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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第二章 快男児
24/187

24、コートの男

ウサギ狩りに失敗し、3人で肩を落としながら歩いていると、目の前に人間が立っていた。

コートを頭からすっぽりと被り顔が見えないので、男か女かもわからない。


「なんだあんたは」

と俺が聞いた。


するとコートの人間は

「お前らは転移者か?こんなところで何をやっているんだ?」

と逆に聞いてきた。

声は年上の男性の声だった。


「ウサギを狩りにきていたんだよ。狩れなかったけど。。。」

と俺が言うと。


「ウサギ?これか?」

と言ってコートから手を出した。

手はウサギの耳を持っている。


「こんなのも捕まえられないのか?」

男が言う。


「見つからなかったんだから仕方ねぇだろ」

俺はイラッとしながら答えた。


「ウサギだって捕まりたくはないんだぞ。お前らが普通に探していたら見つかるわけないだろ」

とコートの男は言った。

さらにコートの男は続ける。

「お前らはこれから施設に行くのか?」


「行かねーよ。俺たちは冒険者として生活して、そのうち元の世界に帰ってやるんだ」

俺は言った。


「ウサギも捕まえられないのに冒険者が務まるのか?」

とコートの男は挑発してくる。


「余計なお世話だ。俺たちはオーガを倒すくらいつえぇんだよ。ウサギくらい狩れなくてもやっていけるんだよ」

俺はムキになって答えた。


「ハハハ。ウサギも狩れないのに強いのか。笑ってしまうな」

コートの男はさらに挑発してくる。


「うっせぇ。これ以上絡んでくるならぶっ飛ばすぞ」

と俺は怒鳴った。


コートの男は

「ぶっ飛ばせるならやってみろよ」

とさらに続ける。


「やめなよ。相手にしないで帰ろうよ」

と四宮は言うが、俺は頭に血が上り


「やってやるよ!」

と拳を振り上げコートの男に向かっていった。


俺はコートの男に一発入れてやろうと殴りかかる。

しかし、コートの男は殴るために突き出した腕をとり、背負い投げで俺を投げた。

俺は気づいた時には地面に叩きつけられて空を見上げていた。


「それで強いつもりか?」

コートの男は余裕を見せている。


俺は再度コートの男に向かっていった。

「ぶさけんなぁ」

と言いながら、殴りかかる。


10発、20発と拳をだすが、コートの男には当たらない。

コートの男は俺の隙をついて俺の顔面を殴った。

俺は衝撃に吹っ飛ばされる。


「翁くん!」

四宮が心配そうに声をかけてくる。

俺はそれに答えず起き上がる。


「くっそぉ。くっそぉ。くっそぉーーー」

金色の光が俺の体から溢れ出す。


「ほぉぉ」

コートの男はいまだに余裕で俺を見ている。


「翁くんだめだよ!」

四宮が必死に止めるが、俺はもう止まらない。


「コート男。後悔させてやる。オーガを倒したこの力でお前をぶっ倒してやる」

俺は地面を蹴り、常人離れしたスピードでコート男に迫る。


「なかなかのスピードだな」

コート男はまだまだ余裕を見せている。


「いつまでも余裕ぶっこいてんじゃねぇ!」

俺はコート男に殴りかかる。

しかし、トップスピードでの攻撃もコート男には当たらず、拳は空を切る。

その後も俺は蹴りも混ぜて何度も攻撃するが、避ける・いなすでまともに攻撃が当たらない。


攻撃の威力も上がっているはずだが、簡単にいなされてしまう。

「ほら。ガードが甘いよ」

と言いながら、俺の顔面を殴りつけた。


今は防御力も上がっているようで、ダメージはほとんど無いが、俺の勢いは止められた。


「くっそぉ。当たらねぇ」


「いくらスピードとパワーがあっても素人の攻撃なんかあたるかよ」


「ほらもっとこいよ。早くしないとその状態は長く持たないだろう」

とコート男は言う。


見透かされている。

確かにこの状態は長くはもたねぇ。

あと1、2分程度か。

このままでは俺の攻撃は当たらねぇ。時間もねぇ。策もねぇ。


