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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
○▼※△%章
172/190

172、ズルい女⑦▪️め の ▪️▪️

リクさんたちと別れたあとは、ラビルの街を目指していった。

勇くんとリムちゃんと私の3人の旅だ。

リムちゃんは一緒にいる時間は短いが昔から知っている娘のような親しみやすさがある。

妹ができたような感じがしてうれしかった。


ラビルの街に着くと、女の子がガラの悪い人たちに絡まれていた。

私は帰ってもらえるように丁重にお願いをすると、話がわかる人たちだったようで、快く帰ってくれた。


何故か怯えている勇くんがいたけど何でだろう?


女の子はアイナちゃんと言った。

お母さんがいなくなってしまったみたいで、ウーラさんと一緒にアイナちゃんのお母さんを探す事になった。


何とかアイナちゃんのお母さんは見つける事ができたけど、またガラの悪い人たちにかこまれてしまった。


私たちはアイナちゃんたちを守るため、ガラの悪い人と戦った。



まともに立っているガラの悪い人が、数人程度になった時、


「まだやるの?」

と聞いた。


「今ならまだみんなの怪我は大したことないわ。私たちに勝てない事はわかったでしょう。倒れている人を連れて帰りなさい。そして、依頼主に無理でしたと報告をしなさい」


「クッ。てめぇら舐めてんじゃねぇぞ」

とガラの悪い人が言った時だった。


グザッ

と音がして、勇くんが倒れた。

私たちの後ろで、倒れていた1人が勇くんを背後から刺したのだ。


「どぉだ!どぉぉだ!」

と勝ち誇る。


「何で?」

何でこんなことをするのだろう。


「何でなのよぉ!」

と言ったところで、視界がブラックアウトした。



ハッと気がつくと、戻っていた。

隣の勇くんも無事だ。


「クッ。てめぇら舐めてんじゃ、、、」


「バンッ」

私は言い終わるのを待たずに糸鉄砲を放った。


「バンッ」

続け様に勇くんの後ろで、起きあがろうとしている1人にも糸鉄砲を放った。


「姫乃先輩、、、?」

と勇くんはやりすぎだと思ったのか、私に声をかける。

勇くんはさっき背後から刺されたのを知らないのだから。


「勇くん。言いたい事はわかるよ。でも私たちが今いるAEはそんなに甘く無いの。私もAEに来ていろんな経験をしたわ。この世界はいつ命を落としてもおかしくはないの。一瞬の油断が命取りになるの。私は何度もそれを味わってきたの」


