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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第二章 快男児
33/187

33、いざ洞窟へ

俺たちは洞窟に行く準備を始めた。

話を聞いてみると、洞窟に行くには灯りが必要なようだ。

この世界には懐中電灯というものは無い。変わりに光を閉じ込めておいて、使用時に光を放つ発光石があるようだ。俺たちは発光石を買いに行った。

発光石は日常の生活で一般的に使用されているそうで、家財を売っているお店に行ったら売っていた。値段もそれほど高価なものではなかったので、俺たちは人数分購入した。


次に雨具だ。

この街に来るまで、雨の日は四宮に負担をかけてしまった。今回の洞窟では使わないかもしれないが、雨具は買っておいた方がいいと思った。

雨具もそれほど高価なものではなかった。


そして保存食。

洞窟では食料が調達できない可能性もあるので多めに準備した。

オークの討伐で資金はそれなりにあるが、節約しないととしっかり者の四宮が言ったので、俺たちの場合は買うのではなく、保存食を作ることにした。ウサギや猪を狩ってきて干し肉を作った。

王威の教えは本当に役に立っている。


最後に道具屋に行った。

まずは毒消しだ。今回は食料に毒を混ぜられたが、攻撃で毒を付与される場合もある。俺たちには解毒できる能力がないので毒消しを買うことにした。万能薬はかなり高価なものだったので、店主に聞いてオーソドックスな毒消しを数種類購入した。

念の為に傷薬も購入するがゲームみたいに体力が回復するわけではない。元の世界の傷薬と同じようなものなので気休めだ。

あとは魔力の回復薬。高価なのであまり買えないが、四宮に持ってもらった。


ようやく準備を終えて俺たちは宿に泊まる。

明日は朝から洞窟に向かう予定だ。

またしばらくはベッドで寝ることはできなくなる。

俺たちはどこでも寝れるようになったが、やっぱりベッドで寝るのでは疲れのとれ方が違う。

俺たちはベッドに横になるとすぐに寝入ってしまった。


翌朝俺たちは街を出て橋に向かっている。

途中で魔獣に襲われることもあったが、大した魔獣ではなかったので問題なく倒した。

橋に着くと橋には街の人が数人いた。

なんでも今回のような事がないように交代で見張ることにしたらしい。街の人はまた鉱山行けるようになったと喜んでいた。

「ありがとう」と何度もお礼を言う街の人に四宮は

「早く元の活気のある街に戻るといいですね」と返し、洞窟までの道のりを教えてもらって別れた。


橋を渡ってから街の人に教えてもらったとおりにしばらく歩くと、洞窟が見えてきた。

洞窟はラビルの街とアシリアを繋いでいるため、国境の洞窟と呼ばれているらしい。

しかし、ラパン国とアシリア国はそれほど友好的な関係では無いため、行き来はほとんどないそうだ。


洞窟の入口付近にも街の人がいた。

鉱石を取っている職人らしい。職人もようやく仕事ができると喜んでいた。

「僕たちいいことをしたんだね。こんなに大勢の人が喜んでくれるなんて嬉しいな」と野口が言った。

野口は俺が照れ臭くてなかなか口に出せないことをサラッと言う。

正直言って元の世界ではほとんど印象がない奴だった。この世界に来ても最初はオーガから逃げ出したりとパッとしない奴だとおもっていたのに今では信頼のおける仲間。さわやかで優しい心も持っている。

