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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第二章 快男児
29/187

29、オーク討伐②

俺はオークロードと向かい合っている。

後ろでは野口がオークを必死に抑えているはずだ。

背中は仲間に任せてある。

俺はもう振り向かない。

あとはオークロードを倒すだけだ。


「力が湧いてくるようだぜ」

今まで1人で何でもこなそうとしてきた。

信頼できる仲間と力を合わせることがこんなに自分を奮い立たせるとは思ってもいなかった。


「いくぜ!」

そう言うと俺はオークロードとの距離を詰めた。

オークロードは槍を両手に持ち突きを放つ。


キンキンキン


俺はオークロードの連続の突きを剣で捌く。

王威の攻撃の方が断然速い。

王威の攻撃をいつも受けてきた俺がこの程度の攻撃を捌けないはずがない。

オークロードは焦れたのか突きが大振りになった。

いまだっ。


「ファイアボール」

俺の放った魔法はオークロードの顔面に命中した。

体制を崩すオークロード。

俺は一気に距離を詰めて剣を振るう。

俺の剣はオークロードの腹を横一閃に切った。


ブシャァァァァア


オークロードの腹から血飛沫が舞う。

浅い。血飛沫は派手だが手応えは薄い。

俺は続けて剣を上に振り上げオークロードに向かって振り下ろす。


キィィィン

俺の剣はオークロードの槍に阻まれた。

俺は力で押し込もうとするが、オークロードの方が力は断然上で俺は弾き返された。


またオークロードとの距離ができてしまう。

距離を詰めないとと思い、飛び出そうとしたその時、


ドカーン

俺は顎を何かに殴られた。

もろにアッパーを食らったように俺は吹っ飛ぶ。


ドサッ 

そして地面に叩きつけられた。


「なっ」

俺はすぐさま起き上がるが、何が起きたのかわからない。

もろに顎に食らったため、足腰がおぼつかない。


「やっべ」

するとオークロードは槍を持っていない手を前に出した。

目の前の土が盛り上がりものすごい速さで地面が柱のように突き出した。突き出した柱は俺の腹に直撃する。


「グフッ」

俺は耐えきれず膝をつく。

さっき食らったのもこれか。

オークロードの魔法のようだ。

土魔法の一種だろうか。


「ますます中距離戦は不利だな」

俺は立ちながら言った。

オークロードはまた手を前に出す。

目の前の土が盛り上がった。


来る!と思い俺はサイドステップで突き出てきた土の柱をかわす。

この魔法はそれほど練度が高くない。

わかっていればかわせないことはない。


また斜め前の土が膨れ出す。

俺は前進しオークロードの魔法をかわす。

次の魔法はすぐには来ない。

発動速度もそう速いわけではない。

俺はそのままオークロードとの距離を詰めた。


オークロードは今度は槍で突きを放つ。

「それもわかっているぜ」

と言って突きをかわしながら、オークロードの懐に入った。


「くらえ!」

俺はオークロードの腹を目掛けて剣で突く。

しかし、先程の攻撃で足腰にきている分、前に出した右足に踏ん張りが効かなかった。

突きはオークロードに届いたものの、皮一枚切れた程度。


オークロードは俺に向かって蹴りを放つ。

俺は両手でガードするもあまりの威力に数m飛ばされる。

また、オークロードとの距離ができてしまった。


「くそっチャンスをものにできなかった」

もう一度と思った時、体全体がズンと重くなった。

これまでにオークを何十体も倒しているし、オークロードからのダメージもある。体力が限界にちかづいているのだ。


「クッこんな時に」

俺は再度自分の体に力を入れようとする。


オークロードは待ってはくれず、魔法を発動させる。

目の前の土が盛り上がり、土の柱が飛び出してくる。

俺は避けることはできず、両腕でガードした。

しかし、威力が大きく両腕から全身に衝撃が走る。


オークロードは再び魔法を発動する。

今度は横から土の柱が飛び出してくる。

