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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第五章 双子の巫女
160/190

160、無理もするよ

「きぃやぁぁぁぁ」

と叫ぶ双子たち。


僕は緑竜のところまで急ぐ。


「イサミン。頼むから無事でいてよ」


ズドーン!


遠くで緑竜が倒れた。

また、倒したみたいだ。

でもまた復活するのだろう。


「厄介だなぁ」

と僕が呟くと、


「みっ緑竜わぁぁぁ、大地からぁぁぁ、エネルギーをぉぉぉ、吸収ぅぅぅ、しているのですぅぅぅ」

ジャンプに慣れてきたランが、風の影響を受けながら一生懸命話す。


「大地のエネルギーは無限に近いです。いくら攻撃してもおそらく緑竜は倒せません。でも、、、私たちならそのエネルギー供給を絶てるかもしれません」

リンが風の影響を受けないように話をしていた。

リンの方が器用なようだ。


それは置いておいて、

「エネルギーの供給を絶てるってホント?」


「おそらくぅぅぅ、としかぁぁぁ、言えまぁぁぁ、せんがぁぁぁ」

「可能性は高いと思っています」

もうリンに話してもらいなよ。。。

とツッコミを入れながらも、その話が本当なら緑竜を倒す目処が立つ。


尚更急いでイサミンの元に向かわない。

と思い僕はスピードを上げた。


「「ぎゃあぁぁぁぁぁぁ」」

辺りに双子の悲鳴が木霊した。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「うぉぉぉぉぉぉ!」

僕は月刀の纏う青白い光を極限まで伸ばして、緑竜の腹を掻っ捌いた。

緑竜は大きな音と地響きを立てて倒れる。


「はぁはぁはぁはぁはぁ」

すぐさま倒れた緑竜は薄緑色の光に包まれ出し、周囲の木々が枯れていき、地面にヒビが入っていった。

回復が始まったのだ。

これで何度目か。。。


倒しても倒しても回復していく。


巨大な緑竜は攻撃力も高い。

今のところ、何とかかわしているが、一発でも喰らえば致命傷になりかねない。

それは精神的負担も非常に大きかった。


回復が終わった緑竜が、次こそは僕を捉えると言わんばかりに吠える。

緑竜の尻尾を振る攻撃を僕はかわす。

かわし間際の攻撃は、、、できない。

かわすだけで精一杯になってきていた。


緑竜は翼をはためかせて突風を放ってくる。

「月刀・緑」

月刀が薄緑色の光を纏う。

僕は月刀で突風を斬り裂いた。

一閃を使う余力はない。


「はぁはぁはぁはぁ」

僕は何とか息を整える。

もう攻撃も仕掛ける余裕はない。

かわすだけで精一杯だ。


緑竜は爪を立てて斬りかかってくる。

僕は月刀で迎え討とうとした時、


「鉛筆」

地面から大きな石の針が飛び出して、緑竜の手に突き刺さり動きを止めた。


「イサミン!お待たせ」

ウィンが戻ってきてくれたのだ。

何故かランとリンも一緒だ。


お礼も言いたいし、ランたちが一緒の理由も聞きたいけれど、まずは、、、

「ウィン!芽衣を治してくれ!」


ウィンは一瞬キョトンとしたが、すぐに状況を理解して頷き芽衣に駆け寄る。


「あっちゃあ。これは手酷くやられたね」

と芽衣の状況を確認すると、


「ハイケア」

と回復魔法を唱えた。

見る見るうちに芽衣の傷口が塞がっていく。


「ふぅ」

と汗を拭うウィン。


「ありがとう。助かったよ」

と言って芽衣が起き上がった。

しかし、かなりの量の血液を失っているため、真っ青な顔をしている。


「まだ無理はしない方がいいよ」

とウィンが言うと、


「勇っちの前だからね。無理もするよ」

と服の袖丈で口についた血を拭いながら答えた芽衣に、


「あー。なるほどね。それは無理もしたくなるね。僕でもそうするよ」

とウィンが言って、2人は緑竜に向き直った。

言っている意味がわからない僕だが、芽衣が無事な様でホッと胸を撫で下ろした。


そうこうしているうちに鉛筆から腕を抜き取った緑竜は、大きな口を開けて息を吸い込む。


「光線がくるぞ!回避だ」

と僕が言うと、


「私たちに任せてください」

と言ってランとリンが僕たちの前に出た。


「えっ?」

意味がわからずには受けている僕を気にもかけずに、


「リン。やりますよ」

「わかったわラン」


2人は並んで集中する。

緑竜が光線を放つと、ランとリンは両手を前に出して、


「「障壁」」

と発声する。

すると、ランとリンの前に青色の魔法陣の様なものが現れた。


緑竜の光線が魔法陣に直撃するが、魔法陣のは破壊される事はなく、緑竜の光線を防いでいる。


「「はぁぁぁ」」

と2人は息の合った声を出した。

見事に双子は緑竜の光線を防ぎきると、ヘタっと地面に尻餅をついた。

相当なエネルギーを使うみたいだ。


「ラン、リン。大丈夫か?」

僕が駆け寄ると、


「大丈夫です。一気にエネルギーを消費したので眩暈がしただけです」


「それにしてあの攻撃を防ぐなんてすごいな」


「緑竜限定の力なのです。これでも代々封印を守ってきた巫女ですので。。。」

とランが答えると、

「これから私とランで緑竜の回復を断ちます」

とリンは言った。


「そんな事できるの?」

と確認すると、


「はい。かなりのエネルギーを使いますが、おそらくは、、、」

とランが言うと、

「少し時間がかかりますが、その間は私たちは動く事ができません」

とリンが言った。


すると、

「私たちを守って貰えますか?」

と祈る様な仕草でランが言ってきたので、


「もちろん。全力を持って守りますよ」

と答えると、


「ありがとうございます。この台詞を一度言ってみたかったのです」

とはにかんだ笑みを浮かべたランに一瞬見惚れてしまった。



ランとリンが準備を進める中、緑竜を抑える。

僕は体力的に限界が近くはあったが、芽衣も復帰したし、ウィンも戻ってきた。


僕が切り込んで、芽衣が魔法を放って、ウィンが魔法を放つ。

それぞれ分散して、違う角度から、タイミングをずらして攻撃をする事で、緑竜が一人に集中できない様に攻撃をした。


四宮さんも要所要所でフォローをしてくれていた。

芽衣をカバーする必要が無くなったので、フォローに集中できるようになったようだ。


相変わらず緑竜の攻撃は高威力で気を抜く事はできないが、時間を稼ぐだけならそこまで困難では無かった。


しかし、僕は体力が限界に近く、芽衣は傷が治ったとはいえ血を流しすぎているし、魔力も残り少ない。

ウィンも魔力消費の大きい回復を僕の時も含めると、3回も使っている。

余力はそれほどあるわけではなかった。


「皆さん一度下がってください!」

とランの声が聞こえた。

ランたちの準備が整ったのだ。

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