表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第二章 快男児
20/187

20、夢or現実

真っ暗な闇の中を幼い3人は手を取って走っている。

真ん中と左側には男の子。右側には髪の長い女の子。

遥か先に小さな光が見える。3人は光に向かって必死に走っていく。

その光は少しずつ大きくなってくる。

そして光のもとにたどり着くと、3人は闇から抜け出し光に包まれていく・・・


ハッと俺は目を覚ました。

「くっそ。またあの訳のわからない夢か。あれ?ここは・・・」

俺は周りを見ると見渡す限り草原が広がっていた。

普段見慣れた近代的な建物は見当たらず、遠くに森が見える程度だった。

近くには四宮 杏奈と野口 光雄がいるが、気を失っているようだ。


俺は澤口 翁 高校2年生 特技はスポーツ全般と喧嘩。

ここで寝ている女子生徒は四宮 杏奈 同じクラス。実は小学4年生からずっと同じクラスだ。。。顔はまぁまぁかわいいが、お世話好きで、だらしない俺にいつも小言を言ってくる。

まぁよくいる優等生って感じのやつだな。


もう1人ここで寝ている男子生徒は野口 光雄でたぶん隣のクラスかな?


確か俺は学校の廊下を歩いているところだった。

いつものようにお節介な四宮が、授業をちゃんと受けろだのと俺に小言を言ってきていた。

その時足元から青白い光が出てきて、その後気づいたらここにいた。


「おい。大丈夫か?起きろ」

俺は四宮の肩を揺さぶる。


「んー。」

四宮が気がついたようだ。


「あっ翁くん。あれここはどこかな?」

体を起こしながら四宮は言った。


「俺にもわからねぇ。とりあえず四宮、体はなんともないか?」


「うん。どこも痛いところはないよ」


「ふぅ」

俺はとりあえず安心して息を吐いた。

そうこうしているうちに野口が目覚めたようだ。


「澤口くん、四宮さん。ここは?」

俺は同じ質問に少しイラついたが、仕方がないと理解して頭をかきながら答えた。


「俺にもわかんねぇんだ。ついさっき気がついたばかりだしな」

野口が言うには、廊下で俺たちとすれ違うところだったらしい。その時に俺たちと同じ青白い光に飲み込まれたそうだ。


「夢かな?」

四宮が言う。


「夢で3人出会うことあるかぁ?」

と俺は答えた。


「まぁ状況はよくわからねぇが、ここにずっといるわけにもいかねぇ。とりあえず人がいるところを探そう。人がいるのかわからねぇがな。」

と俺はいうと四宮が


「そうだね。まずは道か川を探さない?」

と言った。


「何で川?道は何となくわかるけど」

俺が聞くと、今度は野口が言った。


「たぶん四宮さんは川を辿れば街に行き着く可能性が高いと考えていると思うよ。ほら生活に水は必要だし、漁業もやりやすいからね」


「なるほどなぁ。わかった。じゃあ街を見つけるために、道か川を探そう。水もほしいしな。」

俺たちは歩き出した。


歩いても歩いても街どころか建造物すら見つからない。

俺は本当に日本か?本当に夢かもしれないなと思いながら歩いていた。



しばらく歩くと森が見えてきた。

森に近づいてみるがかなり深そうな森だ。


「森に入るのは危険だからやめようね」

四宮が俺に釘を指す。


「わぁってるよ」

と俺は答えたが、食べれそうな果物とか無いかなと探していた。

その時だった。

ザザッと音がして何かが森から飛び出してきた。


「よけろっ!」

俺は叫び横に飛んだ。


バシャーン!


さっきまで俺たちがいた場所に何かが飛び込んできた。

土煙が上がりよく見えないが、何かいる。


「気をつけろ」

俺は2人に言った。


土煙が晴れてきて、視界がクリアになってきた。

するとそこには3m近くもある巨大な人間?が立っていた。


肌の色は青色。

髪は黄色で鼻のあたりまで伸びており目は見えない。

上半身は裸で下半身には植物をつないだものが巻かれていた。RPGによく出てくるオーガにそっくりだった。


「グォォォォォ」

オーガは俺たちを威嚇してきて、攻撃をしてきそうだ。

2人を見ると、四宮は立ちすくんでいるし、野口は腰を抜かして尻餅をついている。


「チッ」

2人は今攻撃を避けられる状態ではない。

2人に攻撃が行かないように引き離すしか方法がない。

ぱっと見で攻撃力が段違いなのが分かる。

一発でもまともに喰らったらおそらく致命傷になるだろう。

ツツーと俺の頬を汗が流れた。


「よしっやってらぁ」

俺は覚悟を決めた。

俺はオーガに向かって走り出す。


オーガは向かってきた俺に警戒し身構える。

俺は後2歩程度でオーガに届くというところで、斜めに方向を変えオーガを通り越した。

そのまま森の境界のあたりまで走り、オーガが出てくる時に折った落ちている枝を拾う。

枝といっても竹刀くらいの太さはあるし先っぽは尖っている。

反応はそれほど早くないのか、オーガはまだこちらを向いていない。


「いけるっ」

俺は枝をオーガに突き刺そうと突進する。

しかし俺の接近に気づいたのか、オーガはこちらを向き拳を振り上げた。


「やばっ」

俺は突進をやめ後退する。

オーガの拳が振り落とされ、地面に突き刺さる。


ドッカーン!!!

衝撃とともに土埃が舞い上がる。

拳は地面に半分ほどめり込みクレーターができていた。


「あの威力はヤベェな」

俺は安易に飛び込めないなと思い、どうやって隙を作るか考えた。

四宮たちを見ると2人とも怯えてはいるが動く事はできるようになっていそうだ。


「2人とも逃げろ!」

俺は叫んだ。

その言葉を聞いて野口は逃げる体制をとるが、四宮は動かない。


「四宮ぁ逃げろ!」

俺は再度逃げ出すように叫ぶ。


「翁くんが逃げないなら逃げない!」

四宮はそう言うと下に落ちている石を拾ってオーガに投げた。

石はオーガに命中したものの全く効果はない。

オーガは四宮の方に振り向き一歩前に出た。


「四宮逃げろ」

と再度叫び俺はオーガの後ろから枝を刺そうと突進した。

しかし、オーガの四宮への攻撃の方が速く間に合いそうにない。


「こないでっ!」

四宮が両手を伸ばし手のひらをオーガに向けて、拒絶の姿勢をとる。しかし、オーガは気にもせず四宮に向かって進んでいる・・・進んでいる?


「あれっ?」

気のせいかオーガの動きが遅い?いや気のせいではない。

何か重りを乗せたようにオーガの動きが鈍い。

これなら間に合うと思い俺は突進するスピードを上げ、枝の先端をオーガに向けて突き刺した。


ガキィーン!


枝の先端はオーガの背中に命中したが、想像以上にオーガの皮膚は硬く枝が折れてしまった。

俺はすぐさま枝を捨てて、四宮のところに駆け寄った。


「四宮!逃げるぞ」

と俺は言いながら四宮の手を取りオーガとは反対方向に駆け出した。

するとオーガは重りの呪縛から解き放たれたように動き出し、こちらを追いかけてきてきた。

明けましておめでとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