「姫乃先輩。それは、、、」

とまだ勇くんは話を続けようとしていたが、私は話を打ち切り、


「さぁ。どうするの?」

と再びガラの悪い人たちに問いかけた。


「さぁ。早く決めて」

と追い打ちをかけた。


「・・・・」

相手はすぐに答えが出せないようだ。


「仕方がないわね」

と私は糸鉄砲の形を作って、相手に向けた。

正直言うとこのまま戦ってもいいかなと思っていた。

そのくらいむしゃくしゃしていた。

自分の都合で簡単に人を殺めることができるこの人たちに。。。


「わかった。わかった。待ってくれ」


「どうするの?早く決めて」

と私はすぐに回答をするように求めた。


「・・・・・」

私はまた糸鉄砲を構える。


「わかった。わかった。俺たちは手を引く。この街から撤収する」

と相手は観念して答えた。


「それがお互いのためにいいと思うよ。じゃあ倒れている人を起こして、すぐに引いて」


「わっわかった。言うとおりにする」

相手は倒れている人たちを起こして立ち去っていった。



「これで解決ですかね?」

勇くんが声をかけてくてくれた。


「そうね」

と返事をしたが、素っ気ない返事になってしまった。


「姫乃先輩。さっきの話ですけど、聞いてもいいですか?」


「・・・」

さっきの話、、、

そう私は何度も何度も何度も何度も目の前で命が消えるのを見てきた。

私は何度も勇くんを殺してきた。



「・・・」


ツー

私の目から涙が流れた。


「・・・ね勇くん。」

私には謝ることしかできなかった。


そして今度ははっきりと、

「ごめんね勇くん。。。」

何度も痛い想いをさせてしまってごめんね。

何度も殺してしまってごめんね。


「えっ?何がですか?」

もちろん勇くんには伝わらない。


「ごめんね勇くん。。。私は何度も何度も勇くんをこ、、、」

私は勇くんに全てを話そうと思った。

その時だった、


「きゃぁぁぁぁ」

と小屋の方から悲鳴が聞こえた。


小屋の方を向くとウーラが立っていた。

ウーラは黒陽9将のひとりウラヌスだった。

ウラヌスも開発された毒を手に入れるために近づいてきたみたいだ。


流石に黒の組織の幹部。

勇くんと私では勝利するのは困難だった。


しかし、リムちゃんと覚醒?した勇くんで何とかウラヌスを退ける事はできた。

しかし、リムちゃんは私たちのせいで力を失ってしまった。

それに毒も取られてしまった。


私たちは負けたのだ。。。




私たちはこの町で宿を取り、明日洞窟に向かうことにした。

宿は節約のため、3人で一緒の部屋にした。


「これからどれくらいの長い旅になるかわからないし、節約できるものは節約していきましょう」

と言ってみたものの、ただ勇くんと一緒に居たかっただけだと思う。



私は緊張している。

勇くんと一緒の部屋になる事は初めてだ。

今までも一緒に野宿したことはあり、オフレコだが寝顔を見た事も何度もあった。

でも、ひとつの部屋で一緒に寝泊まりするという事は、また違った緊張感があるものだった。


「勇くん」


「はひっ」


「はひ?」


「いえいえ。なんでもござんせん。何でござんしょう?」


「悪いけれど、着替えたいので少しの間、廊下にいてもらってもいいかな?」


「あっ。了解です。すぐに出ます」

と言いながら慌てて出て行く勇くん。

勇くんも緊張しているんだなと思うと笑いが出た。

私はいつも通りに振る舞えていたのだろうか。



着替えをしながらも、いきなりドアが開いたりしないだろうか。

などと考えていた。

勇くんにかぎって、そんな事はしないとは思う。

でも、勇くんも男の子だ。


私たちはもともと高校生だ。

思春期真っ最中なのだ。


もしドアが開いたら、、、

もちろん恥ずかしいけれど、、、

全て受け入れてしまいそうな、そんな気もしていた。



ガチャ



とドアを開けて、


「おまたせーー」

と平静を保って言った。


「ひゃうっ」

と言いながら、廊下の壁にへばりつく勇くん。


「何しているの?」


「トッ、トカゲの練習を。。。」


「そっ、そう。。。」



夜になって、就寝の時間になる。

部屋には3つのベッドが並んでいる。


「わーいなのよー」

とリムちゃんはベッドの上を飛び跳ねていた。


明日は早朝に出発するので、早めに就寝することにした。

リムちゃんが真ん中のベッドを先に取ったため、勇くんと私が両端だった。


本当は勇くんの隣が良かったな。。。

とも思っていたが、そんな事を言い出す勇気は私には無かった。


私はなかなか寝付けなかった。

勇くんは早々に寝息を立てている。

一緒の部屋になって、私だけ意識して眠れないというのは、何だか少し悔しかった。


私はベッドを抜け出して、勇くんのベッドにいった。

疲れているのだろう。

勇くんは熟睡している。


私は、

「勇くん。勇くん」

と小声で声をかけてみた。

勇くんは起きない。


布団と中に手を入れて、勇くんの手を握った。

暖かい。


「うーん」

と言って勇くんが寝返りを打った時に握っていた手が引っ張られた。


「きゃっ」

私は計らずも勇くんのベッドに倒れ込んだ。

そして、横を向いて寝ている勇くんに後ろから抱きついている状態だ。


「暖かい」

小声で言いながら、勇くんの頭を優しく撫でた。


「うーん」

と言って勇くんがまた寝返りをうち、こちらを向いた。

ちょうど、私の胸に勇くんの顔が埋まる。


「きゃっ」

と少し声が出てしまったが、そのまま勇くんの頭を抱いた。

勇くんの息が胸に当たってこそばゆい。

勇くんの頭からは、勇くんの匂いがしてとても落ち着く。


しばらくその体勢でいると、勇くんが寝返りを打って上を向いた。


勇くんの顔を覗き込む。

いつもの可愛い勇くんの寝顔だ。


勇くんの唇に目がいく。

少し薄めの愛くるしい唇。


私は勇くんの唇に人差し指を当てた。

「このまま、、、キスしても、、、いいかな、、、」

そう私は言って、自分の唇を近づけていった。


「勇くん」

とじぶんでも驚くくらいの甘い声で、名前を呼んで唇を近づける。

あと5mm。

もう少しで、、、


というところで思いとどまった。

「やっぱりそれは卑怯よね。いくらズルい女でも、勇くんの事に関してはズルはしたくないよ」


そう言って、私は勇くんのベッドを出た。

さっき勇くんの唇に当てた人差し指を自分の唇に当てながら、

「勇くん。おやすみ」

と言って、自分のベッドに向かって歩きだす。

ちょっと冒険をしたのもあってよく眠れそうだ。


自分のベッドの前まで来て、ある事に気がついた。

「下着、、、変えようかな、、、」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


朝が来た。

よく眠れたな。

勇くんもリムちゃんもまだ眠っているようなので、先に着替えを済ませた。


着替えを終えて、私は自分のベッドから勇くんの寝顔を眺めた。


すると、


「姫乃先輩。ダメっす!」

いきなりそう言って、勇くんが起きた。


「勇くん。どうしたの?何がダメなの?」


「はひっ」

どうやら夢を見ていたようだ。


「何でもないんです。何でもないんです。。。。でもなんかすみません」

と必死に謝る勇くんに、逆に謝るなら私の方かもと思いながら、


「???。何で謝るの?」

と聞いてみた。



すぐに出発の準備を整えて、私たちは洞窟に向かう。

街をでて洞窟へ向かう道のりも、恥ずかしくて勇くんの顔をまともに見ることができなかった。

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