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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第一章 目覚め
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16、決着

僕は迷っていた。

僕に真壁を殺すことができるのか?

またチャンスが来た時に僕は刀を振り下ろすことができるのだろうか。


このまま迷っていたらいつかやられてしまう。

そうなると姫乃先輩や芽衣も危険に晒してしまう。

どうすれば。。。

まだ、頭の整理ができていない僕を当然待つことはなく、真壁は行動を起こす。


「くらえぇ」

真壁は今までと同じように僕に向かって刀を振り上げた。

僕は攻撃をかわすため、横に飛ぶタイミングを見計らう。

しかし真壁は急に姫乃先輩の方に向きを変え海賊刀を振り下ろした。


「しばらく大人しくしてろ!」

姫乃先輩に向かって真壁の発した空間の波が襲いかかる。


「きゃぁぁ」

突然の攻撃に姫乃先輩は対応が追いつかず、真壁の攻撃をもろに受け後方に吹っ飛んだ。


「姫乃先輩!!」

と呼びかけるも姫乃先輩は気を失っているのか返答はない。


僕は真壁の方を向き刀を構える。迷ってなんかいられない。

僕がやらないと。

姫乃先輩達を守らないと。


しかし、姫乃先輩の援護はもう期待できない。

僕1人で真壁の攻撃を掻い潜ることは困難だ。


「やるしかない。飛神をっ」

僕は覚悟を決めた。


ただカウンターを食らうとひとたまりも無いため、安易に使用することはできない。

「タイミングだ」

真壁は数度攻撃を放ってきたが、僕はかろうじて左右にかわす。


「おらぁ」

真壁は何度もスキルで攻撃を仕掛けてきている。

やはり近距離戦は部が悪いとみて、スキル攻撃で削ってくる作戦のようだ。


僕はかわしながらタイミングを見計らっているが、真壁も僕を警戒しているのか、隙らしい隙を見せてこない。

このままだといつかは攻撃を受けてしまう。

「ジリ貧だ。なんとか突破口を見つけないと」

そう思いながら僕は真壁の攻撃を交わし続ける。


僕は数分間に渡り、真壁の攻撃をかわしつづけている。

スキル使用には体力を使う。

真壁の体力が尽きることはあるのだろうか。

これだけ連続で使用してくるということは、体力の消費量はそれほど多くはなさそうだ。

だとするとこちらの体力が無くなるか、攻撃に当たってしまう方が早い。


「どうすれば」

と考えていたその時だった。

突如、海賊刀を振り上げた真壁の動きが停止した。

「てめぇ。なんで。」

真壁が困惑の表情をする。

横を見ると芽衣が気絶から復活しており、地面に倒れながらも魔法を放っていた。少量ではあるが、真壁の腕が凍っている。

「勇っち。頼んだよ」

芽衣は言った。


「今だ。」僕は刀を後ろに引き足に力を入れる。

足元から光が発生する。僕は重心を低くして、真壁に狙いをつけ、地面を蹴る準備をする。

「うぉぉぉぉぉ」

足元の光はどんどん強くなる。

「くそぅ」と言いながら真壁は腕の氷を取り除き再度海賊刀を振り上げたところだった。


「いくぞっ!飛神!」


発声と同時に僕は地面を蹴り飛神を発動した。

僕は光の線となり、ほぼ同時に刀を振り抜いた。

次の瞬間、僕は真壁を通り越した数m先で刀を振り抜いていた。


「ぐわぁぁぁあ」同時に真壁は声をあげながら吹き飛んでいた。

僕は真壁を斬ることはできず、刀の峰で真壁の腕を打ったのだが、それでも真壁を無力化するのには十分だった。

ドサッと地面に落ちた真壁はぴくりとも動かない。


「やった。」

僕は勝利を確信して、姫乃先輩のとこに駆け寄った。

「姫乃先輩大丈夫ですか?」

「勇くん。」姫乃先輩は気がついたようだ。

僕は先輩に手を差し伸べて、先輩を起き上がらせる。

細かい傷はあるものの、大きな怪我はなさそうだ。

「姫乃先輩すみません。僕のせいで。」

姫乃先輩は真壁の方を向いたあと、首を振りながら言った。

「んーん。そんなことないよ。守ってくれてありがとう。」

姫乃先輩はある程度の状況は把握できているようだ。

「さすが勇くんだね。」

姫乃先輩は満面の笑みを僕に向けて言った。

姫乃先輩の笑みを見て僕は顔を赤らめ下を向きながら言った。

「そんな。たまたまです。姫乃先輩や芽衣も助けてくれたし。」

僕はうまく言葉がつながらず、真壁の話題に変えることにした。

「真壁先輩はどうしましょうか。気絶しているだけだとは思います。骨は折れているかもしれませんが。。。」

「縛って街に連れて行ってから考えましょう。」

「そうですね。」

僕たちは真壁の方を向いて、これからの段取りを確認した。


「勝ったんだね。」姫乃先輩がいう。

「はい!」

と僕は返答し真壁の方に歩み寄ろうとした時だった。姫乃先輩の体がドンッと揺れた。

「かはっ」いきなり姫乃先輩が吐血し倒れた。

「姫乃先輩!!」僕は慌てて姫乃先輩を抱き起こした。

姫乃先輩の脇腹から2本の氷の槍が生えており、血が流れ出している。いや違う背中から槍が突き抜けているのだ。

「これは芽衣のアイスランス。。。」

僕は芽衣を見ると、芽衣はパンパンと服の土を払い起き上がりながら言った。

「ふぅ。ようやく殺すことができたよ。」

僕は何が何だかわからない。

「芽衣。なんで?」芽衣は答えない。


「なんでこんなことするんだよぉー」

僕の叫び声が広野に響き渡った。

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