俺は左腕でガードするも、足の踏ん張りが効かず吹っ飛ばされた。


「ちとやべぇな」

オークロードは止めをさす気かこちらにゆっくり向かってくる。


その時後ろから声が聞こえた。

「ハリケーン」

俺の後ろで竜巻が巻き起こった感覚が伝わる。


「うぉぉぉぉ」

野口の必死で戦う叫びが聞こえる。

四宮は魔法を使い続けている。

野口もあれだけのオークを必死に抑えている。

1体もこちらに来ていないことからも2人の踏ん張りがわかる。


これだけお膳立てされて俺が負けたらしゃれになんねぇ。

2人ともすぐにオークロードを倒して、そっちに行くからな待っていろよ。

俺は覚悟を決めて、勝負に出る。


「イグニッション」


全身から金色の光が放出される。

俺の体から溢れる力を感じたのか、オークロードは警戒して、足を止め様子を伺ってくる。


長くはもたねぇ。短期決戦だ。

「いくぜオークロード。覚悟しろよ」

俺は剣を引きながらオークロードに突進する。


オークロードは魔法を発動しようとするが遅い。

俺のスピードに合わせることができない。

オークロードは魔法を諦めて、槍を構える。

俺がオークロードの間合いに入ると、オークロードは突きを放つ。

しかし、それも遅い。

俺は突きを掻い潜り剣でオークロードの腹を切った。


ブシャァァァァア


俺の剣がオークロードの腹に斬り込み、オークロードの腹から血が噴き出す。

俺はそのまま剣を振り切ろうと力を入れたその時、


ボキッ


俺の剣が根本から折れた。

刃はオークロードの腹に突き刺さったままだ。


「やべっ」

と俺は思うが、イグニッションの時間がない。

俺はジャンプしてオークロードの顔面に蹴りを入れる。

オークロードは俺のスピードについてこれていない。

俺の蹴りはもろに入り、オークロードは吹っ飛んだ。


俺は地面に着地すると、吹っ飛んだオークロードに追撃をかける。

俺が追いついた時にはまだオークロードは上半身を起こした状態。

俺は再度顔面に蹴りを入れた。


オークロードは木々を薙ぎ倒しながら吹っ飛び仰向けに倒れた。

俺はオークロードのすでに原形をとどめていない顔に拳を振り下ろしオークロードの頭を吹き飛ばした。


「やった!」

と俺は一瞬安堵するが、すぐに振り返り四宮と野口を確認する。


四宮はもう限界に近いのか、片膝を地面に突きながら、グラビティで数体のオークを抑えている。

野口は至る所に傷を負いながらも懸命に戦っている。


「今行くぞ」

俺は残った力を振り絞り、立ち上がって野口のところに向かった。

野口はボロボロになりながらもオークを半数以上倒していた。


「野口ーーー」

「澤口くん!」

「遅くなって悪い」

と俺が言うと


「いや信じていたよ。さぁ最後の仕上げだ」

と野口は言って、野口の剣を俺に渡してきた。


俺と野口は残りのオークに突っ込んでいく。

「うぉりやぁぁぁ」

俺は剣でオークを切り裂く。


「アイスカッター」

野口は残りの魔力を振り絞り魔法を唱える。


「グラビティ」

四宮はもう倒れてもおかしくないほどに疲弊しているが、気力でスキルを維持している。


そして、ようやく最後の1体を俺が斬り倒した。

周りに動くものはない。

「終わった」

と四宮はその場にへたり込んだ。


「どうにかなったな!」

と俺は野口に拳を向ける。


「そうだね。やったね」

と野口は俺の拳に拳をぶつけた。

その途端に力が抜けたようで、野口は尻もちをついた。


「ハハハ。しまらないね」

と野口は言うが、俺は


「いや。お前は最高だよ」

と返した。


俺は野口に肩を貸し、四宮の元に向かった。

「四宮。俺たちやったな!」

と俺が言うと四宮は俺と野口に抱きついて


「2人とも無事で良かった」

と涙を流した。


シュンと俺たちの背後に誰かが現れた気配がした。

俺は振り向くと王威がいた。

王威は親指を立てて

「お前ら最高だな」と言った。


「「「終わったぁ」」」

俺たちのオーク討伐が終わった。

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