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インテグレイション オブ ワールド  作者: アサム
第五章 双子の巫女
152/190

152、私が倒すよ

「いーっひっひっひー」

と真壁くんが私を追いかけてくる。


私は翁くんから離れるように真壁くんから逃げた。

真壁くんが私を狙ってくる事はわかっていた。

私が近くにいると翁くんが私を気にして力が発揮できないかもしれない。

あのビナスという人は強い。

私を気にしながら戦える相手ではないのだ。


「私が真壁くんを抑えないと」

と私は逃げながら、後方を確認すると真壁くんが楽しそうに追いかけてきていた。


「そろそろいいかな」

充分に翁くんと距離を取ることができた。

私は立ち止まって真壁くんを見る。

真壁くんもある程度の距離を保って止まった。


「ひっひっひ。姫乃ぉもう逃げねぇのかよぉ」


真壁くんは嫌いだった。

元の地球で学校生活を送っている時から嫌いだった。

このAEに来てからも嫌いだった。

なんでこの人はこんなに私の邪魔をしてくるのだろうと思っていた。

「うん。元々逃げる気はないから」


「高梨もいねぇ。お前一人で何ができるんだよぉ」


でも今まで表面上は愛想良く取り繕おうとしていた。

いい人を演じるために仕方がなかった。

私はズルい女だから。

真壁くんにと言うよりも、周りの人に良い印象をもってもらうために。

「確かにできる事は少ないよ。でも、、、」


でも、、、もうそんな必要はない。

「真壁。あなたは私が倒すよ」

私は真壁を指差しながら言い放った。



私の言葉に真壁くんは笑いながら言う。

「ひっひっひ。姫乃が俺を倒すぅ?」


「見た目が少しいいだけのお嬢様がかぁ?」


「お前はいつも俺の勘に触ってくる。。。お前みたいなお嬢様はなぁ。俺たちのご機嫌でも取ってりゃいぃんだよぉぉぉ!」

と言うと同時に真壁が、海賊刀を構えながら距離を詰めてくる。


私は後方に下がって、距離を保ちながら魔法を放った。

「火球」

バスケットボールくらいの火の玉が真壁に向かって飛んでいく。

真壁は足を止めてから、海賊刀で火球を薙ぎ払った。

火球は空中で消滅するのを確認して、真壁は距離を詰めるために動き出す。


私は距離を保ちながら、指から複数の糸を放つ。

糸はそれぞれが異なる動きをしながら真壁を突き刺さしにかかる。


以前に戦った時、真壁は空間を削るスキルを使っていた。

あれをやられると一瞬にして、距離を詰められてしまう。

私は空間を削られてもいいように必要以上に距離を取って攻撃をした。


「ひゃっ」


「ひゅっ」


「ひょっ」


と真壁はバク転したり、側転したりと曲芸みたいな動きで、糸の攻撃をかわしていく。

真壁にかわされた糸は、勢いを殺し切れずに地面に突き刺さっていく。


「ひゃっはー」

と気持ちの悪い声を出しながら、真壁は海賊刀を振るって糸を切って行った。

私は手から離れた糸は操ることができないので、切断された糸は地面に落ちて行った。


「こんな攻撃、芽衣様の憂さ晴らしと比べたら大したことねぇぜ」

言っている意味はわからないが、真壁なりに成長しているみたいだ。


真壁は私との距離を詰めて、海賊刀を振り上げ、

「ひゃひゃひゃ」

と言いながら、振り下ろしてくる。

私は後方に下がりながら魔法を放つ。


「火球」

真壁は海賊刀で火球を薙ぎ払った。

当たるとは思っていない。

火球は足止めのためだ。


また、真壁との距離を保ち今度は人差し指の先に糸を集約させる。

「バン!」

と言う発声と共に、パチンコ球くらいに丸まった糸が発射された。

初見で反応が遅れた真壁の頬に弾が掠める。


「バンッ」


「バンッ」


「バンッ」


私は移動をしながら、糸鉄砲を放っていく。

「ひゃ」

と言いながら、体を回転させながら海賊刀で球を弾いた。

ここまでは、相手の動きを封じるための布石。


「これが本命だよ!」

私は、糸で直径2mほどもある握り拳を作って真壁へ放った。

糸の強度を高めているので、鉄に近いくらいの硬さがある大きな拳が真壁に向かって飛んでいく。


「ひゃっ」

真壁は海賊刀で防ごうとするが、拳の勢いを止める事はできずに飛ばされた。

数m飛ばされて着地する真壁。

直撃ではなかったのでダメージは無さそうだ。

やっぱり直撃させないとだめだ。

何とか当たる状況をつくらなくては。


「ひゃひゃひゃ。今のはビビったぜぇ」

と言いながら、こちらに向かってくる。


私は複数の糸を放つが、真壁に斬り刻まれる。

真壁は海賊刀を振り下ろしてくる。


「火球」

私は横に避けながら、火球を放つ。

真壁は海賊刀で防いでから、海賊刀で突きを放つ。

私は後ろに飛んで、海賊刀をかわしながら複数の糸を放った。

真壁は海賊刀で糸を斬り刻む。


お互いに相手を捉えるどこができず、一進一退の攻防が続く。


真壁が私の隙をついて、海賊刀を振り下ろす。

私は糸で大きな円形の盾を作って、海賊刀を防いだ。

盾で真壁を押して、距離を取った所で盾を回転させながら真壁に向かって飛ばす。

真壁は海賊刀で防ぐが、回転した盾の力は受け止めきれず、盾は真壁を弾き飛ばした。


真壁は地面に叩きつけられるが、すぐに起き上がりキッとこちらを睨む。

やはり直撃ではないので、ダメージはほとんどないようだ。


「うざってぇなぁ」

と真壁は言いながら海賊刀を構え直す。


「そろそろ俺も本気を出さしていくかぁ」

と言うと、右手に海賊刀を持ったまま、左手を上に上げた。


真壁が左手を振り下ろす。

その直後、視界が一変して目の前に真壁がいた。

気がついた時には真壁は海賊刀を振り上げ始めていた。


咄嗟のことに反応が遅れ、真壁の海賊刀が肩を掠める。

切り裂かれた衣服と一緒に鮮血が飛び散った。


「つうっ」

痛みに顔を歪めるが、痛がっている場合ではない。


「ひゃはは」

と言いながら真壁は振り上げた海賊刀を今度は振り下ろしてくる。

私は後ろに飛んで回避をするが、海賊刀の先端が衣服を掠めて切れ端が飛んだ。


「くっ」

何とか距離を取ると、真壁は追撃をせずにこちらを見る。


「いーっひっひっひっ。いい眺めだなぁ姫乃ぉ」

真壁は斬り裂かれた私の服を見ながら言った。

私の衣服は海賊刀に切り裂かれて、右肩が露出し、胸の下からおへその辺りにかけてパックリと切れていた。


「もっともっともぉーっと、ひんむいてやんよぉ」

と真壁は海賊刀を舐めながら言う。

真壁の卑猥な顔は不快だが、このくらい大した事はない。

こんな人には負けたくない。


私は勇くんと、、、みんなと元の地球に帰るんだ。

こんな所でつまづくわけには行かない。

私が足を引っ張るわけには行かない。


「申し訳ないけれど、私はこんな所で立ち止まるわけにはいなかいの。だから、、、あなたの思い通りにはなってあげないわよ!」

と私はもう一度、真壁に指を差しながら言った。

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