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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
○▼※△%章
178/190

178、ズルい女13 ひ め の る▪️

「水の羽衣」

ウィンちゃんが魔法を唱えた。

するとひとりひとりに水の膜が覆った。


「ウィンちゃん!すごいよ。動きやすいし」

ウィンちゃんは私のお願いに、私の想像以上の結果をもたらしてくれた。


これで接近戦も可能になる。

私たちは攻めに転じ勇くんと翁くんの連携で、赤虎の首を月刀で斬りつけた。


その後も赤虎を相手に善戦するが、赤虎の炎の前にまた戻りが発動する。


「吾輩も本気でお前たちを燃やし尽くしてやろう」

と言うと、赤虎から発せられる火力が上がった。

後方にいる私でも頬がひりつくほどの火力。

赤虎周囲の温度は相当なものになっているだろう。


赤虎は息を吸い込むと、私に向かって火球を吐き出した。

ジャンプでかわすが、火球は炎を巻き上げて地面を焦がす。

水の羽衣がなければ、余波で皮膚が焼けてしまうだろう。

この攻撃の直撃はまずい。


赤虎は杏奈の着地を狙って、火球を吐き出した。


「グラビティ」

杏奈は自身にスキルを使って、後方に飛ぶことで火球をかわした。


さらに赤虎は火球を2つ同時に吐き出す。

勇くんと翁くんが狙いだ。


いつの間にか勇くんと翁くん、杏奈が集まる形になった。

嫌な予感が過った。


すると、赤虎は大きく息を吸い込んで、口から広範囲の炎を吐き出した。


「氷壁」

ウィンちゃんが氷壁を唱えて、3人の前に氷の壁を作る。

しかし、炎は氷の壁を一瞬にして溶かし、3人を飲み込んだ。


「いやぁぁぁぁぁ」



ハッと視界が切り替わった。

「吾輩も本気でお前たちを燃やし尽くしてやろう」

赤虎の声が聞こえる。

また、戻ってしまった。


赤虎は息を吸い込むと、私に向かって火球を吐き出した。

ジャンプでかわすが、火球は炎を巻き上げて地面を焦がす。


赤虎は杏奈の着地を狙って、火球を吐き出した。


「グラビティ」

杏奈は自身にスキルを使って、後方に飛ぶことで火球をかわした。


「みんな!纏まらずに散って!」

と叫ぶ。


しかし、赤虎は火球を2つ同時に吐き出すと、結局は勇くんと翁くん、杏奈が集まる形になった。


赤虎は大きく息を吸い込んで、口から広範囲の炎を吐き出した。


「だめっ。だめぇぇぇ」

と私は叫ぶ。


「氷壁」

ウィンちゃんが氷壁を唱えて、3人の前に氷の壁を作るが、またしても炎は氷の壁を一瞬にして溶かし、3人を飲み込んだ。



ハッと再び視界が切り替わった。

「吾輩も本気でお前たちを燃やし尽くしてやろう」

赤虎の声が聞こえる。

3人が纏まらないようにするのは無理だ。


「ウィンちゃん!全力のかまいたちで赤虎の炎を相殺して!」


「えっ?炎?」

とウィンちゃんは私の言っている意味がわからない。

それはそうだ。まだ赤虎は炎を吐いていない。


「お願いだから準備して!」

説明をしている時間はない。

私は向かってきた火球をジャンプでかわした。


赤虎は杏奈の着地を狙って、火球を吐き出す。


「グラビティ」

杏奈は自身にスキルを使って、後方に飛ぶことで火球をかわした。


しかし、赤虎は火球を2つ同時に吐き出すと、結局は勇くんと翁くん、杏奈が集まる形になった。


赤虎は大きく息を吸い込む。


「みんな散って。これは赤虎の作戦よ。私たちを一箇所に集めてまとめて攻撃を仕掛けるつもりよ。あの炎がくるわ」

と言った後に、私は、


「ウィンちゃん!いまだよ!お願い!」


赤虎は口から広範囲の炎を吐き出した。


ウィンが前に出る。


「かまいたち」

ウィンちゃんのかまいたちで、赤虎の炎が相殺された。


「はぁはぁはぁ」

ウィンちゃんが息を荒げる。

ウィンちゃんにばかり負担をかけてしまっていた。

水の羽衣の維持だけでも辛いはずなのに。


いつまでもウィンちゃんに頼れない。

何とかしないと。


「防戦一方だな」

翁くんは言うが、その通りだ。

未だに突破口が見つからない。


翁くんは「勝負にでる」と言うが、私は止めた。

今行っても赤虎の周りの炎をどうにかしないと、近づくだけで燃え尽きてしまう。



そんな中、リムちゃんが勇くんに声をかけた。