まさに快男児だなと俺は思った。


俺たちは洞窟に入っていく。

洞窟の中は鍾乳洞のような雰囲気で、鍾乳石のようなものがツララのように垂れ下がっていた。

「気味が悪いね」と四宮は言う。

「確かにな。でも洞窟って言うくらいだからこんな物なのかもな」と俺は言った。

入口付近は鉱石を採りにくる職人用に灯りが灯されていた。

この灯りにも発光石が使われているようだった。

今のところ自分たちの発光石を使う必要もない。

魔獣も見かける事もなく俺たちは順調に進んでいた。

別れ道はなく道なりに進んでいるが、下る坂が多く徐々に深いところに向かっているようだ。

「洞窟の狭いところで、魔獣が出たら厄介だな」と俺は言うと。

「そうだね。後は火の魔法も極力使用を控えよう。酸素が不足してしまう可能性もあるからね」と四宮は言った。

そういうものなのかと俺は思った。四宮は色々な知識を持っているな。


しばらく進むと、急に壁の灯りが無くなった。

ここから先は職人たちのテリトリーではないらしい。

俺たちは発光石を使用した。

ポゥ

発光石が辺りを照らし出した。

「ここから先は注意を払いながら行こう」と野口が言ったので、俺たちは頷いた。


しばらく進むと開けた場所があった。

テニスコートくらいの大きさだろうか。

「ここら辺で一度休憩するか」と俺が言った。

2人とも頷いて、腰を下ろそうとした。その時、俺たちの周りで気配を感じた。

「囲まれている?」四宮が言った途端に一斉に周りから何かが飛び出してきた。

「アイスウォール」四宮が俺たちの周りに氷の壁を張る。

飛び出してきたのは多数の大きなネズミだった。

ネズミは一直線に俺たちに向かってきて、アイスウォールを打ち破ろうと体当たりをしてくる。

「アイスウォールは長くは持たないわ」と四宮は言う。

「よし。倒そう。ただ噛まれないように注意だ。ネズミは細菌などを多く持っているらしいからな」と俺は言った。

「イグニッション」俺は足だけにイグニッションを発動し、王威の剣を抜いてから、ジャンプしてアイスウォールを超えた。着地して周りにいるネズミを切り裂く。

「グラビティ」

四宮はアイスウォールの内側からスキルを発動し、ネズミの動きを抑える。

野口はアイスウォールの上に乗ってアイスウォールに群がっているネズミに魔法を発動していた。

「ウォーターカッター」

見る見るうちにネズミは数を減らし、全滅した。

「ふう。これだけ数がいるとしんどいな」と俺は言った。

「ううう。気持ち悪い」ネズミが苦手な四宮にはきつかったみたいだ。

「ここではもう休憩はできないね」辺りを見回しながら野口が言う。さすがにこれだけのネズミの死骸の中で食事することはできない。

「もう少し進むか」と俺は言って歩き出した。


ネズミを倒したところから30分ほど進むと、少し開けたところがあったので俺たちは休憩を取った。腰を下ろして用意してきた干し肉を食べながら体力回復につとめる。

「大分下ったと思うけどまだ下るのかな?」と野口が言った。

「どうだろうね。ギルドの受付嬢が階段の部屋があるって言っていたよね。階段の部屋って言われるくらいだから長ぁい階段があるのかもね。そうだとするとかなり下に行くのかも」と四宮は返した。

「まぁ進むしかないな。幸い別れ道は無いから道に迷う事はなさそうだしな」

と話した後、休憩を終えてまた歩き出した。


「グォォォォォ」

しばらく進むと獣の鳴き声が聞こえた。

嫌な予感はするが、進むしかない。

声は段々と近くなる。すると、体長3mもの熊のような魔獣が二足歩行で向かってくる。広い道では無いので避けて通る事はできない。

俺は王威の剣を構えた。

熊の魔獣は狭い通路を右手を振り上げながら向かってくる。

俺の目の前までくると右手を振り下ろした。

ガッキーン

俺は王威の剣で熊の振り下ろした右手を防ぐ。

重い。想像以上に重い攻撃に俺は堪えるのがやっとだ。

すると熊は今度は左手の爪をたてて攻撃してきた。

俺はギリギリでかわすが右肩の服が破れた。

「近距離は部が悪いな」と俺が言うと

「任せて」と四宮が言った。

「グラビティ」四宮が魔法を唱えて熊の行動を抑える。

「ウォーターカッター」野口がすかさずウォーターカッターでとどめを刺そうとするも、

ガッキーン

熊の皮膚にウォーターカッターが弾かれた。

「くっ」野口は弾かれた反動で交代する。

「仕方ねえ」と俺は言って前へ出る。

「イグニッション」俺は強化された体で王威の剣を持ち、熊につっこんだ。グラビティで抑えられている熊は俺の攻撃をかわせるはずもなく、俺の振り下ろした剣で両断された。

「ふぅ。このペースでイグニッションを使っていくと持たないな」と俺は言った。

「すまない。僕の魔法が弱くて」野口が申し訳なさそうにいう。

「何いってんだ?野口の得意分野は違うだろ。パワーが必要な時は俺の担当だ。器用さが必要な時は頼むぜ」と俺は言った。

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