だったら手数を出すしかねぇな。


俺の腹は決まった。

燃え尽きるまで手を出し続けてやる。

一発でも当たればなんとかなる。


「いくぞ!」

と掛け声を上げて俺は地面を蹴る。


「また突進してくるだけか。バカのひとつ覚えだな」

とコート男は言う。

とその時だった。


「うっ」

突如コート男の動きが鈍くなった。

いや動けなくなっている。

俺は四宮を見る。

四宮はコート男に向かって両方の手のひらを向けている。

オーガの動きを止めたあの力だ。

俺はチャンスだと思い、コート男に殴りかかる。


「あの娘の力か。こりゃ厄介だな」

とコート男はボソッと言った。


コート男は動けそうにない。

いける!と思い俺は拳に力を入れる。


「しかたないな」

コート男がボソッと言った。


「イグニッション!」

コート男が発声するとコート男から俺の何倍もの金色の光を発した。

コート男は力で四宮の力を跳ね除ける。


「なっ」

俺は戸惑う。


「加減はしてやるから死ぬなよ」

とコート男は言いながら俺を殴りつけた。

コートの下から一瞬髭面の顔が見えた。

その顔は笑っている気がした。


ドッカーン


コート男の拳は俺の腹にヒットし、あまりの威力に俺は何十mも吹っ飛ばされた。

そして俺は意識を手放した。


ハッとして目が覚める。

俺は、、、そうかコート男に殴られて、、、気を失っていたのか。

周りを見るとコート男と四宮、野口が話をしているようだった。


「あっ翁くん気がついた?大丈夫?」

四宮がホッとした様子で言った。


「あぁ。なんともねぇ。まだ腹はズキズキするがな」

俺は言った。


「タフさは一人前だな。安心したよ」

とコート男は言った。


「この人は王威さんって言うの。冒険者なんだって」

四宮が言う。


「おいガキ。お前はすごい能力を持っているのに、戦い方がなっちゃいねぇ。宝の持ち腐れだ」

王威は言った。


「うるせぇ。今まで喧嘩では誰にも負けなかったんだよ」

俺は言った。


「元の世界ではそうかもしれんが、ここはAEだ。そんなのではすぐ死ぬぞ」


「おい。王威。あの力はなんだったんだよ。」

俺は聞いた。


「あれは一時的に身体能力にブーストをかける。俺はイグニッションと名付けているがな。お前の能力も似たような能力みたいだな」

王威は言う。


「このような能力の事をこの世界ではスキルって言うんだってさ」

野口が言った。


その後王威はスキルと魔法について詳しく教えてくれた。

「嬢ちゃん。お前のスキルはなんだ?」

王威は四宮に聞いた。


「相手の動きを止めるスキルだと思います」

四宮は答えた。


「違うな。受けたからわかるんだが、あれは動きを止められたと言うよりは、上から圧力をかけられた感じだった。あのスキルは重力を操作してるんじゃねぇか?」

王威は言った。


「まぁ何はともあれここであったのも縁だ。少しの間だが俺がお前らに戦い方を教えてやろう」

王威が言った。


「いらねぇよ。自分で強くなる」

俺は意地を張っていた。

負けたのが悔しかった。


「今のままじゃすぐに死ぬぜ。それとも内職でもして生活するか?」

王威は言う。


「翁くん。教えてもらおうよ。このままじゃ何もわからないよ」


「澤口くん。そうしよう。僕たちには力が必要だよ」

四宮と野口に説き伏せられて、俺たちは王威に戦い方を教えてもらうことになった。


「お前らはここに何をしにきたんだ?」

王威は聞いた。


「あっ。ウサギ狩りの依頼を受けていたんだった。取れなかったけど。。。」

四宮が言った。


「お前らが受注したんじゃ依頼主も運が無いな。よしこのウサギを持って行って依頼を完了させてこい」

王威は言った。


「依頼を完了させたら、その金で服を買ってまたすぐにここに戻ってこい。いつまでも制服じゃ目立つからな」

王威はそう言うとその場で昼寝をしだした。

俺たちは言われたとおり街に向かった。

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