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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第二章 快男児
28/187

28、オーク討伐①

もうすぐ夜が明けようとしている。

まだ太陽が顔を出す前に俺たちは移動を開始した。

まだオークが眠っているところに奇襲をかける予定だ。


昨日と同じ丘の上からオークの村を見下ろす。

俺と野口が前衛で、四宮が後方支援を行うということで昨晩打ち合わせ済みだ。


俺たちは各自持ち場に移動した。

俺と野口は左右に分かれて突撃できる場所へ、四宮は少し高いところで全体を見渡せる場所に移動する。

王威は丘の上で見学だそうだ。


突入の合図は四宮の魔法発動としている。

それまで俺は身を潜めて力を溜める。

程よい緊張感を持って戦いに挑める。

いい状態だ。


数分後、四宮が魔法を発動した。

「ハリケーン」

オークの村の中心に竜巻が巻き起こる。


「グォォォォォ」

悲鳴とともに数体のオークが竜巻に飲み込まれ、切り刻まれる。


「いくぞっ」

俺と野口は飛び出して入口付近にいる2体にそれぞれ切り掛かる。

俺は一撃でオークを無力化し、奥に入っていく。

野口は一撃では無力化できなかったが、倒れたオークの首に剣を刺し、すぐさま俺の後を追ってきた。


グザッ

俺と野口は竜巻に巻き込まれて落ちてきたオークの首に剣を刺していく。


続々とオークが集まってくる。

「うぉりゃあー」

俺の剣がオークを切り倒す。


「ファイアボール!」

イグニッションはオークロードにとっておきたいので温存している。

俺は近くにいるオークに斬りかかってはトドメをさし、少し離れたオークにはファイアボールで牽制し近づかせないようにし、近距離で1体1にもっていけるように戦った。


「ウォーターカッター」

野口の魔法がオークを切り裂く。

野口は剣よりも魔法の方が威力は上のようだ。

ウォーターカッターで完全に無力化できなかったオークに対しては、剣でトドメをさしている。


野口も近距離のオークにはウォーターカッター。

中距離の敵にはウォーターボールを使用して、複数の敵を一度に相手にしないよう立ち回っていた。


野口はあまり目立たないが何に対しても器用に立ち回る。

元の世界ではあまり関わることがなかったが、この世界に来て野口の凄さを俺は感じ、野口を認めていた。


「グラビティ」

四宮が発声するとオークの動き止まる。

四宮は的確な状況判断で俺たちをフォローしていた。

基本的にはグラビティでオークの動きを止めて、俺たちが囲まれないように立ち回り、余裕がある時はウィンドでオークを無力化する。

四宮のフォローのおかげで、俺たちは安心して戦うことができた。


「うりぁ」

俺はオークを切り倒す。

そして、

「ファイアボール」

俺は魔法を放った。

オークは防御体制をとる。


もともと俺のファイアボールはそれほど威力は無い。

防御されればほとんど意味をなさない。

その時だった。


「チェンジ」

野口がチェンジを発動し、俺の放ったファイアボールと入れ替わる。

そして、野口の目の前にいたオークに俺のファイアボールが命中する。


「グギャア」

いきなり現れたファイアボールに対応することはできず、直撃を受けたオークはのたうち回る。

すかさず野口は剣で息の根を止めた。

野口は俺の方を向き親指を立てる。


「フンッ」

と鼻を鳴らしつつ、俺も親指を立てた。


俺たちはオークの集団を圧倒していた。

王威の言うとおりこの1ヶ月で俺たちは相当強くなっていたみたいだ。


オークも残り5匹というところで、ついにオークロードが現れた。

その途端、場の空気が重くなる。

他のオークとは違い、オークロードには存在感がある。


「野口」

俺は野口を呼ぶ。


「なんだい?」


「俺がオークロードをやる。残りのオークをお前にたのめるか?」


「・・・もちろんだよ!任せてくれ!」


「おう!」


俺はオークロードに向かっていく。

オークロードは槍を構えて、俺を迎え撃つつもりのようだ。

槍の方が間合いが広い。

俺がオークロードの間合いに入るとオークロードは槍をついてきた。


ビュッ

オークロードの突きは思っていたよりも速い。

俺はかろうじて突きを交わすが、間髪を入れずオークは突きを放ってきた。


キンキンキン 

俺は剣でオークロードの突きを交わすが、これ以上近づくことはできない。

俺は一度バックステップをとり、オークロードの間合いから逃れて、魔法を放った。


「ファイアボール」

バスケットボールくらいの大きさの火の玉がオークロード目掛けて飛んでいく。

しかし、オークロードは右手の甲でファイアボールを弾いた。

ファイアボールは明後日の方向に飛んでいき地面に着弾する。


「このくらいの魔法じゃ意味ないか」

俺はイグニッションを使う準備をした。


野口は四宮の支援もあり5体のオークを相手にしても問題なく立ち回っている。

「ウォーターカッター」


ブシャァァァァア

ウォーターカッターで切り裂かれたオークから血が噴き出す。

オークは上半身と下半身で分断され絶命する。


「ウォーターボール」

野口の放ったウォーターボールはオークの顔面に命中した。

すかさず怯んだオークの首に剣を突き刺す。


「あと3匹か。早く倒して澤口くんの助っ人にいかないと」

と野口が言った時、入口の方から音がした。


ドカッ

俺と野口が入口を見る。すると20体くらいのオークが入口に集まっている。


「なんだと?」

想定外の不意打ちだ。

そういえば依頼には50体を超えるオークと書いてあった。

昨日確認した時も30体超だった。


「もしかして、20体は出払っていたのか。それが戻ってきた。。。」

なんてタイミングが悪いんだ。


20体のオークは野口に向かって走り出している。

「野口!今いくぞ!」

俺は言った。


「くるな!」

野口は叫んだ。


「澤口くんはオークロードに集中しろ!こっちのオークは僕にまかせておけ!」

野口は続けて叫ぶ。


「澤口くん。僕はお荷物じゃない。仲間だ!仲間をもっと信頼しろ!もっと頼れ!」


「なっ」

野口の迫力に一瞬圧倒される。


俺は野口をお荷物だなんて思っていない。

むしろすごい奴だと思っている。

そんな野口に俺が野口をお荷物だと思っていると思わせてしまうとは、俺って本当にダメな奴だな。


でも野口。。。


「ありがとう」

俺はそう小声で呟いたあとに野口に言った。


「野口!後ろは任せた!絶対に死ぬなよ!」

俺が言うと野口は一瞬驚いた表情をしたが、すぐに不敵な笑みを浮かべて


「まかせておけ!」

と言った。


「四宮ぁ!野口のフォロー頼むぞ」

と俺は四宮に向けて声を張り上げる。

四宮は力強く頷いた。

俺はそれを見て、オークロードに向かい直す。

俺はこんなに切迫詰まった状況にも関わらず、笑みを溢さずにはいられなかった。

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