勇くんも何かに気がついたようだが、迷っているように見えた。

私には今できる事は声をかけることくらい。


「勇くん」

勇くんが振り向く。


「勇くんならできるよ」

と拳を握りながら、私は言った。


その時、体から力が抜けていくのを感じた。

以前にも感じた事がある。

抜けた力は勇くんに流れていく。


勇くんは顔を上げて、

「次の炎は僕に任せて!」

と力強く言った。


勇くんは前に出て、赤虎と対峙する。

うまく立ち回るが、攻撃をかわすことで手一杯に見えた。


赤虎は大きく息を吸い込む。


「みんな!僕の後ろに下がって!!」

と勇くんは叫んだ。


「月刀・緑」

と勇くんが言うと、月刀の纏う光が青白い光から薄緑の光へと変わった。


赤虎が炎を吐き出して、広範囲の炎が勇くんに迫ってくる。


勇くんの両腕が光を放ち、月刀の纏う薄緑の光が炎のようにゆらめいた。


「一閃!」

掛け声と同時に勇くんは刀を横一閃に振り切った。


勇くんの放った一閃は放たれた炎を斬り裂いて、赤虎の纏う炎も斬り裂き、最後には赤虎の鼻先を斬った。


「グォォォォォォォ」

赤虎が吠える。


「やった。。。」

勇くんは言った。

私のエネルギーもかなり持っていかれた気がする。


「すごいよ!勇くん」

と私は声をかけた。

この技はそう何度もはできそうにない。

勇くんも私もそんなにエネルギーに余裕がある訳ではないのだ。


他の攻撃の手段を考えないと。


と思っていると、怒り狂った赤虎が飛び掛かってくる。

吐き出した火球を勇くんは薄緑に光った月刀で斬り裂いた。


何とか赤虎の攻撃を防ぐことはできているが、攻撃する手段は見つからない。


翁くんもさっきから「勝負をかけるぞ」と何度も私に言ってきている。

でも、赤虎に致命的なダメージを与える方法が思いつかなかった。


そんな時にウィンちゃんが言った。


「僕が魔法で一瞬だけあの炎を剥がす。その時にみんなで一斉攻撃で赤虎を倒すことはできるかい?」


「そんなことできるの?」

と勇くんが言うと、


「たぶん。。。だけど、かなりの魔力を使うのと、魔力を溜める時間が必要なんだ。すでに水の羽衣でかなりの魔力を消費しているから、この魔法の後は魔力切れになるかもしれない。それに、魔力を溜めるために水の羽衣を解かないといけない」


水の羽衣が無くなる。

近づくだけでも火傷を負ってしまうと言う事だ。

掠っただけでも燃え尽きてしまうかもしれない。

それは無茶じゃないかな。


勇くんも迷っているようだ。

私も判断できない。


すると、

「やろうぜ!」

と翁くんは言った。


「どのみちこの状態を続けていても、いつかは負けちまう。それに時間が経てば経つほど切れるカードは減っていくぜ。倒しきれなかった時は、またその時に考えればいい」

確かにそうかもしれない。

それまでは私が。。。


「そうね。可能性があるならやりましょう」

と私は翁くんに同意した。


「よし。やろう」

と勇くんも決心したようだ。


「ウィンちゃん。準備ができるまでどのくらいかかるの?」


「5分はかからないと思う。けど、その間にみんなには水の羽衣無しで赤虎の相手をしてもらわないといけない」

とウィンが言った。


「少しでも触れたら終わりだよね」

と杏奈が言う。


「私に少し考えがあるの」

と私はみんなに提案した。


私が提案したのは、勇くんと翁くんに前線で攻撃をかわしてもらう。

私は後方でフォローだ。

前線の2人に糸を巻きつけておいて、緊急回避をする。


杏奈は私たちの中間でフォロー。

グラビティで、赤虎の動きを阻害するのと、前線2人の回避を助ける。


いざとなった時に私の能力が、発動するかが鍵だ。

戻る事を作戦に組み込むのは初めてだ。

戻る条件もわからない。

誰かが死ぬかもしれない事も踏まえた作戦。

もうこんなの作戦とは言えない。

でも、、、今はこの方法しか思いつかない。



私たちは所定の場所に立った。

勇くんと翁くんが赤虎の左右に分かれた前面。

杏奈は勇くんたちの後方で赤虎の正面。

私はさらに後方で高台を作って、その上に立った。


私のすぐ近くでウィンちゃんがすでに魔力を貯め始めている。


これから始まる地獄の5分間。

私にとってこの地獄は何分になるのだろうか。


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