている。


「だから愛している翁くん。私を愛して、殺されて、処女を奪ってください」桜の雰囲気が変わった。

植物操作(ジュピトリス)」ピテルはスキルを発動する。途端に地面から巨大な根っこが何本も飛び出してきて、四宮と野口を縛り上げた。

「ぐぁぁ」「うぅぅ」野口と四宮が苦しそうな声を出す。

2人はもがいて植物から逃れようとするが、身動きが取れない。

「四宮、野口!」と俺は2人を見る。

「オラのジュピトリスに捕まったらそう簡単には逃れられねーべ」とピテルが言った。


俺は2人を助けるために駆けつけようとした時

「翁くんは私と愛し合いましょ」といつの間にか接近していた桜が、そう言いながら何かを突き出してきた。俺は咄嗟によけて桜と距離を取る。

ツー

避けたつもりであったが、桜の攻撃はおれの頬を掠めており、つけられた傷から血が流れた。

桜を見ると手には三又の槍を持っていた。

「さぁ翁くん。私を愛して」と言いながら桜は槍を突き立てて突進してくる。

槍を突き出す桜。速い!俺はギリギリでやりを槍を回避する。

しかし桜は「キャハハハ」と笑いながら連続して槍を突いてくる

やべぇついていけねぇ。桜の速い攻撃にたまらず俺は後ろに大きくジャンプして距離を取る。しかし、

「連れないわねぇ。もっと愛し合いましょうよ」といいながら俺の着地点に桜は先回りして、着地と同時に突きをはなってくる。

俺は左肩に突きを受けるが、バックステップをとり浅くてすんだ。

それでも桜の追撃は止まず、すぐさまに距離を詰めてきて、

「愛してる。愛してる。愛してる。愛、愛、愛、愛、愛ぃ」と言いながら連続で突きを放つ。俺はかろうじて直撃を避けるが、至る所に切り傷がついていく。

俺はたまらず再度距離を取って、距離を詰めようとする桜に言った。

「まっまて」桜はこの声に反応して停止した。

「お前は俺を愛してると言いながら殺そうとしてくるのは何でだ?お前の愛って何だ?」と俺は聞いた。

俺の問いかけに桜は人差し指を顎に当てて、首を傾け「?」の表情を浮かべる。

「翁くんは何を言っているの?私は今の翁くんを愛しているの。明日の翁くんを私は愛していないかもしれないじゃない。私は今の翁くんと愛し合って、処女を奪ってもらいたいのよ。今の翁くんが今死ねば、今の翁くんが永遠じゃない。そうすれば今の翁くんを私は永遠に愛せるの。そうでしょ。だから愛し愛し合いましょう」と桜は言う。

「でも桜はすぐに次の愛を見つけるべ」とピテルは口を挟んできた。

「大丈夫よ翁くん。私は何人でも愛せる」と桜は微笑んだ。

狂っていると俺は思った。言っていることがこれっぽっちも理解できない。

「お前たちは何者なんだ?」と俺は話を変える。

「言ったじゃない。黒の組織よ。正式な名称は黒陽だけどね。黒の組織の方が通じやすいわ。私達はその幹部、黒陽9将のひとりよ」と桜は答える。

「今はひとりかけているけっどな」とピテルが被せる。

まずいな。王威は黒の組織には手を出すなと言っていた。幹部には敵わないと。しかも幹部が2人。だがこのまま逃してくれそうも無い。

「さぁ翁くん。愛を営みましょう」

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